ただの愚痴

 基本的に人間社会、現実世界って「許し許されること」で成り立っている気がする。法律や刑罰は、定められた「許される許容限界」を明文化したものとも言えるんじゃないかな。だから、幸せや救いは多かれ少なかれ、許しが前提になってると思うんだ。
 でも、人間は誰もが寛容ではいられないし、聖人君子になるのは難しい。
 だから、許し易いように「償いのための謝罪、賠償、受刑や服役等」が存在してるんだと思う。でも、現在の法制度は完全ではなくて(そもそも法制度が完璧になるというのは幻想だと思う)加害者と被害者が発生した場合、許しによって解決することは滅多にない。人間はエゴと欲で動いてる動物だし、不条理や理不尽、憎しみや恨みには勝てない。
 ただ、究極的にはやはり、許し許されて生きることはいいことだと思う。

 今のながやんと関わってくれてる人は、あまり馴染みがないかもしれないし、信じられないかも知れない。昔の俺は、絶望の中で卑屈な劣等感を拗らせていた。生産性という「人間の価値はお金を幾ら稼げるかにかかってる、特に男はそうだ!」って呪縛にがんじがらめになってたんだね。
 精神疾患を患って、いわゆるメンヘラになってしまった。
 できる仕事がなくて、無収入になって、再就職はことごとく失敗した。
 詰んだと思う一方で、友人知人に当たり散らして「俺はこんなに不幸なんだ、構え!構ってくれ!」って態度を押し付ける、ようするに痛い人間だったと思う。
 仕舞には一大決心して死んでみたけど、失敗してしまった。
 死に損ねて生き恥をさらしてると思うと、ますますネガティブになっていった。
 でも、そんな俺を立ち直らせてくれた人たちがいた。多分、酷く醜悪でみじめな俺を許し、励まし支えてくれてたんだと思う。そのおかげで、昔よりだいぶマシになれた。俺は救われたと思うし、それはとても幸せなことだと今も思う。

 生粋のダメ人間、クズ人間だったながやんが立ち直ったかどうか、それはまだわからない。相変わらず無職で無収入な元作家だし。でも、障害年金をもらって、親のスネをかじって、自立支援法の助けを借りて生きている。
 どうしても、精神疾患があって一般的な職、アルバイト等につくことができない。
 けど、自分を必要としてくれてる人を感じるし、その多くの人に許されてると感じる日々だ。だから、なんとなくだけど生きてける気がしてるし、実際のほほんと生きている。
 正直、ありがたいと思った。
 友人の「生きてるだけで丸儲けだよ」って言葉が、今になってやっと理解できる。
 沢山の優しさや厚意によって、俺は生かさせてもらってると気付いたのだった。

 いつしか、俺も「友人知人のように、困ってる誰かを助けて支えるような人間になりたい」と思うようになった。別に、ボランティア活動をするとか、そういうんじゃない。でも、ちょっと話し相手になるとか、なにかできるような気がした。
 もらった恩を、その相手に直接返さなくてもいいんだよね。
 恩を受けたら、自分も余裕がある時、誰かに同じことをしてあげたい。
 そういう善意のサイクルは、地獄みたいなこの世の中でもいいものな気がした。
 でも、無理だった。
 駄目だったんだ。
 俺は、一方的に他者の許しを搾取するだけで、逆は難しいみたいだった。
 ちょっと今週、酷く落ち込んでしまって、凹んでいる。

 やっぱり、俺の中でずっと引きずってることがあって…少し前に(前にも話したかもだけど)二十年以上付き合いのあった、専門学校時代からの友人を切ってしまった。親友だと思ってたけど、簡単に切り捨てられた。縁を切るのってほんと、簡単だ。
 携帯をスマホに変えてから、LINEでのやり取りが彼とは増えた。
 一緒にFGOをやってたりして、凄く盛り上がってたし、仲良くしてもらえた。
 でも、喧嘩も増えた…お互い、文字列をやり取りするコミュニケーションの中で、うまく優しさを発揮できなかった気がする。あるいは、彼はそれを十全に示していたのに、俺が感じ取れなかったか。
 俺は今まで、意図せずに患った精神疾患を憎み、恨み、そして白旗を上げてきた。
 もう病気とは戦えないと思った、正直もう疲れました。
 でも、そういう自分が「メンヘラしぐさ、メンヘラ作法は勘弁しろよな」と言われてしまうと、上手く事象を解決できない。大げさな言葉だが、許すことができないのだ。なんだか、上手く感情を処理できないし、具体的にどうしていいかがわからない。
 俺は好きでメンヘラになった訳じゃない、俺は被害者だとずっと思ってた。
 でもね、違ったんだよ…俺は健常者、一般人から見て加害者、エネミーなんだ。

 人生で一番長く付き合った親友を、そういう訳であっさりと切り捨てた。そのことに恐怖したし、それでもどうしても以前のように謝って仲直りすることができなかった。メンヘラっぽいのやめろって言われると、どうしても黙ってなにもしない以外に手段がないと思ったんだよね。
 俺の被害者根性が癇に障ったのかも知れないし、それはわからない。
 ただ、俺は世界の敵で、害悪で、恐れられる加害者だと知った。
 そのことが恐ろしくて、生き方を変えようと思った。良し悪しを見切るのも、人を見限るのもながやんは早い、要領いいんです。でも、それはよくないと思った。もっとちゃんと、許したり許されたりしたいと思った。
 けど、駄目だった…駄目みたいな気がする。
 今更謝って許されようなんて、虫が良すぎた。同様に、俺が誰かを許して支えになるなんて、これも無理だった。自惚れた傲慢さだった。
 俺は、誰も助けられない。
 精神を病んでしまったからなのか、元からそうなのかわからない。
 わかってるのは、俺が加害者として恐れられてる、迷惑がられてるということ。

 でも、優しく接してくれる友達はいるし、掛け値なしに信じられる人たちとの信頼関係もある。どうしてそうなのかはわからなくても、本当に仲良くしてくれる人が沢山いて、だから日々毎日幸せです。ラッキー!って思うし、ありがたいですよね。
 ただ、上手く言えないけど、取り戻せないものって本当に大きい。
 そして、人から受けた厚意を自分は上手く使うことができないんだ。
 ショックだった。
 許し許されて存続、維持されてる社会のサイクルの中で、一方通行な袋小路に自分がなってる気がした。俺は、誰かの些細な拠り所にさえなれない。
 最近、ふとしたはずみに途方もなく悲しくなるんだ。

はじめまして!東北でラノベ作家やってるおっさんです。ロボットアニメ等を中心に、ゆるーく楽しくヲタ活してます。よろしくお願いしますね~