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プレッシャーに打ち勝った令和の浅倉葉

2020年9月、あるニュースが話題となった。人気漫画「SHAMAN KING」が20年ぶりにアニメ化されることに決まったのだ。
アンナ役の林原めぐみ、阿弥陀丸役の小西克幸、ハオ役の高山みなみと20年前から続投するキャストの中、ひとりメインキャストの中で変更となった声優がいた。それが浅倉葉役の日笠陽子である。

日笠は2009年のアニメ「けいおん!」で一躍有名になり現在も途切れることなくアニメに出演し続けている十年戦士である。しかしその一方でこれまでの演じてきたキャラクターは女性がほとんどで少年役で出演した作品は数えるほどしかない。そんな彼女が今回浅倉葉という主役を射止めたのである。

この決定にネットは賛否両論。本人を責める声こそ少なかったが、20年前に浅倉葉役を担当していた佐藤ゆうこと比較する声は少なからずあった。
佐藤演じる浅倉葉はいい意味で気の抜けた演技をしており、私にとっても印象が強かった。ましてやSHAMAN KINGのファンにとっては複雑な心境だろう。

そして2021年4月1日、令和のSHAMAN KING第1話が放送された。私も帰宅後にBSテレ東でチェックした。
「頑張ってる」
それが率直な感想だった。前任者のイメージが強い中、それでも自分なりの葉を演じていた。ネットの声もそれに近かった。

そしてアニメは原作を網羅すべく勢いで進み、20年前はアニメ化されなかった「恐山ル・ヴォワール編」に突入していた。幼少期の葉とアンナの出会いを描いた原作で人気のあるエピソードである。

2021年11月21日、恐山ル・ヴォワール編の先行上映会が開催された。そこにはアンナ役の林原めぐみ、本編の鍵を握るマタムネ役を演じる田中秀幸、そして葉役の日笠が登壇した。

上映後、涙するファンとともにステージ上の日笠も泣いていた。普段からこういう場では割と泣くタイプであったが、最近ではあまり見ないシーンだった。そして彼女はこう話した。
「葉が日笠と聞いて不安に思っているファンもいるとは思うが、そんな気持ちも背負って臨んでいる」
相当なプレッシャーだったのだろう。それもあってこの日初めて直接ファンの顔が見えて安堵したのかもしれない。ファンからも彼女に対する感謝の声が多くあがっていた。

そんな日笠を支え続けたのは「嫁」である林原だった。キャスト変更時も
「顔の見えないあちこちで、文句言うんじゃないわよ。女将より」
と残し両者に対して思いやりを見せ、アニメ開始直後に放送された自身のラジオ番組でも
「まあやっぱり葉は頑張ってるよ。ある時なんか突然(電話きて)結構長話をしたりとか」
と語るなど「旦那」を盛り立てた。林原女史には感謝してもしきれない。

アニメもいよいよ終盤戦。前述の先行上映で日笠は「ハオを救う旅」と発言した。葉はハオを救えるのか。最後の最後まで目が離せない。