【論文紹介】The relation between saliva flow after different stimulations and the perception of flavor and texture attributes in custard desserts

論文:The relation between saliva flow after different stimulations and the perception of flavor and texture attributes in custard desserts
著者:LinaEngelen, Rene A.de Wijk, Jon F.Prinz, Andriesvan der Bilt, FritsBosman
https://reader.elsevier.com/reader/sd/pii/S0031938402009575?token=DA0374F92A6932A7C9406438E340107E86D171C27A75848E89EA9204F9A4743F57982601C91D379D072F7132BAF315EF&originRegion=us-east-1&originCreation=20210621054446
(Thermal perception on lingual and labial skinの未来の論文(被引用文献))
Physiology & Behaviorの査読付き論文

どんなもの?

 安静時と、匂い・パラフィルム咀嚼・クエン酸の3種類の刺激を与えたあとに唾液流量を測定した。唾液流量はクエン酸、パラフィルム、匂いの順番で多くなり、無刺激では最も量が少なかった。
 次に唾液の量が官能評価にどのように影響するかを調べた。4種類の唾液流量を3種類のバニラカスタードデザートの官能評価と相関させた。その結果、どの唾液分泌量も官能評価との間には有意な差は見られなかった。

先行研究と比較してどこがすごい?

 耳下線(耳の前下方にある唾液腺)の唾液の流れと、異なる刺激に特有の感覚属性の知覚との関係は研究されているが、異なる刺激で誘発される唾液の流量を決定し、異なる方法で刺激された唾液の流量と半固形物の選択された味、食感、後味の属性の知覚との関係の調査はされていない。

技術や手法のキモはどこ?

〇唾液の流量測定
 唾液流量は安静時、匂いによる刺激後、機械的刺激(パラフィルムを噛む)を提示した時、化学的刺激(クエン酸)を提示した時に測定した。唾液は4回に分けて採取する。

〇食品の刺激と官能評価
 3種類のバニラカスタードデザート(大豆ベースのもの、低脂肪の牛乳をベースにしたもの、高脂肪の牛乳をベースにしたもの)を使用した。3種類のカスタードについて、風味(バニラ、苦味/化学性)、口当たり(温度、厚み、溶け具合、クリーミーさ)、飲み込んだ後の口腔内の感覚(脂肪感、渋み)の8つの官能特性を評価する。

どうやって有効だと検証した?

 刺激の種類と製品、性別、時間帯を因子として、唾液データに対して反復測定ANOVAを実施した。同じソフトウェアを使用して、被験者内の異なる刺激に対する唾液流量の相関をとり、感覚データと唾液流量の相関をとった。

→唾液量の測定:各刺激後の唾液流量は、クエン酸、パラフィルム咀嚼、カスタードの匂い、無刺激の順番で多かった。各条件における男性と女性の差、朝と夜のグループの間では有意ではなかった。
 官能評価:結果はほとんどの属性でカスタードの種類によって異なった。高脂肪乳製品のカスタードは他の2つと比較して、バニラ風味が強く、とろみが少なく、溶けやすく、クリーミーで渋みが少ないと評価された。低脂肪乳製品のカスタードは他の2つと比較して、濃厚で渋みがあると評価された。大豆ベースのカスタードは他の2つと比較して、苦味や化学的な風味が強いと評価された。温度は3つとも同じ評価だった。
 唾液流量と官能評価の関係:唾液流量と官能評価の間には有意な相関が見られなかった。

→被験者全員が自分の基準を持っていて、評価は絶対的なものではなく相対的なものであるため、唾液流量と官能評価の関係に相関がなかった?
議論はある?
 先行研究では、唾液の量は時間帯によって変化するとあった。この研究では、時間帯による唾液流量に差がなかったのはなぜか。
→唾液流量の概日リズム(25時間周期で変動する生理現象)は個人ベースでは存在するが、この研究では集団では見られなかった。

次に読むべき論文は?(気になった論文)

 Oral perception of temperature of liquids


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?