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「昔話の弾き語りなんてできませんよぉ」

咄嗟にそんな言葉を返したのは、2007年の春先のことでした。
岐阜市主催の「民話ライブ」というイベント。
それを発案・企画、実現し、育ててきた担当の秋元さん。
ボクはその裏方でお手伝いする業者の立場でした。
その秋元さんからある日突然、
「つたえ話の本(岐阜市敎育振興事業団刊)のお話にメロディーをつけて、弾き語りできる?」
と尋ねられたのです。
ボクが若いころからギターを弾いて、バンドをやったり作曲活動をしたりしていることは、秋元さんはご存じでした。
しかししかし、それはいかにも無茶なご相談。
お話の弾き語りなんてやったことありませんし、そもそも興味もありません。
咄嗟にボクの口からは、タイトルの言葉で出たのでした。

秋元さんは表情を変えることもなく、いつもの涼しい笑顔でこう言い放ちました。
「来年度の計画に、長沢さん入れといたから。頼むね」
「えぇぇぇぇっ!!」

昔から、秋元さんのこうした無茶ぶりには慣れているつもりです。
こうなってはもう断りようがありません。
ボクの出番は来年2008年の1月。場所は西別院の香光殿。
「なんとかなるかぁ」
そんな気持ちで引き受けたこの課題。
それがその後、ボクの大切なライフワークになっていくなんて、想像すらしていない44歳でありました。

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