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【回顧体験記】ボクは障害者21歳。〜ボクが中途障害者になってからの21年を紐解く〜⑤

(前回④より続く)
さて、怒涛の2001年から年が明けて、時は2002年へ。
ボクはというと、年が明けて病院に正月休みはあったとしても、入院生活が終わるわけでもなく、前年に受けた手術後、再発予防の目的で再開された抗がん剤の点滴治療を控え、まだまだブルーな気持ちがウェイトを占めていた。
しかし前回には書くスペースがなかったが、実はその前年手術後から、ボクの入院生活は、必ずしも辛いものだけではなくなったのだ。
どういうことか?
では、その詳細を第2章で述べていくことにしよう。

2002年(平成14年) その1 

第4章 入院生活を劇的に変えたキーマン登場


時は少しさかのぼり、2001年の秋に行われた10時間に及んだ右足の手術。

ボクの病院は入院していた病室は、通常は相部屋で、当時病棟は古いこともあったせいか、基本5人部屋が主流であった。
ただ例外で、手術前後は身体につながれる医療機器の多さから希望有無に関わらず個室に移ることになっていた。

当然ボクも手術後、個室でひっそり療養していたが、一定期間を過ぎ相部屋へ戻ることになった。
ただ、入院前とは違う病室になったため、当然入院メンバーも一新された。
そして、ここでボクはタイトルにもあるように、あるキーマン2人に出会うことになる。

そのキーマン2人というのはー、

まずは一人目ー。同じ病室になったボクより3歳年上(だったか(笑)?年上は確か)の男性Mさん。

Mさんはこの入院していた病院の比較的近いところに在住する、いわゆる地元民だったが、まあ気持ちの穏やかなこと(笑)。
なんだろう、なんか癒やされるというか、とにかく話しやすい。

ボクの入院していた病院というのは、いわゆる大学病院レベルの大規模病院ゆえに、ボクのように、一般的病院では治療困難なレアな病名を持つ入院者が多い。

そのMさんも例外にもれず、腰関連の疾患にかかり、何度も他病院含め手術を繰り返した強者だ(笑)。

そんなMさんとの病室での生活は、なんとも毎日のボクの入院生活を愉快なものにしてくれた。

まず、話しだしたら話が止まらない(笑)。
やっぱり専らの話題は自分の持ち疾患の治療武勇伝(笑)。

もちろん、ボクの術後の予防目的による抗がん剤点滴治療が始まるのだが、その間は、嘔吐などでグロッキーになるボクは、あまり人にみられたくないという意識からか、居室のベッド周りカーテンを閉めて 完全ひきこもり冬眠状態になっていた(笑)。

そんな時でも、そのMさんは、体調など声をかけて気遣ってくれたというより、いつもと変わらないアプローチなのだが、ボクもそんなに嫌な気持ちにはならなかった。

もうひとりは、こんなボクやMさんのいる相部屋に後に入院してきたFさんだ。

このFさんは、病院からは遠方に在住の人でボクやMさんよりも10歳ほど上なのだが、そんな歳は感じさせないほどの少年ぽいメンタルを持った人で、人懐っこいキャラクターだった。
印象的だったのが、当時放送されていたTVドラマで主役級だった女優Fuさん(最近まで放送していたNHK朝ドラでも少女期から老年期までを一人で演じきったことで話題になっていた、・・そうあの女優さん!(笑))の熱狂的ファンで、よくFさん出演ドラマの時間になると、もう周りの物が目に入らないほどの集中力で観ていた・・(笑)。

一時期はMさん、Fさん、そしてボクのベッドが三人横並びに配置されていたこともあり、この3人はすぐ打ち解け、すっかり意気投合した。

その後、一番治療期間の長かったボクを残し、Mさん、Fさんは退院していったが、それぞれ数ヶ月単位の入院期間だったため、2ヶ月くらいは一緒にすごしたと思う。
それだけに、20年たった今でも年賀状は毎年ほぼやりとりしていて、Mさんとは今も続く外来定期再診などで会ったりもしている(笑)。
それほど、治療していた疾病は違えど、それに対する辛さやメンタルの持続など、患者本人しかわかり得ないものを共有してきたからこそ絆は深いものがあったんだと思う。

