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地方一棟物件購入の注意点②「良い物件を見つける方法」

地方一棟物件の購入は、投資家にとって魅力的な選択肢の一つとなっています。しかし、その投資に成功するためには、慎重な投資準備が欠かせません。この10回の連載企画では、地方一棟物件投資に挑戦する上で注意すべき点を分かりやすく紹介していきます。

今回は、良い物件を見つける方法について解説します。次回以降には、物件選定のポイントや購入前のチェックリスト、資金調達の方法など、実践的なアドバイスをお届けします。このシリーズを通して、地方一棟物件投資の世界を深く理解し、成功に近づくヒントを得ていただけることを願っています。

ネットは重要

まずは、楽待や健美家等の投資物件専門サイトで検索することが重要です。私の所有する物件の多くは、ネット検索に出ているものを購入しています。

よく、ネットに出ている物件は、いい物件はないのではないかとおっしゃられる方もおられます。しかし、そんなことはありません。利回り84%(実質32%)の茨城の物件も伊勢崎1も太田Ⅱもネットで検索した物件です。

希望の物件が出たときにメールをもらう登録をしておくことも有効です。単にネットの数字だけでなく、問い合わせて、どのくらい前から出ているのか。また、指値が効くのかで、利回りは全然違っていきます。ちょっと、いいなと思ったら、とにかく不動産屋さんに連絡し、今まで買付けが入っているか、指値が効くのか等と聴く意味があります。

ネットに出ていない不動産屋さんの隠し玉的な物件も多くあるとのことですが、私は、一度も、そのような物件の紹介を受けたことがありません。ただし、筑西の3番目の物件のように銀行支店長の紹介はありました。あくまでも例外的なことだと思ってください。

ネットを侮ることなく、これを手がかりにまめに情報収集をはかることが大切です。

ネットで問い合わせをすることにより、不動産屋さんと接触できることができます。

不動産屋さんの営業に信頼される

営業担当との信頼関係

営業担当との信頼関係を築くことも、良い物件を見つけるためには大切なポイントです。信頼できる不動産屋さんと出会えた場合は、その担当者とのコミュニケーションを積極的に取っていくことをおすすめします。その担当者は、あなたの希望条件に合った物件を早めに紹介してくれる可能性が高くなります。また、物件の見学や購入の際にも、担当者との信頼関係があるとスムーズに進めることができます。

ネットで不動産屋に問い合わせをした物件を内見して、特定の不動産屋と知り合いになります。それを何回か繰り返すうちに信頼できる担当者に出会えます。

私の場合は、現在の富士企画(当時クリステイ)のSさんでした。初めて一棟購入する際は思いもよらないドラマがたくさんあります。ともにこれを乗り越えて物件の決済まで行く過程で信頼関係が生まれるのです。まれに、不信の塊の状態で、決済を終わらせる担当者もいるにはいましたが。

不動産の営業の方と信頼関係が築ければ、レインズに出たばかりの物件の情報をすぐに教えてもらえます。というのも、レインズでいい物件が出れば、まず、仲介の会社どうしの競争になります。さらに同じ会社の中でも、いい情報が入れば、各担当者間の競争です。各担当者の頭の中では、顧客の顔がぐるぐる廻るでしょう。その中で、最も信頼できる客にまず電話を入れるのです。その信頼される客になることがいい物件と出会える確率を高める最大の方法です。

信頼の基準

では、何を基準に信頼できる客となるのでしょうか。私を信頼して次々と物件を紹介してくれたSさんに尋ねたところ、私の人柄がいいことは別にして、次の5点が理由だったとのことです。

(ア)希望する物件が明確であること 
(イ)属性が良いこと(融資が出そうな人間だと思われたこと)
(ウ)軽いフットワーク(いい物件が出たら、すぐ見に行くこと)
(エ)物件を何棟も購入すること
(オ)ネットで他社が出している物件であっても、Sさんに内見できるか、まず話を持っていったこと 

