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今こそ真似したい!!官能表現 vol3.     【R18官能小説】官能作家"霧山純生"の情事 赤いルージュの女        貴島璃世(著)

今回は、Noteで交流させていただいています、貴島璃世様の作品です。
Noteの中でたくさんの作品を展開されている作家様です。

他にもご紹介すべき作品がいっぱいありそうですが、敢えて本作を取り上げるのは何故か?
ずばり、男性一人称というところに目が留まりました。永井は男ですが、いまだ男性一人称には挑戦したことがありません。

女性の作家が描く男性一人称ということで、勉強したいなと。どちらかというと、男の口、視界を通じて語られる、赤裸々な女の本音の部分に興味がありました。しかし、読んでみると作品の力点はむしろ……

作品概要

ご自身の手による紹介、解説がありますので、私が付け加えるのも蛇足かと思います。

なので、いきなり、本題に入ります。永井が真似したいポイントです。

真似したいポイント1            

性器・乳房以外の身体の部位を性感帯指定!

これですよ。うなじ、背中、腋。このあたりは比較的よくありますよね。くすぐったさと快感の狭間を責めるのは、永井も結構すきです。でも、本作のヒロイン美月がもつ秘密の性感帯はなんと、手です。

て、てぇぇぇーーーっ!?

いやー、これ、なんでこれ、思いつかなかったんだろ。手が性感帯だったら、超絶エロいですよ。だって、何食わぬ顔で人前で犯せるってことですからね。局部が常に露出しているのと同じです(違うか……いや、違わない!)

そうした特殊な体質の女性として描かれる美月のキャラクターもしっかりマッチしている。そりゃあそんな急所を抱えながら生きている女の子が、目立ちたがり屋な訳がなく、どちらかというと地味なキャラを演じているのが当然で、そういう部分もしっかり整合性を持ったリアリティを持って描かれています。

手から脳に伝わる性感刺激に戸惑い、少し怯えながら青春を過ごす少女の思春期とはどんなものだったのだろう?直接描かれているわけではないですが、それが想像できて、興奮できます。この時点で、読み手は美月をイヤらしい目で見る霧山とばっちり一体化できます。
(霧山の語りは若干ナルシスティックなところもあるので、そこまで下品な表現は使われませんが、私は思いっきりイヤらしい目で美月を眺めましたw)

真似したいポイント2            

圧倒的優位感

「彼氏いるんでしょう?美月ちゃん可愛いいから」

 すると、目を伏せた美月が小さな声で言った。

「彼氏なんていません」
「そうなの?意外だね。こんなに可愛いのに」
「わたし…ダメなんです」
「ダメって、何が?」
「彼氏が出来ても…その…」

 先の言葉を待っていたが、それっきり黙ってしまった。チラッと見た彼女の顔は、思いつめたような表情を浮かべている。

 多分、男はいないだろうと思っていたが、本人の口からそれを確認できたのは収穫だった。

第3話「美月の指」

これは、フェチですけどね。奥手で地味っぽい子が、彼氏がいない(いたことがない)、ことに対して抱えているコンプレックスは雄にとって好物なんです。

(性豪アピールする女性を前にすると、案外縮こまってしまうものです。それは無数の雄の個体との競争を意味するのでね。男って、そういうしょうもない生き物なのさ。璃世さん、きっとそういう男性の姿を見てこられたのかな、、、、なんて想像をしてしまいましたw)

美月は他に男を知らない。そうして俺はこの女の手を撫でて、舐るだけで意のままに、まるで蛇口をひねるように快感を引き出せる。

この圧倒的優位性は、雄の全能感をくすぐってくれます。

手を責められてイッてしまう女も初めてだったが、キスをされただけで失神する女など、それまで聞いたことが無い。私は美月が愛おしくなって、乱れた髪を直してやり、すべすべした頬にキスをした。

 外側から助手席のドア開け、グニャッと力の抜けた身体を抱き上げ、ホテルの入口に向かう。シックなワンピースに包まれた華奢な娘の肉体は子供のように軽かったが、抱いている私の手に、内に秘めた熱とドクンドクンと脈打つ鼓動をしっかり伝えてくる。

第5話「美月をかわいがる」

ある程度経験のある男なら誰しも、「女をイカせるのは義務」という感覚を持っているもの。それは、達成すべき悦びでもある一方で、時に窮屈な義務感でもある。

ところが、どうだ、この状況は。もうホテルに連れ込む前の車中で、霧山は一仕事終えている!! 「こっから先は全部俺のターン」とは霧山は口に出しては言わないが、きっとそう思ってる。いや、永井ならそう思っている(笑)。

真似したいポイント3            

ドラマティックアイロニー

ホテルでのプレイはさすがにネタバレが過ぎるので避けますが、結局、最後はある種の価値の逆転が起こります。
(実は美月がやりマンだった、みたいな話ではないので安心ください)

完全に自らが導き、女にしてやった、と思っていた美月が、実は極めて意識的に霧島を誘惑していた、導かれていたのは、実は霧山の方だった、ということが明らかになります。

これら一連の流れを通して、霧山の口に語らせていながら、
「この男は恰好つけて、プレーボーイ気取りだけど、結局女の方が一枚上手だかんね」
とあっかんべーをしている、そんな作者の姿が想像できて、思わず苦笑いしてしまいました。
主人公だけが、イマイチそのことを飲み込み切れていない。いわゆるドラマティックアイロニーの形で物語が締めくくられています。ほんとにお洒落で技巧的な結びでした。真似したいけど、高度すぎて真似できないなー。

厚顔無恥で我田引水な便乗宣伝!

璃世さん、ごめんなさい。この真似したいシリーズは、ちょろっと自分の作品の宣伝をねじ込む悪習がありまして(笑) ちょっとだけ、お付き合いください。
性感帯としての手、それを思いつけなかった悔しまぎれに、「僕だってこういうの書いてるんだもん!」っていうノリですw

その作品は、拙著『カレと、ワタシと、パンデミックと』

美月と同じように永井のヒロイン、摩耶も処女喪失を迎えますが、その際に、年上の先輩社員添田さんから、丹念に指を撫上げられます。ただ、指は指でも、足の指でした!残念(何がw?)
足指舐めを通して、自分に自信がなく、殻にこもりがちだった摩耶の心は少しずつほぐされ、戸惑いながらも、自分の女としての価値を発見していきます。まさに、添田の手によって導かれていきます。

貴島作品の読者の方々には、是非読み比べてみてほしいです
(ガクガク、プルプル)!

あとがき

璃世さんの世界観にどっぷり漬かれる本作でした。基本的に、官能小説は「真似できるところないかな?」という視線でどうしても読んでしまいますが、結論、世界観が違っているので真似できなさそうです(笑)
でも、お手手の性感帯だけはいつか書いてみたい、、、、。

霧山ものの続編もたくさんあるようなので、楽しみです。最終的にM男墜ちするところまで行ってほしいなと思います(笑) 寝取られて憤死しかねないくらいボロボロになる純生君を見たいんですが、ダメですか、璃世先生!!

(完)

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