alicetalesと俺

5000文字弱から成る感想文。



2022/9/7 alicetalesは解散を発表した。

まずは1曲聴いてほしい。
Monday Morning Belle/alicetales

聴いたかな?聴いたね!
それではalicetalesについて語っていこう。
これは誰に依頼されたわけでもなく、alicetalesの歴史を紐解こうなんてものでもなく、
あくまでも俺個人のalicetalesへの愛と思い出を綴るだけ。
そんなもん興味ねえよ、という方はalicetalesに思いを馳せてinverseを口ずさみながら寝てください。

alicetalesとの出会い

今は昔、というくらい記憶が怪しいが…
2016年、俺は転職で東京に戻ってきた。千葉出身が背伸びをするな。
大学サークル時代の先輩である市川さんが学生時代からやっていたFloat down the Liffeyの他にalicetalesというバンドをやっていることを知った。
まだサブスクが主流でない時代、YoutubeにあったMVを観てライブに行った。今はなき吉祥寺ichibeeだった気がする。

ぶち抜かれた
俺が通っていないジャンルの要素があることはわかった。何が琴線に触れたのかわからないが理解を追い抜いて身体が喜ぶ感じ。
思い返せば学生時代はメロディックパンク→HR/HM徹底的に掘り下げ、2010年代はハードコア中心にdigっていたので、メロディが良いシンプルなバンドはご無沙汰だった。
ライブ後は市川さんからメンバーに紹介してもらい談笑した。
中村(兄)は俺がスケーターであることに反応(※1)していたが、それよりもADVゲーム関連の話への食い付きがすごかった。うりゅー!!!
この日からalicetalesのことを俺は大好きになった。

※1:中村(兄)にファッション、音楽、カルチャーを叩き込んだ人(本人談)がスケーターである為。2人はsugardropというバンドもやっている。

alicetalesを観る日々

それから今まで、俺は都合さえつけられれば行けるライブには全て行った。
・桜台poolにわざわざLagwagonデッキを自慢する為に持って行ったり
・吉祥寺ichibeeで入口の重い扉に指を挟んで流血したり、最高なレモンサワーをたくさん飲んだり、狭い喫煙ルームにみんなで入り浸ったり
・STAR WARS ep9初日レイトショー後の深夜の新宿LOFTで酔ってシンガロングして周りに迷惑をかけ、みんなで見た朝日が眩しかったり
・下北沢Basement BarでのUNIONレコ発ではalicetalesはもちろん、後に好きになるバンドに出会えたり
・密かにリクエストしていた「pallownia,valley and flower」を演ってくれたのを観て泣きそうになったり、その後この曲は封印となって泣きそうになったり

当時は月に4,5本ライブを観る生活をしていたのでalicetalesの頻度は少ないように思えていたが、思い返すと色んな箱で観たんだなーと感慨深くなる。
思い出は尽きない。

alicetalesとの関係

先輩である市川さんが繋げてくれたのもあるが、alicetalesとは何だかんだ絡むことが多かった。
冒頭に上げたMVは都内某公園とその近辺での撮影だったが、
撮影数日前「好きなバンドT着てエキストラ出演して!」と連絡があった。
俺は浮かれた。大好きなバンドのMVに関われるなんて!と(フラグ)。

envyのスナップバックキャップに、city of caterpillarとheven in her armsのダブルネームTシャツを選び「envyみたいなポストハードコアのビッグネームも好きだけどUS激情や派生のポストブラックも好きなんだぜ」という痛々しい自己顕示欲に溢れた格好で撮影現場に向かった。昨日より過去は全て黒歴史にである。

現場では既に撮影準備が進んでいた。
主演は可愛らしい女性と、垢抜けない男性(失礼)。着々と撮影は進むが俺の出番はまだ無い。昼前から自分のバンドリハがあった為、中抜け。
リハ後にライブシーンの撮影から合流した。
MVにある通り、ライブシーンではalicetalesに混ざって上記の男性が熱唱するという内容。あんなに熱量のある演技を何テイクも続ける男性。キマってんのか?と思った。
キマってなかった。これがデフォみたいだ。

そう、彼は宇都宮のSHORT CIRCUITことSonoSheetのYuki君。
AIR JAM2018の頭のBRAHMANに間に合わずヤケ酒し、JoysoundのカラオケステージでToshi-Low完コピBASISを披露してプチバズりした彼だ。

話が逸れた。
そんなMV撮影も完パケを迎え、そのままフリーライブになだれ込む。
その日のライブは撮影の疲れもありながら、スタッフのシンガロングが印象に残るライブだった。
俺のエキストラ出演は無かった(フラグ回収)。

俺のバンド活動
今やっているバンドは、元々は会社の軽音部ライブに出る為に組んだコピバン。数年ぶりにベースを手にとった俺にはそのくらいの軽いスタートだった。
そのバンドで普通に曲を作って活動していくことに決めた要因の一つにalicetalesの存在が挙げられる。

alicetalesは
「俺らがかっこいいと思ったものを再構築すればかっこいいに決まってる」というマインドを持って活動している。(と思っている)
というのも、曲中に散りばめられている数々のオマージュについて第三者が気付くとそこから盛り上がって話が広がっていくことからもわかる。
あとはやっぱり等身大で鳴らしてる感があるよね。

俺はバンド活動をする上でいつも背伸びしていたのかもしれない。
自分が持っている以上のものをアウトプットしなければ、この世にないかっこいいものを作らなければ、という強迫観念じみたものを持っていた。
これを壊してくれたのが先述したalicetalesのマインドだと感じている。
それからは自分がかっこいいと思うものを積極的に取り入れ(オマージュ)たり、真似事に近いアプローチもするようになった。
ただ、唯一無二感は出ない。
そこが俺とalicetalesの違いかも。

