夜の道案内

夜、道に迷っている女子中学生がいたので、
雑談しながら道案内しました。

「私は20歳までしか生きられないかもしれない」と、
彼女は言いました。
生まれつき太陽の光に当たれない病気で、
手術に失敗すると20歳ぐらいで亡くなってしまうようです。

家では日光を遮るカーテンを締めて、
外に出る時は親が作った特製の黒い服を着るそうです。
最初はこんな姿だし荷物も多いから、
不審者に間違えられたらどうしようと思って、
声を掛けるのもためらっていたみたいでした。
以前に同じ病気の軽度のお兄さんが、
黒ずくめの服装で歩いていたら、
不審者に間違えられて
通報されてしまったそうです。
ただ外を歩いていただけなのに…

ちなみに大きな荷物の正体は、フラフープ。
新体操の帰りだったらしいです。
体力をつけるために、
運動しなきゃならないそうです。
「少しでも長生きしたい」と、
彼女は言いました。
まさかこのセリフを
中学生から聞くとは思いませんでした。

この子が終始世間話のように軽やかに話すから、
つい私も同じような感じで聞いてしまいました。
なんなら笑い合ったりもしてました。

その後気になって、
どういう病気なのかを調べてみました。

『色素性乾皮症』

難病だと知りました。

この子にとって、私はただの通行人です。
でも、手術が成功して、
7年後も元気でいてくれたら嬉しいです。

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