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こっちへおいで、ノスタルジー

あの日々は眠かったのをよく覚えている。

今、その日々を思い出している私が、ささやかな眠気の中にいるせいであろうか。

電車の中で何度はっと目覚めたことだろう

またある時は電車の中で次の駅が間近になっていくアナウンスを聞きながら必死に目を開けようとしていた、立ちあがろうとしていた

私は行きも帰りもこの電車で寝過ごしたことはなかった。

しかし都会の電車は忙しなくて、慣れない私は眠っていなくても電車を乗り過ごしてしまう。

時間感覚がだいぶ違う。

窓の外が見えない地下鉄は尚更であった。

あ、ほらあそこ。

あそこの、もう少し、いや、
ずっと奥の方に私の通っていた学校があるんです。

あそこに私、毎日通っていたんです…。

天気のいい、うららかな日
少し冷たい風

思い出そうたって本当の風が私の肌を叩かないと私はあの頃の本当の風を思い出せない 

大切な日があったこと、大切な人がいたこと
その記憶さえあればきっと一人で何にでもなれるような気がしていた

その記憶さえあればいつでもそばに感じられるって、思い出にひたることができると思っていた。
でも、自分内のエネルギーだけで毎日をやりくりするにはあまりにも私に力がない。エネルギーがない。

だから、、感受性をいつも大切に持っていることはできない。

でもきっと、地元でゆっくりすれば、蘇る。

すさんでもいい。

感受性を守れなくてもいい。

きっと過ごした日々は変わらない。

過去は変わらない。

だから、大丈夫。

覚えてなくても、
私の中に見えないところで感受性は眠ってる。

そして、積み重なっている。