週刊ナゴマ #3

銀行に行きまして 普段はATMだけがある無人の施設でお金を出し入れするので結構久しぶりのことでした

窓口の方に行くとご年配の男性に案内された 銀行の窓口で手続きをしたことは過去に数度しかなく、番号札を取るとかどのタイミングで何を準備するとかがほとんど分かっていなかったので非常にありがたかった

手続きを終えて帰る際、その方が別のお客さんに対して案内をしているのが見えた 案内する側もされる側も大体同じくらいの歳の髪の白い男性であった
同じぐらいの歳ではあるが、銀行員の男性の方がなんというか「しっかり」して見えた それもそのはずで、そちらは銀行という場所で客を何年間も案内してきたエキスパートである 堂々と立ち振る舞い、てきぱきと業務をこなしている 一方で客の方は別に客のエキスパートというわけではない もしかすると僕と同じように銀行で手続きをした経験がほとんどない人かもしれない

そんな客の男性もおそらく何かのエキスパートであるのだろう 銀行というアウェイな場を抜け出して自らの職場に赴けば、そこに存在するのは自らが最も得意とする業務であり、先ほどしっかりして見えた銀行員の男性には到底こなすことができないような仕事である もしかするとそこに客として銀行員が訪れるかもしれず、そうなると今度は客の男性の方が「しっかり」して見えるのだと思う

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【今週の相貌失認】
服装を覚え損ねたことに気付き絶望するシーンがある

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大阪中之島美術館で開催されている「モネ 連作の情景」に行きました

モネといえば『睡蓮』をはじめとして風景画のイメージが強いと思うんですが、やはりこの展覧会でもフランスの様々な地域の景色を楽しむことができました

細部をあまり描かない、線がない、混色しないといった特徴を持ついわゆる「印象派」の絵が大半です こういった絵を遠くから見ると極めて写実的というか、実際の風景をそのまま写したかのような印象すら受けるわけですが、近づいてみるとあくまで短い筆の跡の集合体であって、なぜ自分はこの単なる色彩の集まりを木や水面だと思えたのかが不思議に思えてくる 前Twitterで「アニメはコマ数が少ない方が脳が保管して現実的でダイナミックな動きに見える」みたいな言説を見た覚えがあるんですが、もしかすると似たようなことが絵画でもあるのかもしれないですね ともかく絵を間近で鑑賞できる美術展において遠近で印象が変わるというのは非常に面白いものだった

そして今回の展覧会でピックアップされていたのが「連作」と呼ばれる作品をはじめとした、ひとつの対象を何度も描いた作品群 例えば同じ橋を同じアングルで、しかし色彩や光の加減を変化させて夕暮れや日没を表現して……といったもの どう表現したらいいものか難しくはあるんですが、実際の現地の「空気感」みたいなものを鑑賞者に感じさせるための技巧だと思います 並べてみるとアニメーションのようにも楽しめてこれは他の作品ではなかなか得られない面白さ 連作として作られていないものでも、例えば同じ海岸を10年ほど時間を空けて描いた作品を比較すると色合いやちゅうもくする対象が異なっているのがよく分かります

睡蓮もいっぱいあった 「池の睡蓮を描こう」と思ってキャンバスを縦長に構えるの結構すごい

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今週で大学の研究活動がひと段落しました 学部生としての仕事はこれで一旦終わり まあ学会とか行くので全然休まらないんですが

発表に向けて実験データを取ろうとしたら機材がぶっ壊れていたのでその日の目的を喪失し研究室を飛び出して彷徨い、気付くと吉田山の上の公園にいた

大学からは結構近く、ふもとの吉田神社には先月も節分祭で訪れていたが、その上にこういった公園があることは知らなかった

何となく懸垂を試したい気分だったがぶら下がりの健康遊具が故障中だったため、ちょっと低い鉄棒で懸垂をした 腕力はないが体重が軽いので意外と普通に身体が持ち上がる とはいえその日は首筋を痛めていたので数回でやめておいた

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【今週初めて聴いた曲】
いろはうた / 結月ゆかり ( 純, 凛, 穏, 麗, 雫, 凪 ) / 背面8回宙返り

新しめのボカロを追いかけたりすることはあんまりないんですが、自分がモデレータをやっている言葉遊びサーバーで紹介されていたので出会いました

五十音表が軸の曲だ!というだけでテンションが上がりますね パングラムとかひとつの言葉遊びに絞った楽曲はいくつか知っているんですがここまでフリースタイルで自由なのはあまり見たことがなかった 曲調のみならず、ルールが矢継ぎ早に変わることによる快みたいなものがプラスされており、設定されたBPM以上の疾走感を体感できる作品かなと

言葉遊びの縛りとしては比較的緩めな部分もあると思うんですが、つねに五十音表上を走る視覚効果があることでひとつの作品として完成度が高い 見ていてめちゃくちゃ楽しいし自身の創作意欲も掻き立てられますね

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