日記…20161121

そっとじぶんの首に手をあててみる。
画用紙にかいた絵のなかには、おとうさんとおかあさんと、じぶんと、お兄ちゃんにお姉ちゃん。顔はかかなかった。うまくかけないと思ったから。かこうとしても、おもいだしても、わらった顔がわからなかった。怒られることばっかりで、わたしがここにいるのはどうしてだろうと思った。
家をでたい。
どうして。
どうして、わたしは家族なんだろう。
ほんとうに、家族なのかな。
ちがうところから来たひとなのかな。
怒られたり、ばかにされたり、はずかしいって言われたり。
いやだ。
いやなのに。
そんなことを言われるのは。
ころんでいたかったからないたのに、「そんなにないてはずかしい」って。
ないちゃだめなのかな。
ないたらはずかしいんだ。
はずかしいことは、やっちゃだめなんだって言ってた。ような気がする。
それじゃあ、どうすればいいんだろう。
わかんない。
わからないのに、おしえてくれない。
がまんしてればいいって、言ってたな。
がまんできないなら、どうすればいいんだろう。
死んじゃえばいいのかな。
めいわくかけるなって言ってたし。
いなくなれば、かけないか。
いなくなりたいな。
でも心配かけさせるなって言ってた。
どうすればいいんだろう。
ここからでてったら、またあとで怒られるんだろうな。
怒られたくないな。
どうすればいいんだろう。
死にたいな。
首をしめたら死ねるのかな。ドラマみたいに。
ぎゅっと、りょう手で首をにぎってみる。
でも、これじゃあ足りない気がする。
ひもを見つけて、首にまいてみた。
ぐっと、テレビで見たように、いっぱいよこに引っぱってみる。
首から上が、わごむで手首の血をとめたときみたいに、かーっとなった。
まだ、いきができる。
どこまで引っぱれば、いきができなくなるんだろう。
くらくらしながら、のどぼとけをおしこむように、ひもをひっぱった。

ほんとうに死んじゃうかもしれない。
だめかもしれない
死んじゃっても、めいわくってかかるんだっけ。
めいわくは、かけちゃだめなんだ。
こわい。
やめよう。

―――――

画用紙に描いた絵も、その隣に書いた「いえでしたい」って言葉も、ひもとか針金ハンガーとか使って首をしめてた事も、怒られたくなくて両親と話さなかった事も、小さいころは疎遠だった兄と姉の事も(今はまあ話す)、だから家ではずっと一人でいた事も、ゲームばっかりしていた理由が寂しかったからって事も、ずっと忘れていた。
自分が気づいている範囲以上に、寂しさと戦っていたみたいだ。
なんで思い出したかって、好きなバンドが主催したツーマンライブに行ったら、その対バン相手が歌ったこの曲のおかげなんだけれど。

友達は好きだったな、って、きちんと思えた。学校がきらいな訳でもなかった。いや、家族がきらいだった訳でもなくて。
もっと素直に子どもらしくわがままを言っていたかった。怒られなくても平気なハートで生まれたかったな。育っていくうちに平気になったけど。


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