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武甲山と銚子ジオパーク(堆積岩の山々)

『地質が分かる』とは、どういうことでしょうか?

それは目に見えている山の形や岩石の種類を表す言葉を知っている
というだけのことではありません。
それらがどのような”プロセス”を経て、現在の状態になったのかを
理解することが、『地質が分かる』ということなのです。
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地層の見方がわかるフィールド図鑑
青木 正博
目代 邦康
誠文堂新光社


堆積岩たいせきがんの山々の形成

日本列島の太平洋側の山をつくる地層は、東西方向に連続して出現しています。
どうして広い範囲で同じような地層が見られるのでしょうか?

このような地層は付加体と呼ばれています。この地層が東西方向に連続性が良いのは、太平洋側の海溝に沿って海洋プレートの沈み込みが進み、そこで地層がつくられたためです。

地層の見方がわかるフィールド図鑑
青木 正博
目代 邦康
誠文堂新光社

ジオパーク秩父ちちぶ

ジオパーク秩父の地域は、関東平野・西方の関東山地の北東部にあたり、奥秩父おくちちぶ山地、上武じょうぶ山地、外秩父そとちちぶ山地、秩父盆地および山中さんちゅう地溝帯ちこうたいに区分されます。

奥秩父山地(秩父帯・四万十帯しまんとたいからなる)は、2,000m級の峰が連なり、地形的に一般的に急峻きゅうしゅんで、切り立った尾根おねと深いV字こくを特徴としています。

上武山地(秩父帯からなる)と外秩父山地(三波川帯さんばがわたいからなる)は1,000m級以下の低山で、なだらかな山の中腹ちゅうふくまでたがやされた集落ができています。

秩父盆地には河岸段丘かがんだんきゅうが発達し、市街地が形成されています。

山中地溝帯には白亜系はくあけい(山中層群)の地層が広がっています。

秩父まるごとジオパーク

数億年前の岩石が語る、大洋の記憶

秩父山地の山々を形作かたちづくっている秩父帯や四万十帯と呼ばれる地層や岩石は、古生代こせいだい(約3億年~2.5億年前)から中生代(約2.5億年~6550万年前)にかけて遠く南洋で噴出した海底火山や火山島の火山噴出物、サンゴ礁を形成した生物や海洋に浮遊・遊泳ゆうえいした生物のからや骨格が海底に堆積したものなどからできています。海底に積もった堆積物は、陸地から流れこんだ土砂と混じりながら、海洋プレートとともに気の遠くなるほど長い時間をかけて大陸側に移動していきます。

秩父まるごとジオパーク

武甲山ぶこうざんの成り立ち(=ジュラ紀の海洋堆積物)

武甲山は、奥秩父山地の秩父市と横瀬よこせ町の境界に位置する山です。

南方にあった火山島が活動を終え、

浸食によって削られ(約3億年~6550万年前)、
サンゴ礁をまとうようになります。

サンゴによってできた石灰岩をせた海山かいざんは、プレートの動きにより北上し、深い海溝に引きずり込まれます。そして大陸プレートに押しつけられ、はがれ落ち、やがて(2000 ~ 1500 万年前に)隆起りゅうき浸食しんしょくされることで地表に現れた山が武甲山です。

武甲山の北側斜面は石灰岩ですが、その下と南側は海底火山の溶岩が変質した緑色岩りょくしょくがんです。

ウィキペディア

(1)武甲山の堆積岩(秩父帯)
(2)地層の場所・・・西南日本外帯
(3)時代・・・ジュラ紀~白亜紀
(4)地層の分類・・・堆積岩(付加体)


銚子ジオパーク

2012年9月に日本ジオパークに認定された「銚子ジオパーク」は千葉県銚子市の全域がジオパークのエリアになります。

恐竜が住んでいた中生代の海底の泥や砂などが固まってできた堆積岩たいせきがん日本海が形成された時期にできた堆積岩やマグマが固まってできた火成岩が分布しています。

銚子ジオパーク

銚子・愛宕山あたごやま層群は、約2億年前(ジュラ紀)に海溝に積もった海底の泥や砂といった堆積物たいせきぶつもとになっています。

日本列島誕生のトリセツ
高橋典嗣
昭文社
犬岩
千葉県最古、ジュラ紀(約2億~1.5億年前)に
できたと考えられている地層

(1)銚子・愛宕山の堆積岩(秩父帯)
(2)地層の場所・・・西南日本外帯
(3)時代・・・ジュラ紀
(4)地層の分類・・・堆積岩(付加体)


日本列島を生んだプレート運動(列島形成以前の地質構造)

日本列島の地質構造は、北上する海洋プレートにより海洋の堆積物が次々と陸に付け加わったため、関東から西には帯状おびじょうに地質帯が分布する地質構造になっています。

日本列島誕生のトリセツ
高橋典嗣
昭文社

恐竜が住んでいた時代に相模湖さがみこはなかった

新生代・新第三紀(約1700万年前)、丹沢たんざわは南洋の海底で噴火を始めました。
それが、移動するフィリピン海プレートに乗って北上。その後はユーラシアプレートの下へ沈み込む運命になっていました。

日本列島誕生のトリセツ
高橋典嗣
昭文社
写真提供者:星野伸
撮影場所:相模湖(神奈川県)

(1)相模湖の堆積岩(四万十帯)
(2)地層の場所・・・西南日本外帯
(3)時代・・・白亜紀
(4)地層の分類・・・堆積岩(付加体)


西南日本外帯の隆起

北部フォッサマグナに囲まれた関東山地には、
西南日本の基盤が露出しています。

約2000万年 ~ 1500 万年前に、西南日本外帯(秩父帯)が急速に隆起し、
北米プレートの上に乗り上げました。
フィリピン海プレートの北側では四国海盆が拡大しました。

関東平野の大半はまだ海であり、火山噴出物が海底で変質し、
緑色の凝灰岩(グリーンタフ)になりました。

(海水の蒸発により、海面が低い状態は約500万年前まで続きました。)

日本列島誕生のトリセツ

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