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エッセイ集

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2021年2月の記事一覧

紙パックのつぶやき「ありがとう」を聞こう

豆乳って大豆臭いイメージで、せいぜいスムージーの材料にするくらいだった。 豆乳オンリーで飲む勇気はちょっと、ねぇ。 「恋は雨上がりのように」の主人公、女子高生の橘あきらがバナナ豆乳を飲むシーンがとても印象的だった。 食いしん坊のうちは飛びついた。 なんかおいしそう。 でもね、気になってはいたけど手が出せなかった。 どうしても頭から離れず、うちが書いた小説「十年目のアンジー #10」の主人公、女子高生の妹尾杏樹にバナナ豆乳を飲ませた。 人に飲ませておいて自分は知らんぷりか

夫のシックスパック化計画

夫は変態です。 こう言うと語弊がありますが、肉体を過酷な状況にさらすのが好きな変態です。 気温が30度越えの真夏日になると、メラメラ燃えます。 アスファルトが焼ける暑い日に、わざわざランニングしに行きます。 ロードバイクに乗って7km離れた公園に行き、愛宕山の頂上まで2~3往復走って、また7kmロードバイクに乗って帰ってきます。 私は思います。 季節の良い春や秋に、爽やかな風を感じながらランニングすればいいのにと。 この冬、吹雪く時間帯だけランニングする真っ赤なスパッツ姿

父と片手鍋のラムスデン現象

私は子どもの頃、父が作ってくれるコーヒー牛乳が好きだった。 焦げ目のついたアルミの片手鍋に牛乳を注ぎ、風味付け程度のインスタントコーヒーとザラメをザクザク入れていく。 いつも吹きこぼれる手前まで煮立たせてしまい、慌ててガスコンロを切る父。 ふわふわに吹いた牛乳が冷めると、表面には薄い膜が張っていた。 膜が張るその現象を「ラムスデン現象」と言うんですって。 コップをフーフーすると、白い膜はゆらゆら波打つ。 熱々のコーヒー牛乳をすすると、くちびるに膜が張りつくのでペロリと舐め