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フォルクスワーゲン・ゴルフ 『福野礼一郎のニューカー 二番搾り』

2013年5月29日

Golf TSI Comforline 車台番号:WVWZZZAUZDW145939
Golf TSI Highline  車台番号:WXWZZZAUZDW155887

 松竹梅の松、1.4ターボ搭載のハイラインは期待通りの出来だった。気筒休止システムは違和感ゼロ、静粛性と乗り心地と操安性のバランスも正常進化、多少乗り心地は硬く、ボディ剛性感は予想通りさほどではなかったが、高速巡航瞬間燃費17〜18km/ℓ台、どこからどこまで期待通りのニューゴルフだった。もし試乗がこのクルマだけだったら、気持ちよく乗って気持ち良く帰ってぐっすり眠って、絶好調でこの原稿を書き終えていただろう。
 問題は1.2だ。
 リヤサスがTBAの廉価仕様の1.2。
 数日間呆然と過ごし、何かの間違いだと大変なので某誌某氏に我が儘を言って、走り慣れた都内で同じ1.2と違う1.2にそれぞれダメ押しの試乗をして再確認、もはやかくなるうえは、ことさら大袈裟にむちゃくちゃに褒め倒すことで、本稿を読んでくだ
さっている皆様に過剰な期待と予断と先入観を抱いていただき、近々いつかこのクルマに試乗できる機会が訪れてしまったときの衝撃をいくらかでも緩和することが、先に乗ってしまった人間としての責務だと信ずるに至った。
「なんだよまったくあのバカ大袈裟だなあ、こんなもんそれほどでもないじゃんか」と憎まれ口のひとつも叩くことで、己と日本と全地球全自動車が置かれた立場を、多少なりとも慰めることができるわけだから。
 最初にバラします。1.2はほとんど神です。

全人類敗北

 いったいどこから話せばいいものか。
 衝撃的結論に到達するまでに一応それなりに紆余曲折凸凹あったのだが、ともかく運命の5月29日水曜日、静岡県裾野市にある裾野カンツリー倶楽部で行なわれた新型ゴルフ7様(以下敬称略)の試乗会に、胸を膨らませて出かけたわけだ。
 プラットフォームもエンジンもオールニューという超大作だから、どこに期待していいのかもわからないくらいだが、単純に1320kgの車重に250Nm/1500-3000rpmの1.4ターボの組み合わせは凄そうだ。最大トルク/車重比はCセグ最速クラスの旧ツインチャージャーやBMW120iを凌ぐ5.3、2ℓターボのボルボV40T5に迫る。
「Tシャツ/ジーンズはご遠慮ください」という服装規定付きの報道試乗会には、朝7時から内外の報道関係者が詰めかけた。到着と同時に食事をとる暇もなく、今回松竹梅ラインアップの竹=¥269万「TSIコンフォートライン(シャシー番号WVWZZZAUZDW145939)」、松=¥299万「TSIハイライン(WXWZZZAUZDW155887)」の2台の借用を予約、順次試乗した。

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