MMDは日本の3Dを破壊してしまったのか?

Twitterを見ているとこんな記事を見つけてしまった。

内容は割愛するが要するにMMDよりunityやunreal engineの方がグラフィックは綺麗だよという話。
著者の方の言うことはもっともだが、これを理由にMMDをゴミクズなどと言うのはやや暴論ではなかろうか。
私はMMD引退宣言をしており(まだ引退してないよ)、既にunreal engineでゲーム開発している立場ではあるが、この論争に一石を投じたいと思う。

結論から言わせてもらえば、「そんなもん人それぞれ」の一言に尽きると思う。
MMDがいいという人はMMDを使うし、もっと高クオリティのグラフィックを使いたい人はunreal engineを使うだろう。

この著者はunreal engineやunity、blenderなんかを MMDの上位互換と捉えているようだが、実際は全くの別物である。
上位互換というなら、私が使用しているDCCツールのcascadeurなんかがより近いのではなかろうか。
もちろんMMDの使い方によって違う人もいるかもしれないが。

unreal engineではモーションが作れない、なのでモーションを作るための中間ソフト(DCCツール)が必要になるわけだ。
cascadeurでモーションを作り、それをunreal engineに読み込んで動画にするという手法ならそんなに難しくないのかもしれない。
問題はunreal engineに対応するモデルが少ないということだが、この手法が広がれば使用を許可するモデラーも増えるかも?
今度講座動画でも作ってみようかしら?

話が逸れたので軌道修正。
著者の言う「MMDは日本の3Dを破壊した」という論点について言及してみようと思う。
結論から言うと破壊していないと思う。
そりゃあそう言う側から発言しているのでその結論になるのは当然だが。

先程も述べた通りどのツールを使うかは人それぞれなのだ。
MMDが日本の3Dを破壊したというなら、MMDが無くなれば日本の3Dは発展するのかといえば、答えはNOである。
MMDがなくなれば、MMDを作る人がいなくなるだけで、その分ハイクオリティな3Dが増える訳ではない。
むしろ3Dに興味を持たない人が増えることさえ危惧される。

MMDとは、小説界隈におけるなろう小説(小説家になろうというウェブ小説投稿サイトの作品)のようなものなのだ。
誰でも手軽に3Dに触れることができ、作品を作ることが出来る。
初めて3Dに触る初心者にとっては、非常に易しいソフトなのである。

ついでにMMDの利点を挙げておく。
それは、カメラワークや演出、モーションの作り方などを学ぶことが出来ると言うことだ。
unreal engineの講座などを見ても、例えばカメラの動かし方を教えてくれてもカメラをどう動かせば映えるのかは教えてくれない。
そういうのは映画の撮影手法などから学んでいくのだが、MMDは他の機能が簡略化されている分、演出などに注力することになる。
それらの知識を持ってunreal engineを学ぶことは非常に効率的だとも言える。
もちろん最初からunreal engineなどを触ってもいいのだが、今までMMDを触ってきた経験は決して無駄ではないことを強調したい。

さて、もう一つ著者の挙げていた意見に反論したい。
それは、中国ではunreal engineを使った手法が流行っている点についてだ。
著者も述べているが、中国に限らず海外のユーザーは利用規約を無視することが多い。
もちろん日本のユーザーが全員守っているということはないが、問題はそこではなく、利用規約を守っていない作品を賞賛するのはいかがなものかということだ。
たしかに利用規約を守ることで技術の発展を妨げるのはあまりよろしくないことのように思える。
だが、正直者が馬鹿を見るというのは個人的に美学に反する。
MMDを進化させたいのであれば、正統な方法で頑張ってみたいというのが個人的な意見だ。
ちなみに著者は理屈を変えて利用規約を守っているのではないかという意見だったが、あくまで利用規約を作ったのは個人であり、モデラーなどの作者の意思を尊重するべきだということに留意して欲しい。
利用規約に書いていなければ何をしてもいいという訳ではない。

ここまで著者に否定的な意見ばかりを述べてきたが、逆に同意する点も述べておこう。

最初に「3Dは金がかかる」ということだ。
ほんとコレ、金がかかるんですわ。
とはいえMayaとかZbrushとかそういう最先端の3Dソフトに比べればアセット(素材のような物)の料金など微々たるものだが。
アセットの料金も数百円から数千円と幅広いものだが、いきなり何万円も必要とかはないので安心して欲しい、もちろん無料のものもある。
高スペックのパソコンとかなら話は別だが。
MMDで慣れきっていた無料の呪縛は解かれるべきだと思うし、正直モデラーさんたちもあんだけ苦労してモデルを作っているのだから少しは儲けてもいいと思う。

もう一つは地形モデルは完成品が一つあるのではなく、パーツを組み合わせて自分で完成させるということだ。
これはunreal engineを使ってる身からするとよく分かる、そしてその方が色々と便利なのだ。
しかしそのためにはマテリアル(物質の質感)などについての勉強がまた必要になるが、それはそれ。

さて、これまで取り留めのないことを徒然と述べたわけだが、今後自分がすべきことを考えたいと思う。
それは、途中でも書いたがunreal engineで動画を作り、それを講座動画として作ることだ。
思い付きで書き綴った文章だったが、意外と現実的なのではないかと思い始めた。
もっともunityなどでも構わないのだが、私がUE使いでありunityについてはさっぱりなのでその辺は同志にお任せしたい。

これは完全にMMDからの脱却になり、「MMDが日本の3Dを破壊した」の著者の言うとおりになってしまうのは少々癪だが、MMDから一つ上のステップを私が用意してもいいのではなかろうか?
ただ反論するためだけに書き綴った文章だったが、なんだかオラわくわくしてきたぞ!

というわけでゲーム開発と二足のわらじを履くことになりそうだが、今後は講座動画にも注力していきたい。

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