atgmと5匁制作記

この文章は、Twitter上で行われた企画「2020GW運営のあんたがたに挑戦します」について書いたものです。

初めましての方もいらっしゃると思いますので軽く自己紹介から……

自称・謎制作者のナゴマと申します。
先日の「2020GW運営のあんたがたに挑戦します(以下、atgm)」ではGMとして、おもに問題制作を務めておりました。その後のYouTubeLiveにも一瞬だけ登場しました。

YouTubeLiveでは各問題の解説があったのですが、私は5匁を個人で作ったにも関わらず担当の時間に不在にしてしまっておりました(代わりに解説してくださったpicaさんありがとうございます)。
その代わりというのもなんですが、この記事で制作の裏側的なものを少し詳しく話そうかな、と思います。

GM参加まで

1問解説するためにここから話すのも回りくどい気もしますが、お付き合いください。

そもそもatgmは、「ツイッターのあんたがたに挑戦します2020GW(以下、atgt2020gw)」に感銘を受けた者たちが、その仕返s……お礼として開催するというコンセプトの企画でした。​
では私はatgt2020gwでどうだったかというと、


特に何もできませんでしたね……


こういう全体戦はすごく好きなので毎度適度にわちゃわちゃするんですけど、atgt2020gwでは特に活躍なし。
まあ楽しかったけどね。

そんな私がこの企画にGMとして参加したのは、atgt2020gwで同級生や年下の知り合いさんがGMとして活躍しているのを見て「すげえなあ」と思ったということと、あとは単純にatgt作ってみたいなと思ってたところでGM募集のツイートを見つけたということが理由でした。
単純ですね。

参加後~問題制作に至るまで

さて、そんなこんなでGMになりました。

すると、結構色んな仕事があることに気付きます。
運営、システム、問題制作、デバッグ、大喜利……
問題制作ひとつとっても案出し、構成、画像制作……

その中で私がやるとしたらやっぱり問題制作かなーと思いまして、そっちの方面で色々考えていました。

そんな時に辺りを見回すと、麻雀数独パロ、スコランパロ、ナンリンパロ……

ガッチガチやな……

atgt2020gw自体が理詰め多め・重めだったので当たり前といえば当たり前なのですが、それにしても結構元に対して忠実にパロディをして、ゴリッゴリのパズルを組んでいるものが多かったので、自分はどうしようかちょっと悩みました。
パズルはあんまり得意じゃないので……

でも、よく考えるとatgt2020gwはそういうものばっかりでもなくて、珊瑚やホームズなど、ヒラメキ要素が強い問題もちゃんとあった訳です。
それならこっちだってそういう枠があっても良いだろうと思いました。
さらに、当時の私はatgmとは別の全体戦用の謎を数問ストックしており、そのストックは自由に利用できたので、オリジナルの問題は比較的低コストで制作できる状態でした。

まあ、こんな感じの思考を経由しまして、picaさん含む全体構成陣に使えそうなものを提案したところ「名前だけパロでもOK」ということだったので作問決定、という感じです。
(最初の案出しの段階で手のうちを明かしてたので、この企画内で使ってしまいたいという考えも少しありました。)

問題制作

問題の内容に触れますので、解説を先に見ることをオススメします。

スクリーンショット (251)

前述の通り、案が先にあったという経緯がありますので時系列は前後しますがご容赦を。

この問題を思いついたのは至極単純なことがきっかけです。
私の通っていた(当時は現在形だったかもしれない)高校は「○○東高校」という名前でした。
同様に「○○西」「○○南」「○○北」も存在しており、時折話題になっていました。
また他の地域の高校に言及する時にも「○○は西も東もあったよなー」とか、「○○は東西南北全部賢い」とか、そんな感じの日常会話があった訳です。
こういう「地名+方角」形式の表記をするものは色々ありますが、分かりやすくテーマになるのが高校名なのです。

つまり、高校名を用いることで、地名に対して4方角(+無印)をプロットできる訳です。
ってことは、それを利用すれば絵とか文字とか描けるんですね。

という訳で何か描こうということになって、良さそうだなと思ったのが漢字の「由」でした。
絵や画数の多い文字を描くならかなり複雑になってしまうし、かといって漢字の「口」とか「田」だけでは面白みがなくメタられそう……ということでその辺のバランスが良い「由」を選びました。

大変なのはその後です。

「由」という感じを組み立てるために必要なパーツとなる条件を満たす作業が始まりました。
例えば「由」の中央左の「┣」という形を作るためには、「○○高校」「○○北高校」「○○南高校」「○○東高校」が存在してかつ「○○西高校」が存在しない地名を見つける必要がありました。
当然「高等学校名方角別検索」みたいなものはないので(あるのかもしれないけど)Wikipedia全探索+裏取りをやるしかありませんでした。
しかもWikipediaには都道府県別の高校一覧しかないので、47ページ全部回って使えそうなやつを探す羽目になりました。

目的の条件を満たす地名が存在しないというのが一番怖かったけど、何とか全部あったので埋めることができました。
(やけに兵庫県が多いのは作問者のせいです)

さて、次にやるべきは現地設定です。
ここまで作った盤面で導けるのは「由」の一文字。

ところで、「あんたがた」は基本的に何でもありの企画ですが、ひとつだけ重要な縛りがあります。
それは、謎の答えから現地が導けること。

今シーズンはw3wが導入されたことにより、地名や施設名を使わずとも単語を3つ並べるだけである場所を指し示すことができます。
だから「由」一文字があれば、そこから「けいゆ」とか「ゆいしょ」につないで、それが入るw3wを見つけてやってもよかった訳です。

でも、それだけではなんか面白くないな、と思ってしまいました。

w3wがメインになることで、現地設定の仕方は大きく3つに分かれます。
一つ目は、特徴的なw3wを直接指定するやり方。
二つ目は、場所や施設を指定してからw3wで絞り込むやり方。
三つ目は、場所や施設の中の特徴的なw3wを持ってくるやり方。
(つまり一つ目と二つ目のハイブリットです)

このうち、一つ目をやることは避けたいと個人的には思っていました。
というのもこの方法であれば現地は多くの場合特筆すべき点のない山の中や川の上になってしまい、本来のガムテを貼るatgtとは全く違うものになってしまうような気がしたからです。
(結局現地は学校の構内という入れない場所になってしまいましたが……)

という訳で、この(自分が勝手に解釈した)atgtっぽさを出すために、「由」の一文字から直接施設名を導けるようにしようと決めました。

謎の内容的にはやっぱり現地も高校にした方がいいかな、ということで「由」がつく高校を調べたところ、どうやら「由」から始まる工業高校がひとつしかないようだったのでそこに決定。
上空から見てみるとw3wのマス目にめっちゃぴったり合っている床の模様があったのでそこに現地を確定させました。

完成後

あとはpicaさんとさやちぃ。さんのデバッグを経て完成。

迎えた本番では出題時間が人の少ない夜中に回ってしまったらしく、私もその時間には寝ていたので直接見ることはできていないのですが、3時間弱というまあまあ良い時間で無事突破できたようで良かったです。

今回のatgmの本筋からは少し外れたような比較的簡単な問題でしたが、それっぽいものに仕上げることができ、箸休め的な感じでうまくバランス調整することができたのではないでしょうか。

ちなみにタイトルの「H thirtysix」は、「由」の字を描くのに使ったHigh school 36校を示しています。


p.s. 
スコットランド高校は存在するがアメリカのノースカロライナ州にある

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