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気絶

小さい頃から一人遊びが好きな少年だった。5歳ぐらいの時は家でミニカーを走らせたり、ぬいぐるみを戦わせたり、とにかく一人で妄想の世界で遊ぶのが好きだった。

それから時が経ち小学校4年生ぐらいの時だ、親が宗教を熱心に信仰していたこともあり、週に3日はその宗教の集まりにつれて行かれた。しかもその2.3時間は静かにしてなければならない。子供にとっちゃ地獄みたいな時間だった。
熱心な母親は僕に聖書を読み聞かせ、ちょっとでも寝ようもんなら…


「ぱっしーん」


とめちゃくちゃ大きな音で、ももたをひっぱ叩いて起こされた。静かにさせるよりその音の方が、みんなに迷惑だろうとか心では思いながら、もみじ跡のももたに涙がポツリ。そんな地獄の時間を耐え忍んだ。


そんな地獄な日々を繰り返していたある時、僕は思いついた!

顔は話をちゃんと聞いてる風にして頭の中は楽しいことを考えて過ごせば、この地獄の時間も楽しい時間に変わるだろうと、頭の中は何考えてるかなんて誰にも分かりっこないと!

最高に良い案を思いついた僕は、何について妄想しようか考えた。

その頃、家の前に大きな公園があり、その横に森があったので森で遊ぶのにハマっていた。同級生の土屋くんと森に入っては弓矢とか剣とか作って戦いごっこしたり、木を切って家を作ったりとターザンみたいな遊びをしていた。たしかインディジョーンズが映画で流行っていた頃だったと思う。

現在どうなってるか気になってGoogle mapで行ってみた↓



そこで妄想の内容を決めた!

もっと大きな帝国みたいなジャングルの王様になったらというもの。最初は近所の森を思い出しながらちょっとずつ妄想の世界を広げていった。土屋くんと森で生活するところから始めて、どんどん住民も増えてきて魚を取ったり、動物を狩りしたりと妄想は膨らんだ。

あの地獄の時間が…どうでしょう!あっという間の3時間!これは天才かもしれないと心で自画自賛しながら、なんならあの地獄の時間が楽しみにすらなっていった。

母親もニコニコしながら、みんなに「この子最近よく話し聞いて偉いのよ〜」的な話をしていたと思う。

妄想の中で僕は何週間もかけて、ジャングルの王者になっていった。妄想なんで台本もなけりゃ現実味もないけど、小学生が考えることなんてせいぜいテレビで見たことか少年ジャンプに出てくることぐらいだったと思うけど、もうその時には何千人と家来がいるぐらいの王様になっていた。

ある時、いつもの様に母親に連れられて宗教の会館に行った。あの地獄の時間、今となっちゃ妄想天国の時間が始まった!

僕はいつも通り、顔は真剣に話を聞いてる風、頭は「ジャングル帝国の王様」で妄想の続きを楽しんだ。ただ毎回やってるうちに慣れが出てきてしまって、みんなが終わって片付けしてる間も座ってボーとしてる変な子みたいになってしまった時もあった。それぐらい妄想の世界にのめり込んでいた。

今日も手慣れた感じで妄想の世界に入っていった。
どれぐらい時間が経ったの分からないが、現実の世界では大人たちがシーンと偉い人の話を真剣に聞いている。僕は真剣な顔して妄想の世界では、数千人の民衆の前に現れる王様のシーンだった。

次の瞬間!

現実の世界で僕はこともあろうか…立ち上がって大きな声で

「皆のもの〜」


やってしまった。


僕の妄想時間が現実に飛び出してしまった瞬間だった。もちろん現実の世界もピタッーと止まった。



次の瞬間、母親が僕の手を引っ張って座らされもちろん…

「ぱっし〜ん」


もみじが飛んできた。妄想の中でも王座から引き摺り下ろされた感覚があった。いつもより数倍痛いモミジをくらった。より楽しい時間を楽しんだ後のモミジは数週間前に食らったやつより痛かったのか


僕は…

【気絶】

した。


相当痛かったのか妄想から抜け出したくなかったのかは自分でも分からない。

気づいたら家だった。


今回は気絶したお話しでした。こんなくだらないお話にお時間使って頂いてありがとうございました。


また機会が有ればくだらないお話を綴りたいと思っております。ムカついた方はバットボタンを押してくださいw



んちゃ✋

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