青山哲也さんのこと

 僕は、「非営利、非合法大麻農家、青山哲也氏の人道的大麻所持に無罪を求めます」というキャンペーンに賛同人として名を連ねている。青山氏は2018年12月に、医療用として大麻を栽培所持していたことで逮捕され、現在裁判が続けられている。
 その青山氏が2020年1月に、ひき逃げ事件を起こした。
僕は、大麻裁判の賛同人となったことと、ひき逃げ事件について、この数週間考えていた。そのことについて少し書いてみようと思う。


●青山哲也氏のひき逃げ事件を知って
 青山哲也氏は2018年12月3日北海道帯広市において、大麻を約29キロ所持していたとして、北海道厚生局麻薬取締部に逮捕された。取り調べに対して彼は、大麻を自身の医療用として栽培・所持し、周囲で疾病を抱えている人たちにも、安価に大麻を譲っていたと供述している。彼は、その主張を裁判で訴えるとともに、人道的な大麻所持であるとして無罪を主張する請願キャンペーンを始めた。青山氏本人から協力を求められた僕は、賛同人を引き受けた。署名者数は2月16日の段階で4300名を越えている。

https://www.change.org/p/%E6%9C%AD%E5%B9%8C%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E5%88%91%E4%BA%8B%E9%83%A8-%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9-%E9%9D%9E%E5%90%88%E6%B3%95%E5%A4%A7%E9%BA%BB%E8%BE%B2%E5%AE%B6-%E9%9D%92%E5%B1%B1%E5%93%B2%E4%B9%9F%E6%B0%8F%E3%81%AE%E4%BA%BA%E9%81%93%E7%9A%84%E5%A4%A7%E9%BA%BB%E6%89%80%E6%8C%81%E3%81%AB%E7%84%A1%E7%BD%AA%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%81%BE%E3%81%99-e7ff9ccd-0187-410b-a23a-583505f5ceba


 一方、2020年1月26日。帯広市内でひき逃げ事件があった。逮捕されたのは、音更町に住む、青山哲也氏という43歳の男性だ。僕はそのことを、1月31日にネットニュースで知った。関係者に問合せたところ、同一人物だということがわかった。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200203-00000005-hbcv-hok

 その時の僕は、唖然とするとともに、ひどく落胆した。何か、彼に大きく裏切られたように感じた。「支援する会」のことや、僕自身が賛同者であることについても考えた。
 その時僕は、物凄く感情的になっていた。そんな僕に、ある疑問が浮かんだ。
「ひき逃げをするような人物が訴える請願に意味があるのか?」
もしかしたら、運転中にも大麻を所持しており、それを隠すために被害者を救出せずに逃げたのではないか?だとすれば、自らの医療大麻の主張と反するのではないか?僕が彼の賛同者となったことは誤りだったのではないか?そう感じたのである。と同時に、ひき逃げ事件の経緯や起訴内容を確認しようと思った。

 僕は、ひき逃げ事件の経過を見守りながら、大麻事件との関連性について、冷静に考えてみることにした。すると、日を追うごとに、僕の考え方が少しずつ変わっていった。青山氏の周囲で起きたことについて、僕の中で一つずつ整理できていった。


●大麻取締法違反とひき逃げ事件をみつめる
 青山氏がひき逃げを起こしたことについては、僕は今でも強い憤りを覚える。
 人命を蔑ろにすることは、何があっても許されない。万が一、その時に大麻を所持していたとしても、人命救助が何よりも優先だ。ましてや大麻を肯定している立場である彼が大麻を所持していたのであれば、しっかりと明確に、そのことも伝えるべきだと思う。事故の際に、青山氏が大麻を所持していたか否かは、あくまでも仮定の話だが。
 結果的に彼は、被害者を置き去りにして、現場を去った。更にその後、すぐに出頭せずに数日を過ごし、1月30日の朝に出頭した。事故を起こして出頭するまでの3日間に、彼はSNSで発信したり、関係者と会ったりしている。その時の振舞いも、気になるところが多い。

 しかし当然のことだが、大麻取締法違反とひき逃げ事件は、法的には別の出来事である。このことを僕らは、冷静に認識すべきだろう。
 そのような姿勢で、このふたつの事件を再度見つめてみた。


●そして僕の中に、ひとつの答えが出た
 大麻裁判における経緯や青山氏の無罪主張や請願呼掛け内容については、僕自身、今でも賛同できる。
 ひき逃げ事件を起こした犯人としてではなく、それ以前の彼の主張については、僕はやはり支持できる。もちろん今となっては、ひき逃げ事件を起こしたような人物の主張は、信用できないという人もいるかもしれない。関係のない裁判だといっても、ひき逃げ事件によって、大麻裁判の被告人としての心象が悪くなるかもしれない。しかし、その事が、大麻裁判での彼の主張や、それを支持してきた周囲の人たちの行動を否定することにはならない。
 僕は何も、ことをうやむやにして、青山氏や僕自身の立場を正当化しようとしているわけではない。この時点では、感情に流されるままにすべてを一緒くたにするのではなく、しっかりと見つめ、総括し、次に生かすことが大切なのだと思うのだ。
 僕は賛同人として名を連ねたことについて、間違えではなかったと考えている。それは、彼の主張に賛同した4300名の判断も同様だ。
 現在彼は、大麻取締法違反容疑で起訴されており、無罪を主張している。検察からの求刑は懲役5年罰金100万円。判決は2月26日に札幌地裁で下される。

 青山氏が起こしたひき逃げ事件によって、大麻裁判に対しての、僕の主張は変わることはない。僕は、無罪または減刑と執行猶予付きの判決を望んでいる。そのことは今も変わらない。

 しかし、そうだとしてもやはり、青山氏の行動は、大変軽率だったといえる。人びとに働きかけて世論を少しでも動かしていこうと思っているのならば、そのことを強く自覚しなければならない。自戒を込めて、強くそう思う。

 本当は直接会って、奴に「馬鹿野郎!」と言いたい。
 青山氏には、自分自身をしっかりと内観してほしい。そして、自らの罪を償い、今後の人生をしっかりと歩んで行ってほしい。一連の出来事についての僕の考えは以上の通りである。

 末筆になりましたが、被害にあわれた方の、一日も早いご回復を心からお祈りしています。

2020年2月16日  長吉秀夫

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