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クライスラー・イプシロン/クライスラー・300 『福野礼一郎のニューカー 二番搾り』

2012年11月26日/12月12日

イプシロンプラチナ 車台番号:ZLA31200005071535
300Cラグジュアリー 車台番号:2C3CCAVG1DH523825

「クライスラー・イプシロン」は、フィアット500の兄弟車だ。
 ダッジ・ダートの中身がジュリエッタだと言われるよりは、まだ幾分マシかもしれないが。
「もちろん事前にマーケットの調査をしたんですが、日本ではランチアのネームバリューというのは、ほとんどないんですね。むしろPTクルーザーのイメージのクライスラーのほうが知名度が高い。そういうこともあって日本でもクライスラーのブランドで展開することにしました(フィアットクライスラージャパンマーケティング部プロダクトマネージャー渡邊由紀氏)」
 なにが起きるかわからない昨今自動車世界だから、これくらいでいちいち驚いていてはいけない。しかしまったく同じクルマであっても「ランチアだ」と思うのと「クライスラーだ」と聞くのとでは、どうしたって見る目も評価も微妙に変わってしまうのが人情だ。
 というわけで先月号の続き。
 直前に何のクルマに乗っていたかによってクルマに試乗したときの印象は確かに大きく変わるのだが、もっと深刻な影響を与える感情的要因がある。
「先入観」だ。
 経験と知識こそ、先入観の父であり偏見の母なのだから、まったくもって始末が悪い。

イタ車と念じつつクライスラー・イプシロンに乗る

 新星フィアットグループオートモビルズジャパン株式会社とクライスラー日本株式会社が運営する、新星フィアットクライスラージャパンが発売を開始したクライスラー・イプシロンは、パンダ(II/III)やKaに使われてきたフィアット・ミニ・プラットフォーム系の派生車で、正確に言うとロングホイルベース/4ドア版フィアット500Lの兄弟車だ。ランチアとしては1994年の初代「Y」から数えて3代目のイプシロンである。
 生産はフィアット500同様、ポーランド南部シロンスクのフィアット・ティキ工場。
 イタリアを始めとするヨーロッパ大陸では、従来通り「ランチア・イプシロン」の車名で販売されるが、ランチア・ブランドの商品展開をしていないイギリスや日本では、クライスラーのエンブレムをつけて「クライスラー・イプシロン」の車名で右ハンドル車を販売する。
 グリルくらいは変えているのかと思ったが、エンブレム以外は両車まったく同じ意匠で、クライスラー式のこの横桟グリルをランチアも共有しているという。
 2012年11月26日(月)、お台場で開催されたフィアットクライスラージャパンの最初の報道試乗会当日は、なんと大雨だった。

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