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雪国放浪記2023早春編その3~大曲・横手・湯沢~

今回は雪国放浪の旅本編に戻って、第2日目になります。日本海沿いに青森を目指す予定だったのですが、どうにも「雪分」が足らなくなり、午後は秋田県内陸部を文字通り「放浪」することになりました。

日本海縦貫線

 本日の旅は、新潟発秋田行きの羽越線特急「いなほ1号」から始まる。新潟出発が8時台半ば、と特急の1番列車にしては遅めの時間であるのは、東京方面からやってくる上越新幹線の初電「とき301号」から接続を受けての発車となるためである。筆者の住む東京都多摩地区からでも、初電で出発すれば何とか間に合う列車でもある。
 ちなみに、新潟から秋田へは、朝6時台に出発する普通列車に乗れば、特急「いなほ1号」から逃げ切って秋田に先着出来てしまう。また、東京方面から秋田へは、盛岡を経由する秋田新幹線の「こまち1号」が、後から東京を出発するにもかかわらず、90分程度先着する。
 そんな悪条件?にもかかわらず今回の旅で「いなほ1号」を選択した理由は、その車窓風景にある。この区間の羽越線はかなりの区間を日本海に沿って走る。しかも秋田方面行は、複線となる区間ではより海に近い旧線を走る。進行方向左手の窓際の席に陣取れば、数時間にわたって日本海の荒波を堪能することができる。越後・出羽の国境の鼠ヶ関界隈や、山形県から秋田県に入るあたりの象潟付近がとりわけ車窓の眺めがよい。

「いなほ1号」から見る日本海。
このような風景が全行程の3分の1~半分ぐらい続きます。

 ただ、今回は大きな誤算があった。進んでも進んでも上の画像のような風景が延々と続く。そう、雪の欠片すら無いのである。前の晩の新潟市内も積雪ゼロであったのである程度は予想してた。が、少なくとも道程半ばの酒田を過ぎる頃には銀世界になる、と思っていた。結果は秋田駅に到着するまで積雪ほぼゼロの状態が続いた。
 深刻な「雪分不足」状態である。これはまずい。
 というわけで、秋田駅からルート変更し、秋田新幹線で内陸部へ入り込むことにした。

秋田駅に到着した特急「いなほ1号」。
ホームどころか周辺にも雪の欠片すらありません。
秋田から青森へ向かう特急「つがる3号」。
雪分不足のためこっちへは進まずに…
…「こまち24号」東京行(!!)で秋田県の内陸部を目指します。

再び雪国へ~湯沢から横手、大曲~

 時刻は12時を過ぎているため、改札脇の売店で弁当を入手。車内で弁当を食べつつ今後の行程を考える。角館・田沢湖方面に進もうかと迷ったが、大曲で下車して、奥羽本線を更に南下し、日本一雪深いエリアとして著名な横手・湯沢方面を目指すことにする。記憶によれば、横手の駅のそばに日帰り温泉があり、上越国境では果たせなかった雪見風呂が堪能できそうである。湯沢でも探せば日帰り入浴できる施設がみつかるかもしれない。
 とりあえず、乗り継いだ電車の行先が湯沢だったので、終点まで行くことにする。

お昼御飯用に手に入れた名物弁当の鶏めし。
こまち号の車内でいただきました。
大曲駅で乗り継いだ、奥羽本線上り湯沢行普通電車。
この辺りまでくれば、こんな感じの風景が広がって、
下がっていたテンションも復活します。

 腹ごしらえも済んでいるので、まずは湯沢の街を探訪する。昭和初期に開業した上越線の駅が「越後湯沢」になっているのに対し、こちらは単に「湯沢」となっていることから判るように、鉄道の開通は明治後期まで遡ることができる。
 ただ、越後湯沢よりも街の規模が大きいためか、駅を降りてすぐに温泉街、というわけではない。おまけに、訪れたのが平日の真昼間ということもあって、まだ開いていないお店も多い。暖かい日だったこともあり、町中に残雪はふんだんにあるが、歩道も含めて道路の部分はきれいに除雪されていて、普通に歩ける。

湯沢の街中にある湧水地。
温泉ではないですが、この季節でも凍っていないです。
温泉宿がある街はずれの一里塚。

 結局、電車の時間の都合などで湯沢では温泉に入っていない。湯沢の公営日帰り温泉は、更に奥羽線で4駅進んだ院内駅前にあることが判明した。横手から先は奥羽線の電車の本数が極端に少なくなるため、そこまで行くと此の先の行程に支障が出そうであったため断念した。代替案として、横手に戻って駅からすぐのところにある日帰り入浴施設に行くことにする。
 そのまま横手のB級グルメである焼きそばを堪能しようとしたが、時間帯が中途半端になってしまって、どのお店も午後~夕刻の支度中の時間になってしまった。というわけで、今後の方針を考えるべく、再度、大曲の駅まで戻ることにした。とりあえず改札を出てみると、、、

