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夕刻、雨宿り。【読み切りSS】

ㅤ今日何度目か分からないため息をついて、髪の毛の束をかじかむ指先で掬う。ぎゅっとそれを絞れば、ぽたぽたと毛先から水滴がこぼれ落ちる。
ㅤ睨みつけるように、バス停の屋根から除く空を見上げる。相変わらずの、まさにバケツをひっくり返したような雨。またしても私は見せつけるようにため息を零すが、それは誰にも拾われずにザーザーと五月蝿い泣き声に呑み込まれる。

「すごい雨ですね、今日は」
「そうですね。……え?」

ㅤふと誰かに話しかけられた気がして、左隣を見る。それは聞き間違いでは無かったようで、堅苦しいスーツに身を包んだ見知らぬ男がしっかりと横に立っていた。私も咄嗟に返事をしてしまったけど、何だこの人……初対面だと言うのにいきなり話しかけてきて。
ㅤいや、まあ隣に並ぶ時に「すみません」とかはよくあるけど。なんだか胡散臭いのが隣に来てしまった、と男を疑わしそうに見つめていれば、彼も私を見下ろす。ご機嫌斜めな空模様とは対極な、爽やかな笑顔で。

「雨、嫌いですか?」
「逆にいると思いますか?雨が好きな人なんて」

ㅤびしょ濡れになった服の袖を捲り、腕時計をちらっと確認する。バスが来るまであと5分と少し。ちょうどいい、バスが来るまでの間彼に暇を潰してもらうとするか。

「ていうか好きでこうなったように見えます?」
「違うんですか?」
「いい歳して我を忘れてこんな雨の中はしゃぎ回ったりしませんよ、当たり前でしょ」

ㅤ今朝のニュースでは、午後から夏のような陽気になるとかなんとか言っていた気がする。それを私はしっかりとこの目で見届けてきたはずなのに、いざ夕方になるとこれだ。
ㅤとはいえ既に朝の時点で空はゴロゴロと唸っていた。この世には「備えあれば憂いなし」という言葉がある、そこで天気予報を信じきった私が悪いといえば悪いのだけど。
ㅤだから当然雨具など持ってはいない。そんなバカを守ってくれる物がないとなれば、荷物も服も髪の毛もまとめて雨に降られてしまうのは当たり前。さっきから幾度となく雨粒が服から滴り落ちる。どうしよう、この状態でバスになんて乗っていいのだろうか。

「僕は嫌いじゃないですよ、雨」
「……面白い感性をされてるんですね」

ㅤもちろんこれは皮肉である。軽く噛み付くように言ってみせても、男はその少し憎たらしいとすら感じる表情を保ったままだ。というかよく見たら、この男には水滴の1つすら付いていない。
ㅤそれどころか何が楽しいのかニコニコと、お世辞にも綺麗とは言えない空を見上げている。随分この天気を楽しんでるようで、その余裕さが羨ましいことこの上ない。もちろんこれも嫌味だ。

「あ……やっと来た」

ㅤ見積もっていた時間より10分程遅れてバスがやってくる。天気も天気だし、道が混んでいたのだろうか。
ㅤ私がベンチから立ち上がれば、男はどこに隠し持っていたのか知らないが、水色の涼し気な傘をバサッと軽快な音を立てて開き、バスと反対方向に歩き出す。

「あれ、乗らないんですか?」
「えぇ」

ㅤおそらく今、非常にすっとんきょうな顔をしているであろう私を見て、男はまたえらく清涼な笑みを浮かべる。

「雨もたまにはいいでしょう?こんな思いがけない出会いがあるんですから」

ㅤ私が何も言えないでいると、男は私に向けていた顔を再び閑静な路地に戻し何の躊躇もなく進んでいく。
ㅤしばらく男が歩いていくその先を眺めていたが、「お客さん乗らないの?」という不思議そうな運転手の声で我に返る。バスに乗り込んでもまだ、湿った服が肌に張り付いて肌寒い。窓の外を見ると、雨は少し弱まっている。




※ 以下余計なお喋り

すごい久しぶりのnoteになった気がする。ただただ書きたいことが無かっただけなんですけどね🥱

なんかしばらく文章らしい文章(?)を書いてなかった気がするので、ChatGPTに適当なお題を出してもらって短いお話を書いてみました。特に起承転結とかオチとかありませんが。小洒落たタイトルには似合わない駄文ですねなんかこれ。

全部気になる

ちなみにちなみにChatGPTが出してくれたお題はこちら。2番目の〝雨宿りの夜〟というやつを頂きました。私これ「短いお話書きたいからなんかお題ほしい」としか言ってないんですが……こんな具体的に考えてくれるものなんですね、すごいなぁ。


このお話、簡潔にどんな内容かって言うと

主人公の女性が退勤中に雨に降られてびしょ濡れ

バス停で雨宿り、雨降らん言うたやんけってちょいぷりぷり気味

謎のミステリアス&なんか余裕たっぷりな鼻につく(主人公曰く)男性も雨宿り?に来た

バスが来て主人公が乗ろうとしたら男性はどこかへ、主人公に話しかけに来ただけだったらしい

また雨が降った日に2人は会うかもしれないし会わないかもしれないし?

私の中ではこんなイメージで書きました。

こういうオチがないというか、謎を残したままというか……な、終わり方のお話って「結末よくわかんないとモヤモヤして好きじゃな〜い」って人もいると思うんですが……

私はこういう、気になる所まで引っ張っておいて「あとはアナタの想像にお・ま・か・せ😘」みたいな感じ嫌いじゃないんですよね。この後の展開は読者の想像力次第!的なお話、世界で私以外に好きな人がいなくても、私は懲りずにこういうお話書き続けたいな〜なんて考えてました(🤔??)。

おしまい。




「今日はこれ聴きながら書いたよ」のコーナー



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