公立保育園の廃園条例についての政策に対するご質問への回答

Twitterで、「今回の選挙は、公立保育園5園を維持か?廃園か?が問われているとおもいますが....?」というご質問をいただきました。

これについては長くなりますが、大切なことだと思うのでお話ししておきます。私は、「廃園か維持か」という二元論だけで進めることは、非常に危険であり、また、現実の実効性が保たれないのではないかという危惧があると思っています。というのも、現時点で立候補しているいずれの候補者の方も廃園条例の撤回(改正)を主張していらっしゃいます。実際には改正には議会の議決が必要ですから実際に改正できるかどうかについては、現時点では確実ではないとしかいいようがないと思います。そして、仮に改正し、元に戻ったとしても、4年後にまた、選挙で別の市長が選ばれ、その市長が廃園を選択した場合は、廃園されてしまいます。

すなわち、その時々の市長の判断により、決断が変わってきてしまいます。しかし、それまでに公立保育園の保育の質や、公立保育園の役割、そして、公立保育園のあり方についてしっかりと議論し、定めておけば、次の市長もよほどのことがない限りはそれに従わざるを得ないと思います。そのために、しっかりとそれを方針として定めておく必要があるというのが私の主張です。

このような考え方に到った経緯は、学童保育の民間委託問題にあります。私は2000年代に学童保育の民間委託問題が持ち上がったときに、学童保育の民間委託問題には反対でした。小金井の学童保育は全国的に見ても公設公営が維持され、かなり高いレベルの育成が実現されており、それを民間に委託する(ただし、公設は維持しています)ことはそれを壊すことになるのではないかと思ったからです。しかし、市がそのような方針で当時の児童福祉審議会に付託した以上、反対を訴えて万が一、委託が開始されてしまった場合に何も打つ手がなくなってしまうということは私も感じていました。

結局、児童福祉審議会の結論も簡単に言えば、「委託を否定するものではないが、する場合はしっかりと『運営基準』を定め、育成内容の質や保育内容を規定した上でなら、委託もやむなし」という結論になっていたと思います。これが2006年のことだったと思いますが、その後、市長が代わるなど紆余曲折を経て、2015年に学童の民間委託化がなされました。その時も「二元論」民間委託反対を訴えていた会派もあったように記憶しますが(違っていたら申し訳ありません。今調べている時間がありません)、結局、民間委託化はされました。しかし、当時民間委託を反対していた会派も、委託がなされたあとのことにはまったく興味を示してくれませんでした(これは重要なことです。今、仮に「廃園反対」としていても、いざ廃園されたら興味がなくなってしまう会派もあり得るということです)。

他の会派も同様で、もうそのことはなかったかのように忘れ去られていきました。私は、委託されたことそのものよりも、「どういう事業者が受注するか」ということが最優先課題だと思っていました。学童保育というのは保育園にも増して、統一された基準がないので、委託される事業者によって保育の質がかなり変わってしまうことが危惧されたからです。

時間がないので端折りますが、議会も興味を示さず、また、学保連の方々は危惧はされていたものの有効な手立てを得られない中で、私は独自に、小金井市の学童保育を受託できる能力のある有能な法人を探しました。それが、現在の小金井市の学童保育を受託している2社の社会福祉法人のうちの1社です。小金井市は当時、ホームページに情報を載せて公募すれば有能な法人が応募してくると思っていました。私はその考えはあまりに安易すぎると思っていました。ご存じの方がいらっしゃると思いますが、実は2015年当時、学童保育所を受託したのは3社でした。さわらび学童保育所を受託した1社がありましたが、その1社は1年後に運営が崩壊し、2年後には他の2社のうちの1社に救ってもらい、学童の運営はなんとか続けられました。

ですから、「民間委託賛成・反対」「公立保育園廃園賛成・反対」という二元論は、あまりにも危うく、それが決着した後の無関心を生む最大の土壌になると経験上も思っています。一番大切なことは、しっかりと今の段階で、「基準」を作っておくこと、そしてあり方や将来の方向性を今のうちから定めておくことだと思っています。

私の公立保育園についての政策はその見解により、できあがったものです。「二元論」は分かりやすいですが、本当に今の公立保育園、ひいては小金井市の保育園に通う子どもたち、保護者のみなさまのことを考えた議論ではないと私は思います。

(時間がないので、誤字脱字、誤りは謹んでお詫びします)

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