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歯周病治療で3つの歯科医院を受診した理由―②決意

四六時中、痛い、ぐらぐらするという感覚がある。でも、身体の一部でありながら、どのような状態に陥り、このような感覚が生じているのかがわからない。歯科医院選びのためにも病状を把握しておくに越したことはない。「痛い ぐらぐら」でネット検索をかけてみた。

近年、症例や治療に関する情報は、ネット上にあふれかえっている。歯科に関しても例外ではない。歯科医院はもちろんのこと、厚生労働省や学術団体、製薬会社、さらにはオーラルケア商品を扱うメーカーなども、こぞって各種症例やその治療法を解説する。

それらから、今回の症状は歯周病がかなり疑わしいというところまでは行きつく。しかし、確信までには至らない。仮にそうだとしても、進行の度合などは、まるで見当がつかない。まずは、医師による診断が知りたかった。

セカンドオピニオンならぬ、ファーストオピニオンの取得である。病因や病名、病状がわからない限り、症状に見合った歯科医院を選ぶ手掛かりはないに等しい。歯科医院の紹介などを見ても、得意としていそうな治療が自らの症状に適しているのかが判断できない。

ファーストオピニオン取得のための受診にあたっては、一つ決めていたことがある。それは、絶対に治療は進めないこと。つまり、症状の診断と、それに対する治療方法を聞くにとどめるのである。

かなりの痛みがあったが、今回の症状を歯科医院選びの手掛かりにすると決めた以上、おいそれと治療に踏み切るわけにはいかなかった。削ったり、抜いたりといった処置を受けてしまえば、同一の条件で診断や治療方針を比較することが困難になるからである。

歯科医院選びの難しさはここにあるといっても過言ではないだろう。現状では、歯は再生することがない。だから、削ったり、抜いたりする処置は一期一会となる。後日、処置に疑問を抱いても、同じ症状を再現することは不可能である。

それは、歯科以外の手術でも同じであろう。しかし、麻酔を使う、身体の一部が切り取られるという点では似ていても、一介の虫歯や抜歯の治療で術式や麻酔方法が記載された同意書の提出が求められることはない。つまり、処置に対する心構えが大きく異なる。

歯科の場合、たとえ初診であっても、受診してようやく理解した病状に対して、提示された処置がすぐに開始されることも多い。もちろん、処置に対する諾否は求められる。しかし、痛みが激しいほど、素直に受け入れてしまいがちになる。そこに、考える時間はほぼない。

多くの歯科医院が予約制であることも脳裏をかすめる。その日の処置を拒めば、次の診察は一週間程度は先になるのではないか、と。また、セカンドオピニオンを求めようにも、時間を要することは変わらない。処置を拒むことは、それなりの覚悟を要する。

今回のかかりつけ歯科医院選びは、最低でも二つの歯科医院で受診し、比較してみる心づもりでいた。医師との対話を通じて、説明の仕方や相性の良し悪しも確認したかった。質問に対する説明ぶりで、医師に対する信頼度が変わってくると思うからである。

内心では動物的勘が冴えわたり、信頼に値しそうなかかりつけの歯科医院がすんなりと見つかることを期待していた。歯科に限らず、病院を探すのは骨が折れるし、診察を受けると、どっと疲れが押し寄せる。可能な限り、最短ルートで片付けたい。

ところが、ファーストオピニオンを求める歯科医院選びは、初っ端から歯科医院がコンビニよりも多いという現実に右往左往することとなった。(つづく)


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