義務内容から整理する電気通信事業法
はじめに
今日、事業者の大半が自身のビジネスにIT技術を活用しており、登録・届出やいわゆるCookie規制等、電気通信事業法(「電通法」)の規制が適用されるか否かを検討する必要があります。
この点、電通法には、一定の事業者について主に次のような様々な義務が設けられています。
①登録(電通法9条)
②届出(電通法16条1項)
③通信の秘密(電通法3条)、検閲の禁止(電通法4条)、外部送信規律(いわゆるCookie規制、電通法27条の12) 等
これらの義務の負い方としては、大きく4通りに分類することができ、①+③の義務を負う者、②+③の義務を負う者、③の義務のみ負う者、どの義務も負わない者に分類することができます。
そこで、本稿では、「電通法上の登録義務を負うのは誰か?」や「電通法上の届出義務を負うのは誰か?」というように電通法上の義務の切り口から、各義務主体を要件的に整理します。
(本稿は各義務主体を要件的に整理することが主目的なので、各要件の詳細な解釈等については、ガイドラインや逐条解説等を参照していただければと思います。)
(1) 登録・届出の義務を負うほか、その他電通法の規律対象の者
ア 登録の義務を負うほか、その他電通法の規律対象の者
◆次の要件を充足する者(電通法2条5号、9条)。
①電気通信事業を営む者であること
②一定規模(電通法9条1号及び2号)以上の電気通信回線設備を設置する者
◆「電気通信事業」とは、㋐電気通信役務を㋑他人の需要に応ずるために提供する㋒事業を営む者(電通法2条4号)。
◆「電気通信回線設備」とは、送信の場所と受信の場所との間を接続する伝送路設備及びこれと一体として設置される交換設備並びにこれらの附属設備(電通法9条1号括弧書)。
具体的には、電柱や地下に敷設されている光ファイバケーブル、ケーブルテレビ局の同軸ケーブル、電話線や携帯電話で利用される基地局の無線等の伝送路設備。
「電気通信回線設備」については、「電気通信事業者のネットワーク構築マニュアル」で詳しく解説されている。
◆(1)アの類型に該当する者が負い得る義務は主として次のとおり。
電通法9条に基づく登録
通信の秘密の保護(電通法3条)
検閲の禁止(電通法4条)
外部送信規律(電通法27条の12)
イ 届出の義務を負うほか、その他電通法の規律対象の者
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