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小惑星リュウグウの黒くて軽い岩は何を語る? 【9】

今回は、はやぶさ2が観測した、小惑星リュウグウの岩にまつわる新たな発見について、ご紹介します。プロジェクトには多くの大学や研究所が参加していて、名古屋大学もその一員です。

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コロナ禍一色だった2020年、はやぶさ2は明るいニュースをたくさん届けてくれましたね。リュウグウに着陸する瞬間や衝突装置で穴を掘るミッションを、息をのんで見守っていた方も多いのではないでしょうか。

そして今、はやぶさ2の光学および赤外線の高性能なカメラが捉えた画像から、リュウグウの詳しい姿が次々とわかってきています。

今回の発見は、リュウグウには周りより温度が異常に高いスポットがあり、そこには軽石のように密度の小さい黒い岩の塊が集まっていたことです。

この発見のポイントは、岩の密度の小ささです。その性質からすると46億年前に太陽系が始まった頃の情報を持っている可能性が高いそうです。太陽系がどのように生まれ、私たちのような生命がどんな材料からつくられたのか、宇宙の謎を解く重要な手がかりになるかもしれません。

はやぶさ2は、リュウグウの砂や石をカプセルに詰めて地球に届けてくれましたが、その中に今回発見した黒い岩のかけらが入っていれば、さらに詳しい分析ができると期待が高まっています。

「はやぶさ2」プロジェクトサイエンティストの名古屋大学 渡邊誠一郎わたなべせいいちろう教授からのコメントです。

「岩の温度が高いということは太陽の熱で暖まりやすいということで、地下に熱を流しにくい空隙の多い岩であることを示しています。私はこうした科学成果を統合し,太陽系形成時の情報を引き出そうとしています。サンプル分析には名古屋大学も参加します。」


渡邊教授のようなエキスパートたちもまだ解くことのできていない、宇宙の謎の壮大さ…。そしてそれを解くヒントをたっぷり届けてくれた、はやぶさ2と支える人たちのすごさを、改めて感じます。

詳しくは、2021年5月25日の名古屋大学研究プレスリリース、もご覧ください!

画像提供:JAXA

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