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子持ちの中年が兼業で漫画を描く方法

こんにちは。ながたです。

兼業で描いているせいかコミティアに出ていると会う人に「いつ描いてるんですか」とよく言われます。
とはいえコミティアに出てる人の多くは仕事をしながら描いている人な気もしますが…  
新しく会う編集者さん等にもよく訊かれるので、今日は少しそんな話をしてみます。時間の制約が多い中年が一人でこつこつ漫画を描く方法です。

兼業といっても自分の場合今は平日フルタイムで仕事をしている訳ではないので(ムラがある)、基本的には勤務を入れていない平日日中と夜遅くに描いています。土日と平日夜は大体家の雑務と子供の相手をしているので、主に空いた平日日中に全力で描く感じです。

漫画を描くには根気と根性が必要です。
自分のように描くのが早いわけでもない人間は特に……
元々夏休みの宿題を8月31日に着手し、試験は一夜漬けで極力どうにかするタイプだったのですが、無理のきかない生活と年齢なので計画的に作画する方法を考えるようになりました。(もっともこれが変な方法なのか漫画描きとして普通なのかわかりません。なぜなら生活圏に漫画を描く人がいないから…)

方法はごく単純で、徹底的に自分のペースを把握することです。

自分の場合、毎回ストップウォッチが原稿のお供です。
以下、原稿描くに当たってのルーチン作業

  • 原稿を用意して手を動かし始めるのと同時にストップウォッチで時間をカウントスタート。

  • その作業の終わり or 手を止めたい時はカウントを止めます。

  • カウントした時間(分単位)と行程(下描き・ペン入れ・仕上げ等)を毎日記録していきます。

  • 1週間のカウント時間を合計します。

  • 上記を繰り返し、1作終わったらかかった時間や日数を合計し、1ページあたりの平均時間を計算します。

計測大好きマンの日常

純粋に手を動かしてる時間だけをカウントするのは、ダラダラ描こうとするとどこまでも時間が延びてしまうのと、ストップウォッチをかけること自体が作業スイッチが入ってカウントしてる間ダラけづらくなるからです。
(ただカウントスタートまでの気合が若干必要になる)

漫画を描くに限ったことではないですが、机に向かったはいいけど手をつけるまでに時間がかかるのはよくある(いつも)なので、それを含めてしまうとペース予測に使えるデータではなくなってしまいます。机に向かっていても実際に手を動かしてる時間は測ってみると意外と少なかったりします。

集中力の継続、身体的疲労、等々で「実働時間=実際の机に向かう時間」とするのは無理ですが、純粋な作業時間を記録するうちにこの作業時間分やるためには実際にどのくらい机に向かう時間が必要かというのがわかってきます。
自分の場合だと大体1.5倍以上の時間を見積もる必要があります。逆に3倍とか極端にかかっている時はダラダラサボっている時、など自分のサボりが可視化されます。見たくない。
なお家で描く時も出先でiPadで描く時も、全部測ります。

こうして作風毎に1ページあたり平均の作業時間がわかるので、漫画に使える時間を探して逆算し完成までのペース配分を考えます。
どうしても早く描きたい時はどの工程を平均何分削れるか考えます。
記録し続けると、「◯時間分以上やるとその後数日支障をきたす」とかの感覚もわかるようになります。加齢の筋力低下による肩こり、眼精疲労は容赦なくやってきます。つらい。徹夜とか無理。
とにかく、客観的な数字で自分の稼動ペースを自覚します。このくらいできる、と感覚で見積もる時は大概maxのペースと理想を想定しがちなので大体その通りいきません。

あとは立てた計画通りひたすら作画をします。根性で。
……と、こう色々やっても予定通りいかないことの方が多いですが、ハズし方は多少マシになるのと、ペース修正が容易になります。
自分が思うようにできずヤケになったり落ち込んだりすると時間を食うので、それが最小限で済む利点はあると思います。
アシスタントを頼めばまた違ってくるのかもしれませんが、人に作画を頼むのもまた技術が必要だし色々と大変なので、当面1人で気楽に描く方法をとっています。

自分の場合は作業記録用のスケジュール帳を用意して、そこにひたすら作業時間をつけていっています。
見返したら2015年のノートが出てきたので、7年ほど続けているようです。
最初はノートにつけていたのですが、ここ数年はiPadでスケジュール帳PDFを使ってつけています。
アフタヌーンで描いてた頃、担当さんにびっしり描いた記録帳を見せたらウケて写真撮りたいと言われたのですが、私的な記録も書いてたのでお断りしました笑 まだ続けておりますよ……

2018年がないのは多分くさっててあまり描かなかった時期だからです。2019からコミティア出てまたコンスタントに描くようになったぽい

勢いで一気に描き上げる作風や作家さんに憧れるのですが、自分の場合描くのが早いわけでもなく生活やらでどうしても難しいため自分でできる範疇で試行錯誤してるうちにこの方法が定着しました。
これをつけていると、自分でノルマ設定や締切設定をして進捗管理できるようになります。
そもそも漫画を本格的に描き始めたのが30代なので、若さも技術もない自分がめげずに描き続けるために苦肉の策でつけた習慣です。
仕事柄、データを要素毎に取ってまとめて、フィードバックしてまたデータを取る、というのが割と身に付いているせいだと思いますが、この方法は資格勉強でも何でも長丁場で何かしたい時に役に立つ…ような気もします。
スローペースなのは如何ともし難いですが、年単位で少ーしずつ描くのは早くなってるようなのでもう少し器用に描けるようになりたいものです。こつこつ描き続けていれば何かしら形になったものが少しずつでもできていくので、とりあえずこの習慣のまま続けていくつもりです。

というわけで1人でこつこつ描いてるSF漫画の新刊が1年半ぶりに出来ました。2/20に発売ですのでどうぞよろしく😄

ヤングキングBullで連載してるショートコメディもよろしくです

ちなみに上に書いたタイムアタックループができるのは作画に入った段階です。
ネームは…できるときはできないしできる時はできる…ので、時間単位で記録するのはさすがに無理です。ネームは気合とテンションが必要…💧
とはいえネームに関しても今回の本を作るに当たって新しく試みたことがあります。それはまた次回……