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【名大URA通信】vol.7「特許出願のポイント! 発明者となり得る要件とは?」

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ vol.7 2021.1.4 ■■■
■ 先生方の研究を全力支援!   http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/
■ 【名大URA通信】    発行:学術研究・産学官連携推進本部
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名古屋大学の教職員の皆様、新年あけましておめでとうございます。新型
コロナの状況はまだまだ厳しいですが、ぱぁっと光が差す日が来ることを
信じて、今できることをひとつずつやっていきたいと思います。
今月もURAから皆様へ、学術研究・産学官連携に関する情報をご提供しま
す。今月は特許出願時のポイントや、視野を広げるセミナーなどについて、
お伝えします。

■◆■ ━目 次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[1] 特許出願のポイント! 発明者となり得る要件
[2] 学内どなたでも参加可! 研究支援者セミナー
   1)1/6「コミュニティ形成・維持に必要なもの・こと・しかけ」
   2)1/26「共創(Co-Creation)」における大学の役割(仮題)
[3] Tongaliプロジェクト Tチャンセミナーシリーズ
東大発ベンチャー「テクノロジーで新しい水インフラを作る」
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[1] 特許出願のポイント! 発明者となり得る要件
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昨年8月発行の「名大URA通信」vol.2で、知財や特許について解説しました。特許法では、「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義しています。

「未知の自然法則の一端を解明する」ことは、人類にとってとても重要なこ
とですが、そういう学術的「発見」と、特許の世界で言うところの「発明」
とは、別物です。

「名大URA通信」vol.2では、「発明」を適切な特許出願をした上で企業等に技術移転をすることで、発明者(研究者)の権利を保護しつつ、大学の社会貢献にもつなげましょう、という解説をしました。
(以下のリンクからバックナンバーをお読みいただけます。)

今月は、その続編として、「発明者となり得る要件」について、今回も知財・技術移転部門から解説します。

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● 発明者とは?
発明者とは、「発明を“着想”し且つ“具現化”した人(人達)」のことを指します。例えば、或るアイデアを“着想”し、そのアイデアを、通常の業界知識を有する者が実施できる程度にまで“具現化”した人(人達)のことです。この着想と具現化を一人で行ったならその人の単独発明ですし、複数の人と共同で行ったならその人達の共同発明となります。

● 共同発明者とは?
それでは共同発明者の要件とは何でしょうか?

共同発明者とは、「目的意識を共有して、“着想”及び/又は“具現化”に寄与した人達」のことを指します。

一方で、以下は共同発明者になり得ないので、共同発明者の認定に迷われた際は、参考にしてください。
・単なる管理者(解決すべき課題を提示しただけの者など)
・単なる補助者(指示に従って実験を行ったりデータをまとめたりしただけ
の者など)
・単なる後援者・委託者(資金提供者など)
・目的意識を共有していない(お互いの為したことをまったく知らない者同士)
・発明の対象の技術分野の知識が無い者
・通常の技術者が保有する周知の知識を提供しただけの者
・その発明の予期せぬ特性や特許性を特定しただけの者
・公知技術との組み合わせ発明における公知技術の提案者

本来共同発明者でないのに、お付き合いで他大学や企業の研究者を共同発明
者として加えると、以下の弊害が生じます。
1)相対的に発明者としてのご自身の貢献度が下がります。
2)相対的に出願人としての本学(機構)の貢献度が下がります。
3)技術移転の観点で弊害が生じます。

上記3)の、技術移転時に生じる弊害について、もう少し詳しく説明します。

当知財・技術移転部門のURAは、担当の教員から企業との共同出願の相談
を受けた際、まず基本的な行動として発明者は誰なのかを確認します。
①発明者が機構と企業のそれぞれに所属している場合、通常の共同出願とし
て処理を進めます。
②一方で、発明者が機構のみに所属し、企業所属の発明者がいない場合、以
下のいずれかの考え方となります。
・機構100%の権利なので、まずは機構単独名義で特許出願を行い、当該企業にライセンスする
・機構100%の権利の一部を企業に譲渡し、共同出願を行なう

