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子育ての意味

私の教室では、そろそろ発表会の準備に入ります。

50人以上いる生徒たちの選曲はひと仕事!

だけど、この作業で実は様々な親子関係が見えてきたり…


私の選曲方法

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ピアノ発表会は、1年間の総まとめ的な位置づけでもあり、私も生徒たちも親御さんも、普段の練習とは違う熱量が入ってきます。

本番ではとてつもない緊張感を伴うし、そこまでの練習の過程は、なかなか過酷なものがあります。

なかなかうまく弾けない不安。
いくら練習しても、本番では間違えてしまうのではないかという不安。

レッスンではそんな子どもたちを
時には厳しいことを言い
時には励まし
時にはベタ褒めしたりして
本番にできるだけベストな状態に持っていけるように私も指導します。

途中でくじけそうになる子どももいます。

そんな子どもたちのモチベーションをいかに保ち続けるか、

そのために、私は選曲する過程を重視するのです。

「曲」ではなく、「選曲の過程」です。


自分で「決めた」という意識

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発表会で弾く曲を自分で決める…自分で「弾きたい」と思った曲を選曲すると、やはり発表会までの練習の気合の入れ方が違います。

練習していくなかで、当然山あり谷ありで、くじけそうになった時に、この「弾きたい曲を自分で選んだ」という気持ちが支えになってくれます。

そのため私は、できるだけ生徒さん本人に曲を選んでもらうようにしていますが、だからといってどんな曲を選んでもいいというわけではありません。

習い始めて1年の子がショパンの「革命のエチュードを弾きたい」とか言われても困ります。

(言わないけど)

今の教室で教え始めて7年。中学生を筆頭に、年齢的にバランスよく分散されています。そうすると生徒たちは目標とする年上の子を見つけやすいんですね。

来年、再来年、あれくらいの曲が弾けるようになりたいな、とか…

そしてその目標を目指して、生徒たちは頑張る。今度はその子が誰かの目標になる。

そううまく循環してくれると、私の仕事はやりやすくなります。

御膳立ては整った。あとは背中を押すだけ。


親の関わり方とは?

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ここまできて、実は大きな障害に遭うことがたびたびあります。

せっかく子どもたちが自分で弾きたい曲を選んだ。発表会に向けてこれから頑張ろうという気持ちになった。

なのに…

ここでこの、子どもたちの気持ちを踏みにじってしまうのは、実は親御さんが一番多いのです。

理由もほとんど2パターン。

・あなたに弾けるわけないじゃない

・○○ちゃんはあんな難しい曲を弾くのに、あなたはこれなの?

たまに…

「そんな曲知らない。もっと有名な曲にしなさい。恥ずかしい」

と言われる場合もあります。


どうですか?


せっかくの子どもたちのモチベーション、身近な親御さんから言われたら簡単に崩れてしまいます。

それどころか、おもいっきり自信喪失です。

次年度から曲を選ぶときに

「お母さんがいいって言うかな?」

と言うようになってくるのです。

自分の意思を持たず、親の目を気にしてすべての行動を決めてしまうようになるのです。

こうなると、私1人の力ではどうにもなりません。

親御さんの心理もわからなくはない。


「あなたに弾けるわけないじゃない」

・本番で失敗したらかわいそう

・子どもに恥をかかせたくない


「○○ちゃんはあんな難しい曲を弾くのに、あなたはこれなの?」

・他の子と比較して、やはり恥をかかせたくない

おそらく子どもを思う親心、なのですが…


ピアノレッスン以外では?

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私には息子が3人います。

それぞれの子育ての場面で、上記と似たような場面にたびたび遭遇しています。

学校の懇談会で…教師への要望として

友達付き合いの中で…親の気に入った子としか遊ばせない

生活全般の中で…親にきちんと管理された生活を送る

など。

どれも「子どものため」という気持ちの表れだとは思うのですが…

親が全てにおいて干渉しすぎて、子どもたちの先回りをしてストレスをどんどん排除していく。

子どもはいつもストレスフリーな、のびのびとした明るい、何も悩みのない生活をしていく。


これ、一見親としてとても良くやっているように見えますが、大丈夫でしょうか?


子どもはいつか、親から自立していきます。

それまでもし、守りに守られて生きてきたのなら…

突然、守ってきてくれた「親」がいない世界で、子どもたちはどうストレスと向き合えばいいのでしょうか?

これは、私が長男の主治医から聞いた話です。

最近そういう守られた子どもが増えてきた。

思春期に入ると、子どもたちは親から離れようとする。

しかし、これまで親に守られてきた子どもたちは、友達付き合いなどでのストレスとの向き合い方を知らない。

結果…

不登校になる子もいる。

そして親に対して攻撃的になる子もいる。


親は子どもを守りすぎるのではなく、ストレスとの向き合い方を教えるべきだ、と先生はおっしゃっていました。


確かに…

前もって子どものストレスを排除する方が楽なんです、親としては。

傷ついて苦しむ我が子を見るのは本当につらい。

だけどその時に、寄り添って一緒に問題解決をする姿勢を見せてあげることが、本当の意味で子どもを自立させてあげることになるのではないか?と思うのです。

子どもは親の所有物ではありません。

親の理想を押し付けて作り上げる人形ではないのです。

将来、子どもたちが自分の力で、自分の足で歩いていけるようにしてあげる。

これが本当の「子育て」なのかなと思うのです。





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