2020/04/09

ホットケーキ、食べたいな

遮光カーテンのおかげで朝なのか夜なのかわからない真っ暗な天井を見つめたとき、ふと思った。

私の性格上、一度そうしたい、と思ってしまったことは行動に移さないと気が済まない。つまり、欲に勝てない人間なのである。とりわけ私は剛田さんのおうちの武くんではないので人のものを奪ってまで欲しいものを手に入れたことはない。もちろん、常識の範囲内での話であるし、手に入れたくても手に入れられなかったものもある。

それが、今回は「ホットケーキが食べたい」だった。
しかし、私にとってこれを成し遂げるためには問題があった。

ホットケーキを自分で作ったことがない ───。

昔、教育テレビで放送されていた「ひとりでできるもん」という番組があった。私はこの番組のVHSを家庭科の授業で観たことを覚えている。確か、必要な材料は小麦粉、砂糖、牛乳、バター‥‥よし、思い出してきた。
しかし、家庭科の授業である。ひとりでは作らない。

ひとりでできないもん ────。

とりあえず親に連絡をしてみた。


そこで、重大な事実に気づいた。

一人暮らしを始めて約二週間。
自炊をしたのは片手で数えられる程度で、それもカットした野菜を皿に盛るだとか、茹でた野菜に専用のソースを和えるだとか、完全に多くの人々のアイデアと優しさに助けられて生活している。
それがゆえに、我が家にはフライパンはあるものの、ホットケーキを作るのに必要なボウルや泡立て器、フライ返し、もっと言えばホットケーキどころか料理をするのに必要な包丁とまな板すら存在しない。

当たり前にホットケーキが作れる環境ではない。まずは、道具を買わなければいけない。

私はとりあえず百均に行くことにした。
今回はホットケーキを作るという目的があるため、不要不急の外出ではないことを全世界の人々にお伝えしたい。ごめん、すぐ帰るから。
一番近い店舗は商業施設の中にあり今は臨時休業しているため、一駅歩いたところにあるダイソーへと向かった。

そのダイソーへは最寄駅から直進で30分。
無事に辿り着き、ボウル・泡立て器・おたま・フライ返し、ついでにまな板と包丁を購入した。

問題はここから起こった。

来た道を戻り、家の近所のスーパーへと向かうはずが、全く違う方向へと歩いてしまったのだ。
気づいたころには時すでに遅し、普通なら徒歩30分で辿り着ける最寄駅まで1時間半かかることが判明した。ごめん、すぐに帰れない。

私はひたすら歩き、途中道に迷ったりなんやかんやで約2時間かけて無事、最寄駅にたどり着くことができた。

本来であれば駅からちょっと歩いたところにある商品の価格の安いスーパーへと行くのだが、正直歩き疲れているし、時刻は20:03。それに雨も降ってきている。仕方なく、駅に隣接されたスーパーで材料を買うことに決めた。

まず、入って目の前にある卵を手に取り、その直進にあるバター‥は高いので、バター風味のマーガリンで代用することにした。

よし、あとはホットケーキミックスだけだ────!




神様、これは不要不急の外出だったのでしょうか?神様、私はそんなこと絶対に致しません。
夜はうどんを茹でて食べました。おいしかったです。

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