よく意識を失って転倒する人.えっ,てんかん?

外来に若い男性がやってきた.
聞くとよく意識を失って転倒するらしい.

周りからは心因性やちょっと頭がおかしいと思われていた様子.
聞くと近所トラブルがある.
それも周りからは信じられていない.

ただ,私も近所トラブルには慣れている.
世の中,本当に意味がわからない,理解不能な隣人がいてもおかしくない.
どうも嘘じゃないような気がした.

この人,実は何か本当に病気があるのかもしれない.
脳波を撮影した.
ビンゴだった.
誰が見てもはっきりわかるほど異常なてんかん波が出ていた.

脳波というのは難しい.
私も正直エキスパートとは言い難い.
しかしながら,これは明らかな異常である.

抗てんかん薬を投与した.
ピタッと意識を失って転倒することがなくなった.

そんな人がいた.
人をパッと見や人の意見で決めつけて診療することの危なさを実感した.

私が尊敬していた先輩の医師も同様の経験があったらしい.
その人も頻繁に意識を失い,転倒していた.
周りも自分も単にそういう性質の人だと思っていたらしい.

ちなみにこの話,都会での話である.
周りに沢山の人がいても,誰も病気だと気付かなかったのだ.

世の中,このような人が沢山いるのだろうなと思う.
もし,身近にこのような人がいたら、気を付けてあげて欲しい.

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