ちょっとした事で、1日が素晴らしく良いものになる。
今朝の私は、ほんのすこし、ほんのすこーし、テンションが落ちていた。家を出るギリギリの時間に目覚め、バタバタと身だしなみを整える中でチラ見えした鏡の中の私の髪が、見事にうねっていたからだ。特に左側がクリクリと暴れ回っている。
「↑髪がうねっていでボサボサの私」
原因には覚えがあった。
昨夜私は、風呂上がりに髪を乾かす時間も惜しみ、乱雑にタオルで頭をくるんだまま、資料の作成に勤しんでいた。
予想以上に複雑でややこしい入力フォーム、必要書類や領収書を引っ張り出しては写真に収め、電卓を弾いてはやり直す。そんなこんなで、提出したい書類が出来上がった頃には4.5時間が経ち、髪の毛はタオルの中でぐしゃぐしゃになったまま、ほぼ乾き切っていた。
夜更けに再度シャワーを浴びて、髪をドライヤーで乾かす体力は残っていなかった。そのまま眠りにつき、目覚めたら、案の定だったのである。
クリクリの頭を見て、「ヘアゴムで結べばいいか。どこかでポニーテールにしよう」と気持ちを切り替え、家を飛び出したは良いものの、残念な事に、いくら鞄の中を漁ってもヘアゴムは出てこなかった。
トイレの洗面台で手を濡らし、どうにか髪のうねりを押さえつけようと頑張るが検討虚しく、私の髪は強情でちっとも言う事を聞いてくれなかった。
とはいえ、髪がうねっていても死ぬわけじゃない。幸い今日は気の知れた友人にしか会わない。大体、すっぴんで家を飛び出した時点で、気にするのはそこではない。
と、思いながらも、なんとなく髪の毛が気になりつつ、そのままにしていたら、待ち合わせ場所に現れた友人が、出会い頭にこう言った。
「あれ?なんか今日の髪型良いね。カール効いてて。」
はっ!気づかれてしまった!そうだった!今日の私は髪がめちゃめちゃにうねっているのだ!私は食い気味に、すごく早口で言い訳をした。
「いや違うの。寝癖なの。これはさ、昨日の夜頭にタオル巻いたまま...うんぬんかんぬん」
髪がうねっている自覚があり、それをネガティブに捉えていたので恥ずかしいと思ったのだ。
友人は、私の早口の言い訳を聞いた後に、こう言った。
「そう?でも、なんかいいかんじ♪素敵!良いと思う!」
私はその瞬間、ふたつの事にハッとなった。
まずひとつ、「相手が良いと思い、伝えてくれた事に対して、私は即座にその気持ち事態を否定してしまった」という事。
『褒められた時には、素直にありがとうと言いましょう』って事じゃないけれど、「良いと思う!」という感想に対して、「良いやこれは良くはない!」と、相手の気持ちの話なのに、自分の気持ちかのように否定をしてしまったのだ。
そしてもうひとつ。
たしかに、「髪のうねり」を良く言えば、「髪がカールしている」になるのかも知れない。私は思い込みで、「髪がうねっている事実」をネガティブに捉えてしまっていた。
「髪がうねっている事」をネガティブな事にしてしまったのは、自分自身だったのだという事。
髪が、いつもと違い、カールしている。
友人に良いと褒められた髪型である。
そう捉えると、なんだかこの髪型が不思議と良いものの様に感じられた。
言葉って、すごい。
人からの言葉って、もっとすごい。
話はそこで終わってしまい、私は彼女に「良いって言ってくれてありがとう」と伝えるタイミングを逃したまま、彼女と別れた。
その後、お手洗いにて鏡を見るタイミングがあった。
たしかに、ゆるっとカールしていて、なんとなくテンションが上がった。
「今の私は無敵だ。何があっても落ち込まない。なんせ、髪の毛がセットしたかの様にカールしていて、それが似合っていて、素敵なのだ」なんて、根拠のない万能感も湧き上がる。
その、良いテンションのまま1日を終えようとしている。
あの時褒めてくれた友人のおかげである。
これから私は、シャワーを浴びて「髪の毛がカールしていて素敵なヘアスタイルの私」とさようならをする。
でもズボラな私のことだから、また直ぐに会えるのだと思う。
「↑髪がカールしていて、素敵な私」
その時は自分から、「あれ?なんか髪がウェーブしていて、セットしたみたいじゃない?素敵!」と、思えるようになっているのかも知れない。
他人にポジティブな言葉を使える人になりたい。
ポジティブな影響を与えられる人間でありたい。
他人にもらったポジティブな言葉は、素直に受け取った方がお得である、と実感した1日だった。
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なんとなく、エッセイブログのようなものを☺️
久々に文章というものを書きました☺️
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