登場人物
健斗(25)・・・彼氏
めい(25)・・・彼女
○ グラウンド
めい、健斗を連れてやってくる。
健斗、アイマスクをつけている。
めい「取っていいよ」
健斗、アイマスクを外す。
健斗「(太陽を見てしまい)うわっまぶし
っ」
めい「どこだか分かる?」
健斗「え…(じっと見て)グラウンド」
めい「そう。今からこれをやってもらう」
めい、ポケットからスマホを取り出し、健斗に見せる。
スマホには人気YouTuber『東海オンエア』の動画『新競技 1500m牛丼』が再生されている。
健斗「おいおい、なにかの冗談だろめい。昨
日ちゃんと謝ったじゃないか」
めい「あんな謝罪で許すとでも思ってる
の?私の友達と浮気して」
健斗「いやだからそれは・・・」
めい「言い訳なんか聞きたくないから」
健斗「めい。1回帰って話し合おう。なっ」
めい「(無視して)ルールは動画と同様。
1500m走った後この(牛丼並盛が入っ
たビニール袋を見せ)牛丼並盛を食べて
もらう」
健斗「そんなの無理に決まってるだろ。吐い
ちまうよ」
めい「無事完走出来たら今回のことは目をつ
ぶってあげる」
健斗「だからめ・・・え?マジで」
めい「但し、リタイアしたら・・・別れるか
ら。で、どうする?」
健斗「やって成功すりゃ許してくれるんだ
ろ。だったらやってやるよ」
✕ ✕ ✕
健斗、スタート時点に着く。
めい「位置についてよーい・・・ドン」
『ドン』の合図でめいはストップウォッチを作動し、健斗は走り出す。
✕ ✕ ✕
1500m完走する健斗。
疲れて倒れこむ。
健斗「(息が荒い)よし・・・ゴールだ」
めい「まだゴールじゃないよ。向こうのベン
チで牛丼食べて」
健斗「休みもなしかよ・・・」
ゆっくり立ち上がりよたよた歩く健斗。
ベンチに並盛の牛丼と2Lの水が置いてある。
めい「さぁ早く食べてください」
健斗「(ハァハァ言いながら)ちょっと待って・・・」
めい「リタイアするの?」
健斗「するわけねえだろ」
健斗、牛丼を一口で食べたては水を飲むを繰
り返す。
めい「どうですか?牛丼のお味は?」
健斗「一生恨みたくなる味です」
めい「牛丼の汁だくがゲロだくにならないよ
うに気をつけてね」
健斗「ウプッ(吐きそう)」
めい「あれ?吐きましたか?」
健斗「吐いてねえよ。お願いだからゲロって言わないくれ。なっ」
めい「はいはい」
✕ ✕ ✕
少なくなってきた牛丼の量。
健斗、動きが止まり、一点を見つめる。
めい「限界ですか?」
健斗「・・・」
めい、ビニール袋を健斗に渡す。
めい「吐いてもいいんだよ。その代わり吐いた
ら別れるからね」
健斗「スポーツマンシップ・スポーツマンシッ
プ・スポーツマンシップ」
健斗、ビニール袋を潰し、再度牛丼をかき込む。
めい「うわっいったぞ」
口をもぐもぐする。
めい「さあ、口を開けたらゴール」
健斗、飲み込み口を大きく開ける。
検討の口の中には牛丼がない。
めい、ストップウォッチを止める。
めい「記憶、15分57秒」
健斗「っしゃあ」
めい「おめでとう健斗」
健斗「めい、オレが好きなのはお前だけだ」
めい「じゃあ次これやって」
めい、健斗に動画を見せる。
健斗「・・・」
了