【少し脱線】
ここで少しバンドやる上での時間的なバランスに関する持論を展開する。
前提:人生における時間というものは誰でも同じ。
この時間を何に割くか、ということが人の特性や能力を決めると思っている。

まずは音楽に充てる時間。
学生時代は勉強や部活や人付き合い等、社会人は仕事や人付き合い等、その中でどれだけ音楽に充てられるか。

更にその中で
①音楽を聴く
②演奏の技術を高める
③理論を学ぶ
etc…
と充て方は様々。

例えば、①音楽を聴く に時間をほぼ充てて他がおざなりになれば、
理想となるバンド像はあっても演奏ができない。
②演奏の技術を高める に時間を充てて他がおざなりになれば、技術はあるが方向性が定まらなかったりジャンルといった指標を理解できない。
etc…

組み合わせは無数にあるが、要は充てる時間のバランスが肝。
alicetalesはとてもこのバランスがとれているバンドではないかと思う。
更に言えば、少し①音楽を聴く 部分に重きを置いている分、
他と競合しない唯一無二感が出てるのではないか、とも思う。

しらんけど。
【脱線終わり】

alicetalesメンバーと俺では今までメインに聴いてきた音楽も違ければ、
やろうとしていることも違う。
だからalicetalesにはなれないが、俺なりの唯一無二感を出せるバンドにしたいと思う。

ちなみに…
alicetalesは俺がバンドをやっていく要因の一つと書いたけど、
「働きながら行う音楽活動」というトークセッションを見たことて背中を押されたことも紹介したい。
endzweck上杉氏、DEEPSLAUTER小川氏、ATATA鳥居氏という豪華なメンバーによるトークセッション。
仕事しながらバンドやってる人、やりたい人は一回読むと面白いかもよ。


対バン
alicetalesと俺のバンドは同じスタジオでリハをしていたので顔を合わせる機会が多かった。
・スタジオに着いたらalicetalesが談笑している
・リハ休憩で外に出たらalicetalesが談笑している
・近所のファミレスでalicetalesが談笑している
・チラッと見た部屋でalicetalesがプリプロしてる
・休憩スペースが某俳優出演映画の聖地になる
etc…

そんな機会が多い関係ではあったが、対バンは結局できなかった。
俺にとってalicetalesは大好きなバンドであり仲の良い友だちでもあるが、
憧れに近い存在でもあった。
彼らに並べるだけの実績も無い自分のバンドではきっと呼ばれることも無い。
そうだ、自分の企画に呼べばいい。

2020年初頭、海外のメロディックパンクバンドを中心に来日招牌するチームから何本か声がかかった。
自分のバンドが軌道に乗り始めている実感を得、自分の企画を考え始めた。
メロディックパンク界隈はどうしても同じジャンルが集まる企画になりがちだが、俺はそうはしたくなかった。
何バンドかの候補は自分の中で決まり、水面下での調整を始めようとしていた。

何かのタイミングで顔を合わせた際に話をしてみた。
「いいじゃん!最終判断どうなるかわからないけど詳細決まったら教えてよ!」
よし。最悪の結果は免れた。あとは実際に動くだけだった。

コロナ禍が始まった。
更にメンバーのライフステージが変わったりしたことで、それぞれのバンドは活動が減っていく。もちろん企画の話は正式に動くこともなく流れた。
そしてalicetalesは解散を発表した。

これからのalicetalesと俺

残念ながら解散してしまったが、メンバーには既に次の活動がある。応援しよう。

サブスクからもいずれalicetalesの名前は無くなるのかな。
ほぼ全てフィジカルで持っているので困りはしないけど、気軽に人に勧めることができなくなるのは少し困る。
皆さん、disk unionに走ろう!

先日、中村(兄)と私用で連絡を取り合っていた時に解散の話を聞いた。
俺はショックだった。
しかし、思った。
俺「カバーし放題じゃん任せろ」
兄「好きにやっちゃって」
言質とった!

alicetalesは俺の中で生かし続ける。
そんなことしなくても皆さんの中でも生き続ける。
だとしても大好きなバンドだから俺は勝手にやるぞ。(泣きそう)

alicetales、8年間お疲れ様!


雑な思い出(蛇足)

なんとなく覚えている好きなエピソードを書いておきたい。
・今や俺の物になったDEAN Hard Tailを会う度によこせと脅すGt
・それを何度も躱す俺
・ange3の元ネタ予想をツイートしたらシュバってきたVo
・家が近いから飲みに行こうという話をするが結局実現しないBa
 →実現しました
・お互いよく雪山で滑る同士で一緒に行こうと話をするが実現しないDr
 →今冬こそ
・alicetalesの旧Tシャツ紹介写真を再現すべく、Gカップの彼女にTシャツを着せて写真を撮る気持ち悪い人
・ライブから酔って帰った翌日、何故かalicetalesのステージパスを持っている俺
・Lagwagon、GUNS N’ ROSES、Foo Fighters、Paul Gilbert等のオマージュに気付くと嬉しい
・一度サークルをやめた時のエピソードを1x年経ってもイジるGt
・ベロベロになりながら「This is Japanese アテ」とよくわからないツマミの説明を外人に披露するVo
・J.J.Abramsの発音はジャージャーエイブラムス
・Never Gonna Give You UpのFoo Fightersカバーを更にカバーしたやつをライブで観る時の高揚感
・Turning up! Turning up!

・・・


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