skebについて

【スケブ】と【コミッション】

日本では同人誌即売会などで、クリエイターとファンとの交流の一環に、クリエイターに自前のスケッチブックを預けて、応援に対しての感謝としてサービス(無償)で絵を描いていただく【スケブ】 といった文化が長くあるようです。

これが海外では、スケブのような「無償でのクリエイト依頼」という文化はなく、【commission(コミッション)】といって有償で依頼する事が基本という文化があるようで、近年この有償リクエストが日本にも入ってきました。

スケブとコミッションで、何がどう違うのかという部分を私の理解でまとめるとこんな感じです。

コミッションとは - コピー

ファン側として私が感じる一番のメリットは、『スケブをお願いできるような機会が無いようなクリエイターに頼めること』だと思っています。

例えばコミッション文化本場のアメコミでは、作品を描いている作者本人が受け付けているケースもあります。
※背景には著作権の二次利用について、日本とは色々と異なっているなどあるようですが……

この海外クリエイターを日本に来ていただいて、コミッションを受付可能ブースを備えたイベントも少しずつ増え、またそこから派生し漫画家・アニメーター・イラストレーターといった日本人クリエイターがコミッションを受けてくれる機会も増えてきました。

料金はリクエスト内容によってピンキリで、手頃な部類だとモノクロでラフレベルで数千円からといったメニューもありました。細かいリクエストはその分価格が上がり、究極的には青天井となりますが、私はA3サイズのカラーで精緻な背景も込みで$1,000越えの依頼をしたこともあります。その際は海外クリエイターと英語のメールでやりとし、日本開催のイベントに来るという事でしたので対面で受け取りました。

■イベント一例
・東京コミコン
・Japan Comic Art Expo
・ドリームコミッション
など

ただ、これはあくまで色紙や画用紙に描いていただく、アナログイラストが対象です。 ここにデジタルイラストのコミッションサイトとして登場したのがskebというサービスだと認識しています。

skebとは

skebというデジタルイラスト(現在は音声も有り)のコミッションを扱うサービスで、「スケブ」と読み、冒頭で記載した日本に馴染みのあるスケブ文化から取ったようです。

これまで日本に入ってきたコミッション文化はアナログイラストが中心だったため、実際のイベントでの交流という要素が大きかったところ、デジタルイラストでは対面する必要はありません。純粋に注文と納品という部分がクリアできれば、完了できてしまいます。 海外でのpxivに近しいdeviantartというサイトではコミッションの対応もポピュラーだったりしますし、日本でも個別での個人依頼を受けている方々もいました。

ただ個別依頼というところで、
相場もわからず
どう依頼すればいいかもわからず
そもそも「個人依頼やっていますか」と声をかけていいものかもわからず
といった感じでハードルがとても高かったです。

そこに登場したのがskebです。
依頼する側(ファン)と依頼される側(クリエイター)を繋ぐ場の役割を果たすことで、
・確実に受け付けてくれるクリエイターがわかる
・定められたルールに従えば気軽に依頼することができる
といった、最初のハードルが低くなりました。

それまでも、SKIMAやココナラといった、イラストを含む各種個人依頼ができるサービスはありましたが、skebのイラスト特化のサービスは私には新しいサービスと映りました。

skebの何が新しいか

コミッションは先に書いたように、個人での有償依頼ですので、
リクエスト ⇒ 見積もり ⇒ 発注 ⇒ 作成 ⇒ 納品
といったフローが一般的であり、最初のリクエストの工程から依頼者とクリエイターとの間にコミュニケーションが必ず発生します。これが業務として依頼慣れした企業からのリクエストであれば慣れたものでしょうが、個人からとなると「どういったものを求めているか」の認識合わせからして、多大な労力が生じることは容易に想像できます。

skebはこのコミュニケーションという部分を、「やってはいけない」ルールで定めたことが画期的と思っています。

■依頼する側は、
・リクエスト内容と、その内容に支払う金額を送信するだけ
・注文後、承諾された案件は納品を待つのみ

■依頼を受ける側は、
・届いたリクエストの内容から、対応したいものを選んで対応するだけ
・承諾した案件を作成し、納品するだけ

コミュニケーションしてはいけないルールにより、クリエイター側の負担が大幅に減る構造が実現できます。 これ以外にもクリエイター尊重に特化したルールが多くあり、コミッションを受ける側の敷居が大幅に下がった印象です。

依頼する側、ファン側としても、受けてもらえるクリエイターが増えることは、自身のリクエスト機会が増えることに直結するので、結果的に大きなメリットです。

ただし、この独自ルールによって、skebが前述の【コミッション】と同じと言えるかどうかというとまた少し異なり、お布施・投げ銭の側面が強いです。

skebでの受付を新規に始める方へ

依頼する側として数件依頼してみて思ったことは、「ここは沼だ」ということです。 私の場合は好きなキャラ専門で、常に稼働させているPC壁紙サイズの依頼が主ですが、アナログイラストとはまた違った良さを感じています。

skebのシステム上、Twitterアカウントと連動するため、Twitterでフォローしているイラストレーターの方がskebを始めた際にメール通知が来ます。
先ずこれが、有難くも恐ろしいです。好きなイラストを描く方に、己の欲望のままに「これを描いて欲しい」という依頼が際限なくできてしまいます。

また、他の方への納品物が一覧で見えます(非公開設定を除く)
「この顔の描き方は非常に好みである」
「そんなリクエストも応じてくれる方なんですか」
「え、背景も描いていただける」
「その発想は無かった」
などなど
これがまた恐ろしく、それまで知らなかったクリエイターへ依頼したくなるのです。

逆に言えば、納品が無いことには新規ファンが開拓できず、新規が注文しないと納品するものが生まれないというジレンマがあります。

新規で受付を開始された方は、【新着クリエイター】欄に表示されますが、ここでの一覧は
・Twitterアイコン
・Twitterヘッダー
・Twitetrハンドルネーム

しか表示されませんので、イラスト情報としてはTwitterのアイコンとヘッダーだけです。

ここが自作イラストで無かった場合、私はスルーしてしまいます。

私個人のチェックでは、「その2つのイラスト情報が好みかどうか」が第一で、好みのイラスト傾向だった場合に初めてその方のページを表示します。
次に、Twitterへ飛んで投稿画像から「主にどんなイラストを描かれるのか」を知ろうとしています。pxivなどへのリンクがあると、参考情報が多いので大変助かります。

逆にこれらの情報が無いクリエイターは、残念ながら依頼候補先としては私は扱えません! skebを始められる方は、依頼する側はこのような導線で見ている者がいることを参考にしていただけますと嬉しいです。


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