すなわち、いずれもライセンスや譲渡などの技術移転ステップを踏みますの
で、そこで原則技術移転対価が発生し、本学規程に従って発明者に収入配分
が行われます。

本当は②なのに、本来発明者ではない他機関の研究者を共同発明者として加
えると、通常の共同出願となって技術移転の機会を逸することになります
(そもそも偽りの発明者で特許を取得した場合、最悪その特許が無効になる
こともあり得ます)。

当知財・技術移転部門としては、発明者の発明行為に適正に報いるためにも、適切に発明者を認定して頂くことをお薦めしています。

(発明当事者では無い)当知財・技術移転部門のURAが、発明者の認定に
関与することはできませんが、認定基準につきご説明する等適宜ご相談に
乗らせて頂きますので、どうぞお気軽にお声がけください。下記の相談フォ
ーム(学内専用)もご活用ください。
http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/researcher/intellectual/consult/index.html

             (知財・技術移転部門 首席URA 児島則章)

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[2]  学内どなたでも参加可! 研究支援者セミナー
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学術・産連本部では、私たちURAや関連職員の知識やスキルを高めるため、
不定期に「研究支援者セミナー」を開催しています。1月のセミナーは、ど
ちらも地域や企業との連携を強めるためのヒントを得られる、有意義な内容
です。学内のどなたでも受講可能ですので、ぜひご参加下さい。

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1)研究支援者セミナー 1/6「スタートアップエコシステムの"肝"
         コミュニティ形成・維持に必要なもの・こと・しかけ」
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「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」や「100BANCH(ヒャクバンチ)」、最
近では久屋大通に生まれた「FabCafeNagoya」などを手掛けた株式会社ロフ
トワークから講師を迎え、"人が集い、アイデアや事業が生まれ続ける"エコシステムを構築するためのTIPSを得ます。
・日時:2021年1月6日(水)16:00~17:00 *オンライン
・対象:東海国立大学機構所属の研究支援者・産学連携に興味を持つ方が主な対象ですが、学内外問わず、どなたでもご参加いただけます。
・詳細/申込: http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/event/detail/0005099.html

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2)研究支援者セミナー
       1/26「共創(Co-Creation)における大学の役割」(仮題)
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大阪大学共創機構・北岡康夫機構長補佐を迎え、社会と「共に新たな価値を
創造する」理念を基に、画期的なイノベーションを創出する中核機構の取り
組みについて紹介いただきます。大学を中心とした産学官連携のあり方とは
何かを考える機会として、是非ご参加ください。
・日時:2021年1月26日(火)15:00~16:00 *オンライン
・対象:東海国立大学機構所属の研究支援者・産学連携に興味を持つ方が主な対象ですが、学内の方はどなたでもご参加いただけます。
・詳細/申込:近日中に学術・産連本部webにて告知・申込を開始します。
http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/index.html

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[3]  Tongaliプロジェクト Tチャンセミナーシリーズ
    東大発ベンチャー「テクノロジーで新しい水インフラを作る」
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水道のない場所での水利用を実現するポータブル水再生処理プラント「WO
TA BOX(ウォータボックス)」(2020年度グッドデザイン大賞受賞)を開発
した、WOTA株式会社代表取締役社長CEOの前田瑶介氏をお迎えします。
研究成果を実用化する道のりや起業を目指す学生に向けたメッセージなどを
お話しいただきます。
・日時:2020年1月14日(木)18:30~19:30 *オンライン
・対象:どなたでもご参加いただけます
・詳細/申込:https://tongali.net/events/t-semi-8th/

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最後までお目通しいただきまして、ありがとうございました!
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発 行:学術研究・産学官連携推進本部 http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/
問合せ:人材育成・情報発信部門 情報発信ユニット  
メール:outreach@aip.nagoya-u.ac.jp  電話:(747)6790 
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