夜明けを抱きしめて
映画 夜明けのすべて を観た感想。
初日2回目を観て、備忘のためにメモしたものなので、見当違いのことも多いかも。
でも、この作品に出会って思ったことを忘れたくないから、少し恥ずかしいけれど記録。
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公開からかな〜り経ったので、そろそろもうよいかしらということで、放出。
(というかこのnoteの存在をわすれていたw)
ネタバレしかないのでご注意ください〜。
◾︎早退した山添くんにコンビニの色々を差し入れする藤沢さんのシーン
ドアを閉めたあとの山添くんの動作と息遣いだけで、あのグレーのエコバッグにはどれくらいのものが入っていて、それを見てどう感じたのか、藤沢さんについさっき発したことばや取った行動についてどう感じているのかが「判ってしまう」とても好きなシーン。
◾︎髪を切り、顔色が良くなった山添くん
登場シーンと、その次のシーン(藤沢さんとのファーストカット)の山添くんの顔色の悪さや頬のこけ方、身体の薄さが異常で、だからこそ髪を切ったあとの病院でのシーンの顔面ドアップドーーーン!と、「顔色良くなりました?」がとても信ぴょう性があるように感じた。し、めちゃくちゃわらってしまった。
あと、その後の栗田科学での「山添くん髪切った?」「まあ一応…」←これも必死にわらいを堪えた。一応って何?めちゃくちゃ切ってますけれど
◾︎栗田科学のジャケット
前半では頑なに着用しなかった山添くんが、藤沢さんの早退をきっかけに、ジャケットを着て、自転車を漕ぐ。
いまの仕事に誇りを持ち、転職しないと決めて、後半では着用しているの、すごく印象に残っている。
◾︎雨の日に突然彼女が山添くんを訪ねに来るシーン
山添くんの、表情、仕草、声、全てを見逃したくない、あまりにもお芝居だけで判らせてしまうシーンだと感じた。
藤沢さんや栗田科学の人達に見せる顔や声とはまた違う、彼女にだけ見せる姿と、その後見せる顔と小さな声が、切なくて、でも忘れたくない。
◾︎藤沢さんの愛おしい奇行
・山添くんに謝るタイミングが、歯磨き中
・お詫びのしるしに漬物
・休日に同僚の家に自転車持ち込み
・ノリで散髪(未経験)
・お守りをポストに投函、ドアに手を合わせる
・お守りを手土産のように複数買い
・外を歩きながらみかんを食べる
・初対面の人にお守り配布
・残少スナック菓子は流し込む派
・面接練習中にリーフレット渡しちゃう
・店員さんにも渡しちゃう
◾︎忘れ物を届けに行った後の、スマホのやり取り
おそらくLINEかなにかなのだろうけれど、その文面も、内容も映すことなく、ただそれらがどんなことばで、そしてふたりがどんな気持ちになったかが、ふたりの表情だけで判ってしまうだけでなく、こちらまで胸があたたかくなるの、俳優の力ってすごい…と、幼稚な感想を持ってしまうほどお気に入りのシーン。
◾︎声
松村北斗という俳優と上白石萌音という俳優の凄さは、芝居というものに明るくない私でさえ感じ取れる、自身の凄みをひけらかさない(或いは表に漏れない)謙虚さやコントロール力、そしてなにより声を操ることに長けている点なのではないかと考えている。本作の冒頭は藤沢さんの声から始まる。
宣伝にも使われている「自分のことがよく分からない」と 淡々と、どこか諦めや投げやりさ、無気力さを伺えるその声がなんとも印象的だったが、原稿を読むシーンや、終盤のプラネタリウムでの解説など、人間の温度がこれまでも伝わってきそうな、あたたかく「誰かに聞かせるための声」だと感じた。
これは終盤の山添くんの語りおよび原稿の読み上げのコントラストにも同じことが言えると思う。
本当に声のいいふたり。
◾︎出会うことができてよかった 人
山添くんにとって藤沢さんは、恋人でもなく、親友でもなく、「出会うことができてよかった」人 。
またそれは、きっと藤沢さんにとってもまた同じような意味を持つ存在なんだろうと、わざわざことばにされなくても伝わる作品。
気を遣いすぎることもなく、また土足で踏み込むような乱暴さもなく、心地よくラインを越えない、まさに特別な関係を築き、またその関係や環境を旨味に思うことなく、依存することなく、意志を持って道を選び拓いているふたり。
とてもすてきで、ただ勇敢とかヒーローとか偉いとか人格者とかそういうことではなくて、あくまでも日常の、例えば隣の街に栗田科学があるんじゃないかとか、そんなことを思えてしまうようなほどの生活感やトーンが堪らなく心地よかった
わたしも、この作品に出合うことができて、よかった。
必ずやってくる夜明けを信じて、人生に訪れる様々を、うまくやっていきたいものです。
山添くんや藤沢さん、
そしてあたたかくやさしい皆さんに会いに、
また映画館に行きたいな。
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