沼入り

私がBTSに初めてきちんと触れたのは花様年華だった
といってもリリース当時ではなく、パンデミックの影響で自宅にいる時間が増えた2020年
2015年に横浜アリーナで開催された花様年華 on stageのDVDを観るように母から押し付けられたのだ

正直なところアイドルに興味がなかった
さらに韓国となると言語が違う
そうなると日本語しかわからない私が頼れるのは翻訳しかないのだが
本人が言いたいことと翻訳では解釈が違ってくることがあると思う
その国特有の表現もあるだろう
愛するものごとに対して自分の解釈が持てない、受け止めきれないということが私は苦手だ
だから韓国に限らず他国の何かに触れることはあっても深入りはしない

ところがだ
さして重くはないが確かに鍵のかかった扉を彼らはいとも簡単に開けてしまった

2015年当時、私は大学生でバンド活動に明け暮れていた
といってもデビューを目指したわけではなくコピーバンドを組んで演奏することがただ楽しいだけのお遊びだ
お遊びであれなんであれ真剣ではあった
楽しかった、喧嘩もした、出会いがあった、別れもあった
安らぎがあったし、緊張もあった、学びがあり、成長があった
していることは月と鼈の差だが同世代である彼らの若かりし日を見てなぜか当時を思い出したのだ
まだあどけなさが残る彼らがとても輝いて見えた

DVDを母に返す際、感じたことをそのまま伝えると花様年華の意味を説かれた
「人生で最も美しい瞬間、青春」
BTSでは青春シリーズと呼ぶ一連の作品があるのだと。
楽曲そのものではなく彼らの在り方を見て感じたことではあったが大きく外れてはいなかったことに驚いたと同時に
何がそう思わせたのか知りたくなり一連の作品を観ることにした
まぁ結局はわからなかったのだが単純に”いいな”と思った
後々知ったことだが「言葉が通じなくても同じ想いを共有できるように」と制作されたらしい
まんまと策略に引っ掛かった
我ながら単純である

時は流れて2021年
画面越しではあるが初めて彼らをリアルタイムで観る機会があった
「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE」オンライン・ライブストリーミングだ
母が大画面で観たいと云うので我が家のプロジェクターを貸したついでにご相半に与った

無観客で配信のみの公演だった
悔しい思いをしたメンバーもいたがそれでも尚ステージに上がるプライドが美しいと思った
自らができる最大限のことをするというのは口にするのは容易いが実現させるとなると案外難しい
また、急遽のことながらそれを可能にしたチームワークも流石である
全24曲、聴いたことのある曲もそうでない曲もあったが総じて楽しめた

BTSに限らずアーティストとファンは一心同体であると思う
正確にはそうであってほしいと思っている
心を揺さぶられるから応援し、求めてくれるから次の一歩を踏み出せるのではないだろうか
なかなか会うことは難しいが会えた時はそれはもう言葉に言い表せない感動がある
応援する気持ちはもちろんだが私はこのアーティストとファンの関係がすごく好きでファンクラブに入っていると言っても過言ではない

その数少ない逢瀬のひと時、今回は画面越しの再会となった
彼らもファンもお互いに会いたくてたまらないはずなのに世情がそれを許さない
仕方がないと納得せざるを得ないのだが120%の満足を得られたかと言われると容易に頷くことができない人は多かったのではないだろうか
私ならやはりこの声を直接届けたかった、この目で直接見たかったと思ってしまう気がした

そんな無観客公演を終えて翌2022年
「BTS PERMISSION TO DANCE ON STAGE」の有観客公演が開催された
LA、ソウル、ラスベガス
現地まで足を運ぶことはできなかったがこちらも配信で観ることができた
先述のオンライン・ライブストリーミング同様プロジェクターレンタル業に勤しむついでにご相半に与る

メンバーがMCでも触れていたが
会場によっては声が出せないという規制があったがもそれでも直接会えるということがいかに大きなことか
ファンというにはおこがましい、そんな私でも涙なしには観れなかった

母もそんな私に感じるものがあったのだろう
以前より積極的に勧めてくるようになった
作品はもちろんのこと、公演の映像やバラエティー番組、配信のアーカイブ等
近場なのでよく実家に帰るのだがその度に見せられた
同時に彼らがどういう人達なのか、コンセプト、経歴、楽曲のあれこれを嬉々として語ってくる

同年10月
「WORLD EXPO 2030 BUSAN KOREA CONCERT BTS Yet To Come in BUSAN」も同様に配信を観た
この頃になると衣装が変わろうが髪型が変わろうが引きの画だろうがどれが誰かの認識ができた
詳しいことはわからなくてもそれぞれのこういうところが好きだという自覚が芽生えていた
高揚しつつもリラックスしたような姿に”あぁ、よかった”と嬉しくなった
途切れる配信が苛立たしかった
しばらくこの揃った姿を観られないのかと寂しくなった
どの方向であれ感情の高ぶりが涙で出る私は、出てきては泣き、歌っては泣き、話しては泣き、歓声に泣きと目が乾く暇もない
これはもう認めざるを得ない
私の心にある扉の鍵が開かれていたことに気付いた瞬間だった
ほんの些細な事、されど偶然とは言え重なってしまった道から退けなかった
退くには魅力を知りすぎた
ここに新規ARMYの誕生である

しかし残念なことにやはり言葉がわからない
自動翻訳はどこか直訳的だし
言語を一昼夜で習得できる訳もない
私が知る韓国語は両手に足りる程の簡単な言葉だけ
それでも離れる気にならないのはそういうことだろう

2023年
私に自覚を促したあの釜山公演を映画館で観れると云う
特典付き前売り券はサーバーのダウンを起こしながら即完売
足を運べる映画館では入場特典第1弾が2日目にして配布終了したそうだ
幸いにしてどちらも手元に迎えることができた
公開初週の土曜日には応援上映が開かれ、今後は発声までできるようになると云う
物理的距離が離れても尚、走り続ける彼らはどこまで私たちを魅了するのか

何から始めるべきかもわからないが揃い踏みで帰ってくるまで時間だけはそれなりにある
便利な世の中、情報はいくらでも手に入れられる
仲の良い幼馴染は韓国語が堪能だ
教えを乞うのもありかもしれない
話せなくとも聞けるように、受け止められるようにぐらいはなれるだろうか




普段語彙力0かってぐらい
好き、かっこよ、かわいい、尊いetc,
しか言わんただの関西人です。
映画館で釜山公演観たら色々思い出しちゃって
真面目に振り返ってみたりして

どこの界隈でも共通かと思いますが絶賛新規ハイ中です。
知らないことだらけです。
先輩ARMYの皆様、不束者ですがどうぞその輪の隅に入れてやってください。

2023/2/9 もずく


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?