あの頃のDFM、LJLが一番楽しかったころ

最初に述べておくと、ここでは今回の騒動について言及するつもりはない。「ただひたすら辛い」という感想しかない。
主題はあくまでも過去の話だ。過ぎ去ってもう戻らない思い出について話したい。

あの頃のDFM、LJLが一番楽しかったころ

(衝動的に書いたものなので、誤字があったらすいません)


TOP – Evi
JG – Steal
MID – Ceros
ADC – Yutapon
SUP - Geang

それなりに昔からLJLを見ている人間なら、上記のロースターを見て何かしら感じ入るものがあるだろうと思う。
私のような人間にとってはそれは郷愁だし、別の人間にとっては不快感かもしれない。
Cerosは信者もアンチも相当多いタイプの選手だった。当時は某なんとか速報がまだ健在だったので、毎日毎日たくさんの人間がコメント欄で論戦を繰り広げていた。

今と(これからは分からないが)同じように、当時のLJLはDFMを中心に回っていた。実力だけでなく人気も集中していた。事実上の人気投票であるTwitterのwho will winでは90%DFMということも珍しくなかった(はずだ)。

その理由は強いチームだったから、というだけではない。
この五人は一つの集団として非常に魅力的だった。

まだ日本語が少したどたどしかった頃のSteal(エコーの話はやめておく)。
既に最強トップレーナーで頼れる主砲だったEvi。
寡黙な変人だが紛れもない天才、Yutapon。
かわいい末っ子サポート、Geang(エンゲージが上手かった)。
そして何より、Ceros。

私はCerosのファンボだった。はっきり言えば、今もそうだ。

生粋のトロール気質で、何もかも適当というような態度でありながら、試合になるとチームの大黒柱として勝利のために尽くす。ジグスやハイマーディンガーといったオフメタピックを使いこなす、技巧派の職人。
それがCerosだった。

当時はちょうどKR MIDが導入され始めた頃だ。今はAriaという名前のLunaや、既に消えたチームUSGのDasherといったKRレーナーは、鍛え上げられたミクロによる派手なソロキルで観客を沸かせた。

Cerosにはその派手さが無かった。だからしょっちゅう叩かれた。
だが私はそんなCerosのプレイスタイルが好きだった。ひたすらプッシュして対面の動きを封じ、集団では抜群のアグロピンポンでフォーカスを引き受けながらダメージを出す。本当に腕の立つ選手で、チームの勝利に深く貢献していた。

しかしCerosがただ耐えるだけの選手だったら、私だってここまで好きにはならなかっただろう。
彼がその真価を本当に発揮するのは、国際戦の時だ。

国際戦という大舞台で誰もが緊張し、本来の実力を出し切れない中、Cerosだけは普段通りだった。いや普段以上だった。

2019年のMSIの動画だ。Cerosが完璧な対応で敵のタワーダイブを返してソロキルした瞬間、私は彼のファンボになってしまった。

こちらは同じく2019年のWorldsの動画だ。チームとしては苦しんだ大会だったが、Cerosは最高のパフォーマンスだった。

公式のVC動画を見てもらうと分かるのだが、Cerosはこのアウトプレイの直後に大声で笑っている。
緊張で黙るのでも興奮して猛るのでもなく、心の底から楽しそうに笑っているのだ。

一戦一戦の価値が途方もなく重い国際戦で、尋常ではないプレッシャーの中で、それでもCerosは笑いながら戦っていた。
その飄々としたトロール気質が彼の魅力だった。

2019年のMSIは4-2という結果で、LJL代表としては初めての国際戦勝ち越しだった(そのはず)ものの、プレイイン突破とはならなかった。
WorldsではSPYから一勝をもぎ取るという大戦果を挙げたが、全体的にはグループ三位と振るわなかった。

世界の壁は分厚かった。実力差はまだまだ大きかった。見ていて辛くなるような場面もあった。
それでも最後までDFMを応援できたのは、「国際戦のCerosならやってくれるんじゃないか?」「Cerosは何か起こしてくれるんじゃないか?」という期待感があったからだ。

見ているファンをどこまでもワクワクさせる、Cerosはそんな華のある選手だった。

Cerosだけではない。私はあの五人が揃っていた頃のDFMが本当に好きだった。
エビゴットのソロキルとか、YutaponがMFでイレリアをソロキルしたシーンとか。
とにかく夢中だった。ずっとワクワクしていた。

やっぱり一番は2019年だ。あの年は本当に楽しかった。
国内戦で無双するDFMも、国際戦に苦しむDFMも、どちらも応援していた。
ブラジルやラテンアメリカに一勝して死ぬほど喜び、メジャーリージョンの強豪に負けて落ち込み、そしてまた来年頑張ろうと素直に応援していた。

その後のAriaの加入によって、DFMは飛躍的な進化を遂げた。国際線でも今までと比べものにならないような結果を残せるようになった。これが切っ掛けでLJLを知ったというようなファンも多いだろう。

しかし、私のような人間にとって、DFMのミッドレーナーと言えばいつまでもCerosなのだ。

私は一応今シーズンもLJLを観戦していたが、それは試合自体を楽しんでいたからではない。過ぎ去って戻らないあの頃のDFMの幻影をずっと、ずっと追っていたからだ。
あの頃のDFMには華があった。ワクワクがあり、盛り上がりがあり、熱があった。
LJLを観戦する事で、もう一度あの頃のような高揚を味わう事ができるのではないかと、そう思っていた。

しかしその幻影も今や崩れ去ってしまった。
惨めったらしくサモナーズリフトに齧りつく理由はなくなった。
私がLJLを観戦する事はもう二度と無い。

GGWP 2023/07/07

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