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「みんなでひきこもりラジオ」

NHKの「みんなでひきこもりラジオ」

知人から「ぜひ聴いてみて」と言われて、NHKの「みんなでひきこもりラジオ」を聴き逃しサービスで聴いてみました。

仕事帰りの車の中でスマホのアプリで、まずは11月23日(月)の18時からの放送を聴き終えたところです。

MCを務める栗原望アナウンサーの優しくもかる~ぃ感じのトークが何とも軽妙な感じで、聴き疲れすることなく、あっという間に1時間が過ぎてしまいました。

一応のテーマが設定されているものの、必ずしもそれにとらわれることなく、その時その時リスナーから寄せられるメールやツイートを栗原アナが読み上げ、万全な回答は出ないものの、書き手の気持ちにできるだけ寄り添ったコメントをしていくということの繰り返しで番組が進んでいきます。

途中、電話でのインタビューコーナーなどもあり、引きこもり当事者の人や経験者の人の話を聞くことができます。

今日、聞いていて、印象に残ったことをいくつか書きます。

印象に残ったこと(1):当事者にとっては曲のリクエストのハードルが高い

1つは、引きこもり当事者の人たちにとって、曲のリクエストをすることは、ハードルが高いということです。自分がリクエストした曲名を聞いた他のリスナーたちが「ドン引き」したらどうしようという気持ちになるのだそうです。

これはちょっと考えもしなかったことだったので、正直驚きましたが、でも、気持ちがとてもよく理解できるコメントだなと思いました。

ラジオ番組に曲をリクエストするのなんて、普通に考えたら、それをかけてもらえるかどうかどうかも分からないまま、自分の好きな曲を伝えるだけ伝えてみるという作業であるわけです。そして、全国からたくさんのリクエストが集まるのですから、その中から1曲を選ぶのはパーソナリティーの責任であるわけで、しかも自分の名前が出るわけでもなし、たとえその曲名を聞いた数名のリスナーが「ドン引き」したとしても、誰が、そして何人が引いたかなんて分かるわけもなし、その責任が問われるはずもなし、ですからリクエストをした当人が責任を負えるはずもないわけです。

ところが、そこを、自分の選んだ曲のせいで、引いちゃう人たちがいるかも知れないということを考え、それが怖くてリクエストのメールを送ることもできないというのは、一言で言ってしまえば「考えすぎ」であり、言葉を選ばずに表現すると「自意識過剰」であるわけですが、でも、それを「考えすぎ」とか「自意識過剰」の一言で片づけることができないほど、考え込み、心配をしてしまう心の動きがあるんだなということを、とてもよく理解することができました。

もちろん、そういう心になってしまういろいろな経緯があってのことですから、本人を責めるということなどはできませんし、今は、そうなんだね~と受け留めること以外にはできないわけですが、いゃ、それにしても、そういう心を抱えて生きるのは本当に辛いだろうなと思います。

印象に残ったこと(2):「自分だけではない」ことを知れる嬉しさ

もう1つは、今のような状態でいるのが「自分だけではない」と知ることができるということが、とても嬉しいというコメントです。

統計上、日本には100万人の引きこもりをしている人がいる、という情報では、「自分だけではない」とは思えないということなのだと気づかされました。

引きこもりになった原因はそれぞれ違うし、どのくらいの期間、どのような形で引きこもっているかという状況も、みんな違うわけですが、でも周りの人と同じような社会生活を送ることができず、生きづらさを抱えているという意味では同じで、誰にも理解してもらうことができない辛さを共有できる相手がいたり場があったりするということが、慰めであり励ましになるということなのだと思います。

同じような境遇にある人とリアルタイムでつながるという意味では、Twitterでも良いのではないか?と安易に考えてしまいますが、SNS上での関係づくりが苦手という人も少なくないようですので、ラジオ番組というのはとても良い機会になるのだなと思いました。そこに着目したNHKラジオ、なかなかやるじゃん、と、素直に思います。

印象に残ったこと(3):経験者は語る…ことを許される

これで最後にしますが、電話でインタビューに答えていた20代の女性が、自分の引きこもりから脱却できた経験を踏まえて、当事者の人たちの助けになる活動をしているというのがステキだなと思いました。

それも自分1人で活動するのではなく、当事者の人たちにインタビューをして、意見を聞きながら活動の方向性を決め、さらには当事者を巻き込むことによって、自分が他の人の助けになることができているという実感を得ることができる場を提供しつつ、他の当事者が立ち直るきっかけとなるものを提供するという非常に質の高い活動を展開しておられるのがすごいと思いました。

経験者だからこそ、そこまで深いレベルで考えることができるのだと思いましたし、何よりも、経験者だからこそ、自分の経験を踏まえて、当事者の人たちに寄り添い、具体的な提案をしていくことが、受け入れられるというか、ある意味「許される」のだなと思いました。

感じたことをとりとめもなく書きましたが、引きこもりに限らず、現代社会の歪みの中で、生きづらさを抱えている人たちには、「あなたは生きてていいんだよ」、「そのままで充分価値がある存在なんだよ」というメッセージを、いろいろな機会に受け取っていってほしいなと思います。

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