カムミコト教団 0-2 序・入信
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ニヤリと気味の悪い笑顔を浮かべて金口は、面と向かう常軌を逸した2人の女性に尋ねる。
「えーと、お2人の目的は何でしたかね?あまりに変態的な生活をお聞きしていて忘れてしまいました(笑)」
高名な美人弁護士・一之瀬弁玲子は
「【鈴木理恵】さんの教団からの開放を求めております。」
清楚な被害者の母・鈴木智佐は
「娘の教団からの無事の帰宅を求めています。」
珍しくメモを取った金口は、それを見ながら
「なるほど、一之瀬弁護士は我々の教団からの信徒の開放を望んでおられると言うことですね。そうなりますと、教団の内情と状況をご理解いただくことでスムーズな開放を進めることが出来るようになりますね。それでは、一之瀬弁護士ご自身が入信されて、内情と状況に直に触れていただくという方向で進めさせて頂ければよろしいですね。」
「えっ?入信ですか?」
「中に入ってみないと何も理解できません。聡明な一之瀬弁護士ならご理解されている事でしょう。ご自身が入会され信者と直に接し、共に教義を学ぶことで信者を理解し、教団をより理解できる。それをお仕事に生かす。至極真っ当な手段をよくご理解されておられますね。」
「あ……カムミコト教団への入会を希望します」
「それと、鈴木智佐さんは、娘さん【鈴木理恵】さんの帰宅をご希望とのことですので、鈴木家の皆様がご入信されれば娘さんのご帰宅も叶いますから、まずはお母様が入信されるということでよろしいですね。」
「はっ?家族が入信??」
「ええそうです。ご家族全員が入信されれば、娘さんだけが理解されない状態は解消されます。娘さんを説得するのではなく理解することこそ、ご家族の安寧の正しい道でしょう。お母様である鈴木智佐さんの取るべき道はお一つでしょう。」
「…はい、カムミコト教団への入会を希望します」
「では、お2人とも当会カムミコト教団へのご入会をご希望とのことですが、その意志で間違いございませんか?」
「はい、間違いありません」
「はい、よろしくお願いいたします」
では、この書面にご署名下さい。
金口が用意した書類には『カムミコト教団入会希望申請書及び誓約書』と書かれ、自らの意志で強く入会を希望する旨を誓約する内容となっていた。2人は戸惑うことなく書面を読み上げ署名し、書面を読み上げる音声データにも自身の音声であることを認めるサインを施した。
2人の入会希望申請書を受け取ったキムは
「それでは、一之瀬玲子さん・鈴木智佐さんのカムミコト教団への入会希望申請に付き、当会としては入会希望を却下いたします。」
「え・・・」
「・・・なぜ・・・」
当惑した表情で挙動不審になる2人。表情は不安に満ちているのがうかがえた。
「こ・こまります。入会させていただかないと。教団のことが知りたいんです!」
「なぜですか?入会させていただけないと、娘が・・・」
応接室の低い机の上に両肘をつき、顎の下で手を組んだ不気味な男・金口が舐める様に2人を見やって
「当会・カムミコト教団の入会について条件は《選ばれた民》であることになります。よって2人の入会は許可できません。」
冷静な敏腕で知られる一之瀬玲子弁護士が動揺の色を隠せず
「≪選ばれた民≫とは?条件はなんなんでしょうか?そこを何とか入会させてください。なんとか手はありませんか?」
と食い下がる。
清楚で凛としたカルト教団の被害者の母・鈴木智佐は涙目で
「お願いします。どうか、どうか、入会をさせて下さい。お願いします。」
と懇願する。
「ただし、例外はあります。当教団は≪選ばれた民≫の隣人としてあなた方を受け入れる用意はあります。」
2人の女性の表情は晴れやかになる。
「ありがとうございます」
机に頭をこすりつける様に礼を述べる2人
「もちろん、少し審査が必要となります。入会するあなた方が≪選ばれた民≫の隣人として相応しい≪正しい日本人≫であるかを見定めさせていただかないといけません。お2人はその審査をお受けになりますか?」
「是非とも審査を受けさせてください。」
「はい、よろしくお願いします。」
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