不動産屋さんの本音を知るヒントとなりますね。

対象物件が明確であること

私の対象物件は、極めてシンプルでした。

「利回りが高ければどこでもいい」

はい、極めて明確ですね。Sさんに言わせるととても選別しやすい基準だそうです。

つまり、不動産屋の営業さんに希望を問われたら端的に答えるべきです。グダグダと条件を並びたてたら面倒な客と思われます。

属性が良いこと

次に属性です。

そもそも、不動産屋さんは、まず属性を見るのです。なぜ属性を気にするかというと、属性が良い人は融資が付きやすいのです。というのも、現金で買う等の特別な場合を除き、不動産売買は融資が付かなければ元も子もないからです。当たり前と言えば当たり前のことです。契約して、融資がついて、決済して初めて不動産屋さんは収入になるのです。どんなに契約をうまくまとめても、融資がつかなければそれまでです。必死に契約まで持って行ったのに融資がつかなくて話がおじゃんになるのを誰しも一番嫌がります。なので、当然、融資がつく人、即ち、属性のいい人を選ぶのは、当たり前なのです。合理的な判断です。

ところで、この属性と言う単語、身分制を想起する物言いであり、あまり良い感じはしませんね。私は、脱サラ前に属性が「良い」人であり、脱サラ後は、属性が「悪い」人でした。この属性が悪いとの言い方には、当初は戸惑いもありましたが、今では金融機関の独自の評価であるとの前提で使っています。

そんな属性だけで決まっちゃうなんて身も蓋もないじゃないか!そう思う人もいるでしょう。属性の悪い人は、全く不動産営業員から信頼されないのでしょうか?

そんなことはありません。属性が悪くても、融資が付くと思ってもらえば、問題ないのです。属性が悪いから信頼できないのでなく、融資がつかない可能性が高いので信頼されないのです。ですので、属性が悪くても融資を引っ張ってこれるとの心証を営業員の方に持ってもらえば信頼関係が築けるのです。

では、どうやってその心証を形成してもらえるのでしょうか。

金融機関での融資をどのくらい引けるのかを大まかでも事前に把握しておくことです。銀行が無理ならば、公庫(日本政策金融公庫)でいくら借入れできるかを把握しておくことです。それには、一度審査してもらっておくに越したことはありません。

その一度目の審査で、融資が決まり、決済もできれば問題ありません。しかし、2番手だったり、現金客が先に購入したり、購入者の評価はよいが、物件の評価が低い等の理由でだめになった場合も次につなげることができます。とにかく、やってみるのです。

そして、その物件がだめでも、金融機関の担当者から次は大丈夫との確約を取れれば最高です。いずれにせよ、今後、融資できるかどうかある程度の心証を形成できるので、このことを営業員の方に伝えるのです。これにより、あなたも、その担当の名簿に載ることができるのです。

なお、仮に、融資がほぼ無理との判断ならば、落ち込むことなく、投資手法を代えればいいだけです。コツコツこつこつと500万円程度の現金を貯めて、地方一棟のアパートでなく、地方の戸建一棟をその現金で購入する方法です。これを積み重ねれば、金融機関の信用も得られいずれ道が開けます。

軽いフットワーク

しかし、属性がよくてもそれだけでは信頼関係は、生まれません。

不動産営業員は、前述のとおり、良い物件がでたら社内外の営業員との競争状態に置かれるのです。つまり、良い物件であればあるだけ、時間との勝負となるのです。  

そのような営業員の置かれている立場からいって、営業員とともに即行で動いてくれる方が好ましいのです。「今日は都合が悪い。」等の理由で断れば断るほど信頼関係は崩れていくのです。なので、極力、万難を排してでも即行で動く必要があります。軽いフットワークが厚い信頼を構築します。

何棟も購入(売却)する

私は、Sさんから6棟購入しました。中には、Sさんから購入した物件を、Sさんを通じて売却したこともありました。購入と売却の数をこなすことで信頼関係は深まるのです。これは、わかりやすい理由です。

この人は買ってくれる(売ってくれる)人だ!そう思ってもらえると強いです。

他社物件も購入する

信頼関係構築の最後の仕上げとして、ネットで他社が扱っているいい物件を見つけたら、その他社に連絡せず、信頼関係を深めつつある担当者に、その担当者が扱えないかを相談することです。これによりその担当者は、完全に信頼されていることを自覚するとのことです。

最後に

ここまでできれば、あなたは、その不動産会社の特定の担当者の筆頭候補です。あとは、いい物件が来るのをジーと待つだけです。これで物件探しでは、一応の対策を講じたことになります。

この記事を書いた人

中島亮(なかしまりょう)

中央大学法学部卒。法務博士

主に地方の一棟アパートを購入する個人不動産投資家。
サラリーマン15年目にアパート投資を開始。
その後、6年間で10棟93戸を購入し、退職。

記事投稿時点で、39棟385世帯所有。年間賃料2億円。キャッシュフローは実質3,000万円を超えている。大家向けN塾主宰

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