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かた〜くなるシリコーン、できました【33】

水のようにさらさらなのに、乾燥するとプラスチックのように硬くなる素材が開発されました。どんなことに応用できるでしょうか?

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今回は、湿度や温度次第でプラスチックのように硬くなるシリコーン素材の研究をご紹介します。

まず、シリコンとシリコーンが違うものだということ、ご存知ですか?シリコンは半導体などに使われている金属で、今回紹介するシリコーンはゴムやオイル、プラスチックに使われている素材です。シリコーンは用途がたくさんあるので、意識しないところでも、暮らしに役立っています。

その中でも、直鎖状シリコーンは室温で水のようにさらさらで、シャンプーや車の艶出しコートなどに使われています。高い皮膜力で、塗布したものに吸着して艶を出す働きがあります。でも、今回ご紹介する研究で開発されたのは、乾燥するとプラスチックと同じくらい硬くなる、全く新しいタイプの直鎖状シリコーンです。

このシリコーンは、湿度80%だと水のように透明でさらさらですが、湿度5%ではピンセットで掴めるほど硬くなります。「弾性率」というモノの硬さを示す指標で表すと、1億倍も硬くなるそうです。

研究グループは、そのすごさをインパクト満点の写真で論文に報告しています。顕微鏡に使うスライドガラス2枚をこのシリコーン素材で張り合わせ、2枚を平行に引っ張ったとき、どのくらいの力に耐えられるかを実験している写真です。なんと、2リットルのペットボトル3本、つまり6キログラムの重さに耐えています。説明ではよくわからないという方、ぜひリンク先の写真をご覧ください! シリコーンの柔らかいイメージが覆されます。

このシリコーン、湿度だけでなく温度でも硬さを変えられます。加熱による乾燥でも硬くなり、冷やすと再び柔らかくなるという珍しい性質も持っています。
作り方はとてもシンプルで、工業的に広く使われるシランカップリング剤に塩酸を混ぜるだけでできるそうです。シランカップリング剤は、ケイ酸塩という自然界にたくさんある鉱物が材料なので、環境面でも魅力です。

研究を行なった原光生はらみつお助教からのコメントです。

柔軟材料の代名詞でもあるシリコーンで、このような力学物性が得られるとは私たちも予想しておらず、結果を見て学生と驚いたことが印象的です。この特性を活かすことで、新しい接着剤や樹脂の開発が可能だと考えています。

今までにない機能を持ち、環境にも優しいシリコーン。開発の今後がとても楽しみです。この研究について詳しくは、2021 年 9 月 7 日発表の名古屋大学研究プレスリリースもご覧下さい。

画像提供:原光生助教
制作協力:宮田芙悠みやたふゆ(名古屋大学理学研究科修士1年)

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◯ 関連リンク

 ・関研究室(名古屋大学工学研究科)

 ・原光生助教


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