そんなボクはというと、結局退院できたのは、前年の5月の入院以後実に11ヶ月経過したこの年の4月8日だったー。

この入院期間でも、ボクの疾患である「骨腫瘍」の治療期間よりは短縮したほうらしく、抗がん剤の治療サイクルになるクール数は、体力の負担から結局最後のクールまではこなせず8クール止まりであったー(通常は13クールほど!らしい)。

正直、確かにもう身体はボロボロになっていた。

例えば、点滴で抗がん剤を入れる管を何度も同じ片腕(左腕)から入れていると、血管をつぶしていくというデメリットがあったため、もともと血管が太い方だったボクの左腕は、本当に細すぎてちゃんと血管があるのかどうかと看護師さんによる採血を困らせていた・・(笑)。

さてこの左腕での点滴の血管も細くなりすぎると、いよいよ点滴管が通らなくなる。
すると、今度はどうするのか?

普通、「左腕がだめなら、右腕があるよね?」と右腕にしてみては?と考える人も多いかもしれない。

しかし、それをして右腕の血管もだめにしてしまうと、いざと言う時の採血で使う腕がなくなってしまうという大きなリスクが伴うおそれが高いので、その場合は、首下の胸元あたりにIVHと呼ばれる「中心静脈カテーテル」という経管を通し、そこから抗がん剤を投与する方法を使うとのことだった。

しかし、ボクが主治医にIVHを選択した場合のリスクなどを聞いたときに、主治医の口から出た言葉は、あまりいい印象がなかった。
感染リスクは高くなるので身体にとりつけるのも局所麻酔が必要という、ボクにとって決定的な怖さがあったので、この瞬間ボクの選択肢からは外れた(笑)。

とは言っても、クールを重ねるにつれ、どんどん血管が抗がん剤によりつぶされていくのが、視覚的にも顕著になってきたのがわかった。
それは、もともとボクの血管は太めで、新米の看護師さんにとっては、ありがたい(失敗しにくい)血管だといわれてきたのに、失敗されることが多くなってきた…(笑)。
腕の血管がだめなら、腕よりさらに血管が出やすい手の甲の血管に点滴をとったこともあった。
これには、腕よりも皮下脂肪が手の甲のほうが少ないため、いくらベテランの看護師にやってもらったとしても、針が手の甲に入ってくるごとに激痛が・・・!

そんな拷問(笑)ともいえる治療にも耐え、なんとか最後までもたせたぼくの左腕だったが、20年以上たっても未だ血管が出にくくなっているのは相変わらずだ。
ただ今は頼みの右腕にさえ、加齢からだろうか?若干細くなってきたような・・・(笑)。結局細くなるんかい!とツッコみたく(笑)もなる。

まあ、兎にも角にもなんとか治療に耐え抜いたボクは、先述のように退院にこぎつけたのだ!

入院時は、治療しなければ確実に命落とすと主治医から言われたボクは、手術後に産まれた今の長女に会えるのだろうか?とめげそうになることも多々あった。

でもボクは、あきらめなかった。
ボクは、死にたくなかった。
ただ、生きたかった。

この闘病生活は確かに辛かったが、入院前につぶやいていた「ボクは消えてしまいたい・・・」という言葉のあとには「・・でもやっぱりボクは死にたくない!死ぬのは嫌だ!!」という本心が隠れていたのに気づくことができた。

そして退院後、仕事復帰まではいかなくとも療養しながらでも、生活はようやく元の自宅生活に戻った。

しかし、入院前の生活とは明らかに違うことがあった。

歩行については、手術をしたので、T字杖を持ちながらの歩行になり、勿論困難にはなっていた。

しかし、それ以上にもっと重要なことが変わっていた。

家族が「一人」増えているではないか(笑)!

そう、その一人とはまぎれもなく、この前年に産まれた長女だった(笑)。

この長女だが、妻が出産したあとどうなっていたかというと、実はボクが退院するまでの間、当時ボクの家と目と鼻の先にあった妻の実家に妻と一緒に里帰りしていたのだ。

だが、長女にとってはここが本来の家になるので、ボクの退院を機にここに
移ることになった。
こうしてボク、妻、長女の一家がそろって生活を始めたときは、長女が産まれてすでに10ヶ月経っていたー。

2002年 その2へつづいてしまいます・・・・(笑)



























































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































 


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