R6年度2級造園技能士合格しました。得点の開示請求をしてみた。はたして得点は?
私は本職はITエンジニア兼プロジェクトマネージャですが流行りのリスキリングでハイブリッドのスキル保持を目指しR6年度、2級造園技能士の資格を取得しました。
2級の受験資格には2年以上の実務経験が必要です。剪定、植栽とかの造園関連の経験も持ち合わせていますが、もう何十年も前のこととなります。
受験申請で職歴欄に研究開発やIT関連職は関係ないので昔の造園関連の職歴しか書きませんでした。なのでずっと無職なのかと、職歴確認の電話がかかってきたぐらいです。
また実際、四ツ目垣の作成や敷石の設置などはしたことがありません。そこで受験に1年弱の準備をしました。
試験問題
1.学科は正誤25問、4択25問の合計50問
2.実技(製作等作業試験)は四ツ目垣の作成、縁石、飛石および敷石の設置、築山と植栽から構成されます。
・仕様と施工図面は事前公表される。
・作成制限時間2時間30分(延長30分まで、ただし経過時間により減点される)それ以上は失格となる。
3.実技(要素試験)は115種の樹木から15種類選定されて、小枝付きの葉っぱを見て樹種名を答える(115種のリストから選択する)
・115種のリスト名一覧は事前公表される。
合否基準
1.学科、65点以上/100点
2.実技 60点以上/100点
内訳:
・製作等作業試験:最低32点以上/80点満点
・要素試験:最低8点以上/20点満点
試験対策
1.学科
過去問の問題集を勉強すれば大丈夫です。3周すれば合格点には確実に届くはずです。難しくはありません。
・(社)日本造園組合連合会 「造園技能検定問題集精選500題」
・参考図書は(社)日本造園組合連合会 「造園施工必須」
2.実技
製作等作業試験
これは練習が必要です。本職の造園業の方でも制限時間内に作成するためには一度は必ず通し練習は必要です。
私の場合、剪定、植栽以外は素人だったのでシュロ縄の結び方から練習が必要でした。水糸を張っての敷石の設置練習も行いました。
四ツ目垣は合計4回作成、敷石は2回ぐらいの設置練習をしています。庭には結束練習用に四ツ目垣を立てて何度も練習しました。またyoutubeの参考動画を見て練習しました。独学です。
本番試験前に実地トライアルを受けて実際この時に初めて通しでやりましたが、植栽無しで3時間もかかっています。制限時間30分オーバーで、これではもし1分につき1点減点されると基礎点50点(満点80点)ですのでここから挽回するとなると相当な精度で作成しないと少しでも寸法差で減点されると不合格になるのは目に見えています。
本番はこのオーバーした30分を短縮するのに寸法精度は諦めて時間内に作成することと仕様間違いだけはしないように心がけました。
寸法精度は許容範囲の大きさで減点されますが、仕様間違いは大幅減点されます。
仕様間違いには、以下があります。(想定)
・結び方がちがう。裏綾掛けいぼ結び、からげ結びになっていない。←致命的なミスになります。
この「からげ結び」は何回もやって体で覚えていないと本番時にあせってスタートの巻き方が違うとわけがわからなくなって時間を使ってしまうので注意が必要です。本職の方はそうではないと思いますが。
・竹子の上下が違う。←致命的なミスになります。
・石の配置間違い。←致命的なミスになります。
・飛び石の表裏間違い。
・縁石と敷石のちりの高差がない。
以上を念頭に入れて出来上がったのがこれ。
実地トライアル 制作時間3時間(30分オーバー、植栽なし)
本番試験 制作時間2時間29分
見た目できているように見えますが、施工図面で指定されている寸法差は各所あります。合計20点ぐらいは減点になっているかとこの時は思いました。
要素試験
小枝付きの葉っぱを覚える必要があります。樹形や花を見て樹木名を当てるのはまだ簡単ですが、葉っぱだけを見て樹木名を当てるにはやはり目で見て訓練が必要です。
・参考図書は講談社「葉っぱでわかる造園樹木図鑑」(造園技能検定に出題される170樹種を掲載)がいいです。
公園で実物を観察してはスケッチとかして何回も記憶しました。
結果発表
2級造園技能士に合格しました。学科の回答は公開されるので自己採点でわかりますが、実技の得点はわかりません。将来1級を受けたいので実技はどれぐらいの点数が取れていたのか。それによって今後の対策を検討します。
実は技能検定の得点の開示請求ができます。受験した都道府県の技能検定担当部局に連絡すれば開示方法を教えてもらえます。
私は大阪で受けたので、大阪府咲洲庁舎の雇用推進室 人材育成課に出向いてその場で教えて頂きました。合格通知書(または受験票)と身分証明書をだせば口頭で教えてもらえます。結果は以下の通りです。
学科 49/50
正解数を教えて頂いたので多分2倍して98点です。過去問は5周したし1問間違いのこんなものですね。
作業 55/80
減点20点ぐらいと思っていましたが減点25点喰らっています。
試験当日は台風の影響で雨の中の作業で最悪のコンディションでした。地面はもう泥状で埴土の様相で敷石設置するも沈み込むといった状態で、竹も泥だらけです。整地も満足にできていませんが、制限時間内にできてよしとします。なにしろこんな作業初めてなので。
制限時間内に納めれば仕様間違えさえなければ55点ぐらいはとれるかと思います。ただし1級になるともっと厳しくなるかと。
要素 12.5/20
あれだけ繰り返しやったのに12.5点しかとれていない。小数点以下は切り捨てとのこと。15点はあるかと思ったけど、実際出された問題で通常の大きさよりも想定の2倍以上の大きさの葉っぱとかなるともう違った葉っぱに見えてきます。
また、小数点以下の配点があるということは葉っぱによって難易度があるということになります。例えば造園屋ならだれでも分かるイロハモミジ、ナンテン、メタセコイア、アカマツ、クロマツ、アオキ、クスノキ、ムクゲ等々は1点でその他は1.5点かも知れません。1点が5種、1.5点が10種となります。(想像です)
この葉っぱの要素試験は鬼門で最低8点とらないといくら製作等作業試験で満点の80点をとっても実技不合格になります。最低でも6~7種は正解しないといけません。
学科 98、実技 67で合格となりました。2級は独学でしたが、1級受験時は講習を受けたいと思っています。制限時間内に納めるのはもちろんのこと寸法精度も上げていきたい。また要素試験の葉っぱは更に46種追加されるのでこちらも覚えていきたい。
以上、独学での2級造園技能士試験の何かの参考になれば。
後から知ったのですが、「2級造園技能士検定課題における作業工程の分析」2009年日本造園学会の論文見つけました。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jila/72/5/72_5_475/_pdf/-char/ja
結論として標準時間内で作業を行うには4、5回程度の練習が必要と記載されていましたが、実際自分が練習したのは4回でトライアルを含めると5回で標準時間ちょうどでした。