The paradox of warmth: Ambient warm temperature decreases preference for savory foods

論文:The paradox of warmth: Ambient warm temperature decreases preference for savory foods
著者:Kosuke Motokia, Toshiki Saitoa, Rui Nouchia, Ryuta Kawashimaa, Motoaki Sugiura
https://www.researchgate.net/publication/324592089_The_paradox_of_warmth_Ambient_warm_temperature_decreases_preference_for_savory_foods
Food Quality and Preference

どんなもの?

 暖かい・冷たい環境の部屋にいる被験者に野菜、果物、スイーツ、塩味の効いた食べ物(savory food)の4つの種類の食品の写真に対する嗜好を調査した。実験の結果、周囲の温度が高いほど塩味の効いた食べ物への嗜好が低下し、他の食べ物の嗜好には影響がないことがわかった。食品の温度の感じ方は食品の種類によって異なり、塩味のきいた食べ物はより温かく、果物はより冷たく感じられることがわかった。

この結果は、暖かい環境下での食品の嗜好に食品温度が影響することを初めて立証した。(人は暖かい周囲の環境では冷たい食べ物を好むことを示した)

先行研究と比較してどこがすごい?

 周囲の温度が消費者の食品評価にどのような影響を与えるかはわかっていなく、体感理論では、周囲の暖かい温度が食品の嗜好性を高めると考えられていて、体温調節理論では、周囲の暖かい温度が食品の摂取を制限して体温を下げるために食品の嗜好性が低下すると考えられている。この矛盾を解決するために、暖かい環境が異なる種類の食品の嗜好に及ぼす影響を調査した。

技術や手法のキモはどこ?

 暖かい・冷たい環境の部屋にいる被験者に野菜、果物、お菓子、おいしい食べ物の4つの種類の食品写真に対する嗜好を報告してもらう。
 また、嗜好変化の媒介因子を明らかにするために、被験者は媒介因子の候補である「食べ物の温度」と、食べ物の嗜好に影響を与える可能性のある2つのコントロール因子(おいしさと健康)をそれぞれの食べ物について評価してもらう。
 暖かい部屋を27~30℃、涼しい部屋は20~23℃に設定した。実際にそれぞれの部屋の温度の違いを調べるために、ペアのt検定を行った。40枚の食品写真を選択して、野菜、果物、スイーツ、塩味の効いた食べ物(savoury food)に分類した。これらの種類は、温かい(savory food)、冷たい(果物)、対象食品(野菜とスイーツ)に分類した。

どうやって有効だと検証した?

 40種類の食品について、おいしさ、健康度、総合的な好みの観点から評価してもらう。各食品項目に対して1(全くない)から7(非常にある)までの7段階のリッカート尺度を使用した。また、食品の温度を評価してもらう。
 それぞれを評価するために、一般化線形混合モデル(GLMM)をデータに適用した。

→食品の温度の感じ方は食品カテゴリーによって異なり、塩味のきいた食べ物はより温かく、果物はより冷たく感じられることがわかった。
 周囲の室温が高いほど、食品の温度を感じやすくなる傾向があった。
 暖かい環境では塩味のきいた食べ物の嗜好性が低下したが、他の食べ物に対する嗜好は減少しなかった。これらの結果から周囲の温度が食品の嗜好に与える影響は、食品カテゴリーによって異なることがわかった。

 暖かい環境では、果物のおいしさの評価をわずかに増加させたが、他の食品では増加しなかった。食品カテゴリーに関わらず、周囲の温度は健康度評価に影響しないことがわかった。暖かい環境では、塩味のきいた食べ物の味覚温度に影響を与えなかったが、果物のおいしさをわずかに増加させた。また、暖かい環境では味のある食べ物の好みが減少した。
 暖かい環境での塩味のきいた食べ物の嗜好性低下は、食べ物の知覚温度に影響している。


議論はある?

 この研究では、食べ物のイメージに対する嗜好を評価しているものなので、実際の食べ物との関連とは異なるのではないか。
 温度による変化が絶対温度によるものなのか、相対温度によるものなのかどっち?

次に読むべき論文は?(気になった論文)

 The drinking experience: Cup or content?


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