見出し画像

一般社団法人神戸コリア教育文化センター

解放後(戦後)70年近くを経、いま在日コリアンは、どのような時代を生き、どこに向かっていくのでしょうか。

過酷な植民地期を生きた1世は、ほとんどが他界され、日本社会の差別と偏見のなかで自らの民族的アイデンティティーをまっとうに育むことすらできなかった2世も高齢化が進んでいます。また、戦後、今に至るまで民族教育も保障されないままに3世・4世と世代を経ていくなか、自己実現の選択肢は少しずつ広がってきたとはいえ、日本籍取得者の増加や国際結婚の高い比率を背景に、民族意識は希薄化の一途をたどり、民族文化の継承はいっそう困難になってきています。

これまで在日コリアンの権利擁護、親睦交流を担ってきた民族団体や民族コミュニティーも、求心力の低下が指摘されて久しく、全国有数の同胞多住地域である長田においてすら、若い世代が自由に集い、学び、語り合う<場>はほとんどありません。

一方、南北コリアと日本との間には植民地支配に起因する未解決の諸課題がいまだ残されており、祖国の分断や東アジアをめぐる政治情勢ともあいまって、在日コリアンはこれまでさまざまな影響を受けてきています。

また、近年の日本社会における暴力的な差別排外主義の台頭は、背景にある政治経済社会状況とあわせ考えるとき、マイノリティーを脅かすきわめて危険で深刻な事態であると言わざるをえません。

このような中、私たちは、これまで神戸で活動してきた「コリア教育文化センター」と「神戸在日コリアン生活文化資料館(仮称)設立準備委員会」及び「長田在日大学」をひとつにし、2014年4月、神戸・新長田を拠点に新たに一般社団法人神戸コリア教育文化センターを設立する運びとなりました。

この間、「コリア教育文化センター」は2005年より活動を開始し、神戸在日コリアン保護者の会が20年間にわたってねばり強く推し進めてきた公立学校に通う在日コリアンの子どもたちの民族教育活動、とりわけオリニソダンやオリニマダンなどを全面的に支援するとともに、学校や社会の多民族・多文化共生推進に向け取り組んできました。

また、「神戸在日コリアン生活文化資料館(仮称)設立準備委員会」は、大きな反響を呼んだ2010年と2012年の「在日コリアン家族・生活写真展」実行委員会の中から立ち上がりました。近い将来の神戸における資料館設立に向け、この地域における在日コリアンの歴史・生活資料等の収集保存活動を進めています。

2012年にスタートした「長田在日大学」は、在日コリアンが世代を経、「多様化」していくなかにあって、あらためて自分たちの歴史から学び、様々な課題に向き合う生きた実践的な学びの場を、世代をつなぎ地域に根ざしてつくっていこうとの思いから、わずか1年余りですが、これまで4回のセミナーを開催してきました。
私たちは、これら3団体が取り組んできた活動の相互連携性や人的ネットワークの拡大・交流の促進、財政的基盤強化の面から、ひとつに統合することがよりいっそう活動の継続発展につながると考えています。

“くつのまちながた”を支え、1世紀以上の歴史を歩んできた在日コリアンをはじめ、多様なルーツをもつ人々が暮らすこの神戸の地に、ひとりひとりの思いが大切にされる、真に豊かなともに生きる社会を築き、次世代につなげていきたいと思います。どうか、ご支援、ご協力のほど、心よりお願い申し上げます。

2014年4月
一般社団法人神戸コリア教育文化センター
https://www.korea-uriecc.org

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?