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サンク・アール創業者「島田澄也」との仕事

島田澄也との思い出深い仕事は1987年のモスライスバーガーのグラフィック撮影です。
お米のハンバーガーが初めて世の中に登場する時のポスター用の撮影で、横40m・縦25mの巨大布にモスライスバーガーを描き空撮するというものでした。

パソコンもデジカメもドローンもない時代、まずは予め理想的なモスライスバーガーを写真に撮ってプリントしてもらいました。
そこにマス目を引き、それを目安に拡大画にするという極めてアナログな作業。

11月の石垣島に巨大布を持ち込み、島田の指示で4人で1週間かけて描画。
チャーターしたヘリが2人乗りだったので島田だけがヘリに乗り仕上がりチェック。
「ハイライトをもっと強調しよう」という事ですぐに修正作業に入りました。
この時点で我々描画チームは島田以外は絵の全体を像見ていません。

撮影本番日、ポラロイドを見せてもらった時に初めて描けている全体像を確認できました。「おー、描けてる」 まだ駆け出しだった私は大仕事をやり遂げた感でいっぱいでしたが島田は特に満足そうにも不満そうにも見えず、淡々と「一仕事終了」といった風情だったのが印象的でした。

島田のサンク・アール以前の略歴
(「島田澄也展 蒼き昭和時代」2015 リーフレットより抜粋)
・昭和2年8月18日、豊島区長崎町に生まれる。
・戦時中末期、東京美術学校入学後、後の東京藝術大学中退。
・絵描き仲間に入る。前衛美術会会員。
・革新的政治活動ののち結婚
革新的政治活動というのが気になりますね(笑)。

1964年の創業時から1988年までの24年間、代表取締役社長を務めていました。
社長ではありましたが心は常に画家だったと思います。

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若き日の島田澄也(1975年)

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