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ゲーム実況を見て進路を決めた。「コンテンツが自分の礎」と言い切る理由:ハルさん

ハル(@suiminbus_ok)さんに、コンテンツとの関わりについて、インタビューしました。 

インターネットと2次元にどっぷりはまった思春期

ーーハルさんは現在(2021年1月)大学4年生で就職活動中ということですが、コンテンツとの関わりを軸に、これまでの20数年のことを教えていただけますか?

小学校低学年のころは、『星のカービィ』や『MAJOR』を親と見ていました。我が家では、アニメは一家団らんの象徴の1つで、さっきも母親とおでんをつつきながら『ゆるキャン』を見てました(笑)。

小学4年生くらいからは深夜アニメにハマって、『とある魔術の禁書目録』(『とある』)のDVDをTSUTAYAで借りたり、原作のラノベを買ったりするようになりましたね。

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出典:版元ドットコム

ーー小学校4年生から深夜アニメを見始めるのは、かなり早いほうではないでしょうか。

当時、BBS(電子掲示板)によくアクセスしていて、そこで中学生のお兄さんたちに教えてもらったんです。『とある』の文章はまだ当時の自分には難しかったんですが、「こんなの読んでる自分かっこいい!」と大人になれた気がしました。

掲示板は自分でもスレを立てたりとかなり入り浸っていて、振り返ると、自分の素を出していた唯一の場所だったように思います。

中学に入ると、漫画だと『神のみ』(『神のみぞ知るセカイ』)、ラノベ・アニメでは『俺妹』(『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』)や『中二病でも恋をしたい!』などのラブコメを中心に見るようになりました。

かなりこじらせていた中学生で、恋愛とは無縁だと思っていました。その憂さを昇華できる場が2次元だったんです。本当に笑い話なんですが、汐宮栞(『神のみ』のヒロインの1人)を中1で初めて見た時は、“ガチ恋”して動悸が止まりませんでした(笑)。

ーー本当に、小さいころから一貫して、2次元コンテンツやインターネットを愛してこられたんですね。高校はいかがでしたか。

高校に入ると、落語研究会に所属し、委員会活動にも従事していたためとても忙しくなって、しばらくは本やアニメから離れていました。

ただ、高3の受験期、『デレマス』(『アイドルマスターシンデレラガールズ』)に出会ったんです。

ゲーム実況を見て、大学を決めた

ーー『デレマス』との出会いのきっかけはなんだったんですか?

もともと『アイマス』シリーズに出会ったのは、中3の受験期です。無印(『THE IDOLM@STER』)を友人に勧められて、それが受験期の癒しになっていたんです。もう一度受験期にその成功体験にすがりたくなって、当時流行っていた『デレマス』をやり始めた、というわけです。

実は以前は765プロ(無印の舞台となる芸能プロダクション)以外は認めない原作至上主義だったんですが、アニメも見ながら実際にやってみると、無印から引き継いでいるアイドル育成ゲームとしての面白さに加えて、作画のクオリティ、キャラの立たせ方と言う点がとても良かったです。その良さを紹介したnoteも書いたことがあります。

特にアイドルの1人、神谷奈緒は、太眉のルックス、アイドル活動への真摯な姿勢、そしてクールさとキュートさのギャップがとても魅力的で……。

(アニメ放送当時の Twitter。手前が神谷奈緒)

ーー語り口から、神谷奈緒さんへの愛を感じます……。大学に入ってはいかがですか?

大学に入ってからは、何かしら勉強になるような作品を見るようになったと思います。たとえば『NEW GAME!』と『ベイビーステップ』。『NEW GAME!』は、ゲーム業界への就職があった時期に業界の参考として、『ベイビーステップ』はセルフマネジメント(自己管理)の勉強になりました。

ちなみに、これは大学に限らない話ですが、アニメ・漫画・ゲームなどのコンテンツからはかなり影響を受けてきたと思っています。たとえば、『ガルパン』(『ガールズ&パンツァー』)を見てロシア語を学んだり、『お酒は夫婦になってから』を見て家でカクテルを作るようになったり。そもそも、今の大学に進路を決めたのも、ゲーム実況がきっかけだったんです。

ーーゲーム実況が大学の選択にどんな影響を?

高3のころ、スゥーさんという方の『牧場物語』というゲームの実況を見ていたんですが、その配信者は実際に熊本で農業を営まれている方で。ゲームとリアルの違いなども話しながら、農業について語られていました。

それで農業の奥深さに興味を持ち、文系で、本格的な農業サークルがある今の大学を目指すことにしたんです。無事希望通り入学でき、大学では農業サークルの代表も経験しました。

本当に、コンテンツは自分の礎になっていると思います。

「体験の言語化」との出会い

ーーここまでお話を聞いてきて、過去の出来事について詳細に覚えていて、かつしっかりと言語化されていることに驚いています。就活にあわせ、自己分析をされてきたためでしょうか?

いえ、就活だからというよりも、自分の内面を知るのが好きで、普段からセルフインタビューをしているからかもしれません。コーチングについても自主的に勉強して、自分の生活習慣の改善に生かしています。

ーー納得が行きました。そうした内面の掘り下げは、いつからされているのですか?

大学1年生のときに履修した「体験の言語化」という授業がきっかけです。

通常、授業は先生が話す内容を受講生が聞くものですが、「体験の言語化」は受講生が話さないと何も進まない授業です。

受講生が生きてきて感じた負の感情、そのもやもやについて、受講生間でのコミュニケーションを通しながら、言語化していく授業なんです。

ーーなるほど、その授業以降、体験を自身で言葉にするようになったんですね。

この授業は自分にとってとても大きな出会いで、進路選択にも影響を与えました。

「体験の言語化」では、自分の中ではまとまっていない内容を話しても、先生も受講生もありのままを受け止めて、肯定してくれる。そんな体験は、大学生よりもむしろ、情緒が安定しづらい中高生こそが受けられたほうがいいのではないか、と思ったんです。

そこから教育学に関心を持つようになり、今はまさに教育に関わる企業を中心に就職活動をしています。2020年度、僕は休学していたんですが、その間いろいろな教育機関でインターンもさせてもらっていました。

(「体験の言語化」を通して教育学に目指すようになったことを記した、ハルさんのnote)

影響されやすい自分の、変わらない軸

ーー大学を選ぶときにはゲーム実況、そして専攻や就職先を選ぶときには大学の講義がきっかけになったんですね。

コンテンツに影響されて色々始めたとも話しましたが、僕は良い意味でとても影響されやすい性格なんです。

ーーちなみに、影響を受けやすいというのは良い面ばかりではないのかな、とも思います。自分の軸を見失ったりはしませんか?

たくさん影響は受けますが、僕の軸は変わっていないと思います。それは、良いと思ったものを発信していく、ということです。

BBSにかじりついていた小学生時代は、人に勧められるだけでなく自分でも好きな作品をスレッドで紹介していましたし、友人への『とある』の布教もかなり力をいれていました。

大学ではインタビューやライティングを始めました。今は、ライターの枠に囚われず、多業界の魅力を引き出すデジタルマーケターになれたら理想だと考えています。自分の発信力をもっとつけて、誰かの力になれるようになりたいですね。

<了>

取材協力:ハルさん


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