大曲駅の東西連絡通路の跨線橋上(!!)にて。

、、、大曲駅にも、ストリートピアノ、ならぬ、ステーションピアノがおいてあった。というか、越後湯沢駅のステーションピアノの案内板にて、大曲駅にも置かれていることは知っていたりする。
 しばし様子を見ていると、学校帰りと思われる女子学生2人組が、練習?がてら、ちょこちょこと弾き始めていたので、自分はとりあえず遠慮することにした。
 そうこうするうちに良い塩梅の時間になったので、再度横手に戻って、本日のディナー?にする。こういった比較的短区間(??)の移動でも気軽に往復で来てしまうのが、乗り放題切符の特権である。

まずは、御神酒奉納タイム。
一合瓶だと思っていたら300cc入りでした。
ピンクのリボンは、お昼に食べたお弁当から拝借。
ディナータイムです。
左側の鶏皮餃子が美味でした。
しめは梅茶漬け。梅干しは自家製だったように記憶。

 横手は、新幹線の(在来線直通)ルートから外れ、現在ではローカル普通電車しか来ない駅であるが、奥羽本線と北上線の接続駅でもあるためか、街の規模は意外と大きい。なにより、秋田県全体で9店しかないスターバックスカフェの1店が駅の西側比較的近い所にある。この界隈にはインターネットカフェやチェーン店のラーメン屋、紳士服店もあり、とてもローカル線の田舎駅前とは思えない。
 ちょっと酔っぱらいすぎて電車を1本逃してしまったので、スターバックスカフェにて酔い覚ましのフラペチーノをすすりつつ、次の電車まで1時間程度休憩する。

スターバックスのある界隈。
普通に首都圏の郊外と変わらぬ風景です。
でも、駅に戻ると、雪国であることを実感させる風景が広がっています。
特に、使われてない線路に雪が積もったまま、というのは…^^;;

 本日の宿泊地はここではなく隣県の青森で、最終接続列車は確認している。最短ルートとなる秋田・弘前経由の終電は終わっているが、大曲から秋田新幹線で盛岡に抜けて東北新幹線で青森に向かうルートは、まだ最終の1本前である。実は北上線で北上に抜け、そこから東北新幹線で北に向かうルートが終電が一番遅い。北上線は妃殿下ローカル線であるにもかかわらず、である。もっとも、秋田・弘前経由と比べると、距離が長くなるうえ特急券が新幹線で割高になるので、このルートを躊躇なく選択できるのは、特急自由席を含めた乗り放題切符の特権である。
 大曲での乗り継ぎで十数分余裕があるので、ここで一旦改札をでて、演奏可能時間を確認しつつ、先程のステーションピアノを演奏してみる。跨線橋の上ということもあり、反響が独特である。 

大曲駅新幹線ホーム。右が秋田行。
左が東京行最終。自分が乗るのはこっち。
なお大曲駅では、その構造上、秋田新幹線は全列車が方向転換します。

 盛岡駅にて、秋田新幹線の上り東京(方面)行から東北新幹線の下り新青森(方面)行の接続はあまり良くない。駅についてから、しまった、こんなことならば、冷麺か椀子蕎麦も堪能するんだった、と思いついたのだが、すでに、横手でのディナー=焼きそば+お茶漬けでお腹一杯であり、これ以上食べるのは無理であった。
 一応、待ち時間に盛岡駅前に出てみたが、ここにも積雪はなかった。

盛岡駅新幹線ホームにて。
「こまち」号と「はやぶさ」号が連結するポイント。

 本日の宿は、新青森駅の近くにとってある。チェックインする前にコンビニで飲み物を買っていこうと思ったが、すでに閉まっていた。なお、新青森駅界隈には、普通に積雪があった。

新青森駅前の様子。満月に近かったはず。
二日分の御神酒の残りが溜まってしまいました。

(以下、その4~雪の八甲田東ルート編~に続く)

本日の行程

※列車の時刻は2023年3月18日のダイヤ改訂以前のものです。
新潟8:22→いなほ1号→12:03秋田12:13→こまち24号→12:44大曲12:51→ 13:32湯沢(市内探訪)14:40→15:04横手(温泉入浴)→大曲(ピアノ偵察)→横手(ディナー)19:04→19:21大曲(ピアノ演奏)19:43→こまち48号→20:49盛岡21:38→はやぶさ43号→22:30新青森

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