小金井市廃園条例と園児の受け入れの行方は?

令和6年2月2 2 Hに、東京地方裁判所において「小金井市立保育園廃止処分取消 等請求事件」の判決が出されました。小金井市はそれに対して控訴せず、判決が確定しています。その直後の報道を見ると、「小金井市の保育園の園児募集を廃止する条例は「無効」」といった見出しが躍り、普通に考えれば、さも、条例が自動的になくなってしまったかのように見えます。

しかし実際には、この訴訟は、市立保育園への入所を却下(当該処分)された保護者がその処分の取消を求めた取消訴訟事件です。本訴訟では確かに専決処分による条例制定自体を「処分」としてこの「処分」の取消を求めていましたが、それは主文1で却下されています。

基本的に判決の効力は主文以外の部分には及ばないと解釈される以上、判決文で専決処分による条例が「無効、取消」となったとしても、自動的に条文が取り消されるわけではありません。

今回の市長報告では、一部の議員が「無効、取消」なのだから直ちにそれに従って市長は行動すべきだの主張を繰り返し述べていましたが、私も水谷議員のいう通り「現段階で廃園条例は存続しており、法的に非常に不安定な状況にある、条例の改正を含めて、公立保育園のあり方を議論する場を設ける」のが今後の正しい進め方だと思います。

市長報告では、一部の議員がさも、市長が判決に従っていないかのような意見を述べていましたが、ここで白井市長に専決とは言わないまでも、条例や議会を無視した形で、条例が存在しないように振る舞えというのでしょうか。

そもそも、これは前市長が専決処分によって「違法な」条例制定を行い、それを不承認としたにもかかわらず、その後の新市長のそのいわゆる「廃園条例」の廃止条例を否決したことに端を発しています。議会の意思は今でも廃園を是としています。したがって法的に非常に不安定な中で現状存在する条例を否定する行動は取れないのではないかと考えます。

今回の事態はそのような議会の意思が招いた結果とも言えます。市長報告では、一部の議員が市長と対峙していましたが、そもそも議会自体が全体として、この課題の解消に向け真剣に取り組むべきであり、今回市長報告ではほとんど発言のなかった「廃園条例の廃止条例」に賛成した議員の積極的な発言と前向きな行動を期待するところです。

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