ころがれメロン
太陽が燦々と降り注ぐ、のどかな畑に住むメロンは、のんびりした性格だが、とても優しい心を持っている。ある日、メロンの親友であるスイカが、果物市場の支配者「バナーナ」に捕まってしまったという知らせを受けた。
「スイカが危ない!助けなきゃ!」
メロンは決意を固め、転がりながら畑を飛び出した。畑から市場までは険しい道のりだ。小さな石が転がるメロンの道をふさぎ、枝が転がりやすい体に絡みつく。しかし、メロンは「ころがれ、ころがれ!」と自分を励ましながら進み続けた。
道中、リンゴ、ブドウ、キウイといった果物の仲間たちが、メロンを応援してくれた。
「がんばれ、メロン!スイカを救うんだ!」
果物たちの声援を受け、メロンの心には少しずつ勇気がわいてきた。やがてメロンは、果物市場の入り口に到着する。そこには市場を支配するバナーナが、堂々とメロンを見下ろしていた。
「スイカを返せ!友達を助けに来たんだ!」
メロンが叫ぶと、バナーナは鼻で笑った。「その前にお前をジュースにしてやろうか?」と言い、周りの果物たちも不安げな表情を浮かべた。
メロンは、どうにか説得しようと懸命に訴えた。
「どうかお願いです、スイカを返してほしいんです。私はすぐに戻ってくるから、どうか彼の身代わりにならせてください!」
バナーナはしばし考えたが、メロンの真剣な目に心を動かされ、ついに身代わりを許した。メロンは全速力で転がり、スイカを連れて畑へ戻った。そして、スイカと別れの抱擁を交わし、再び市場へと急いだ。
再び果物市場に戻る途中、メロンは大きな坂に差し掛かる。急な下り坂は転がりやすいが、加速しすぎると止まれなくなる危険があった。しかし、メロンは躊躇せずに坂を転がり降りた。風を切るようなスピードで市場に向かって一直線だ。
やっとのことで市場に到着したメロンは、間に合ったと安堵の表情を浮かべた。バナーナは意外そうにメロンを見て、目を細めてこう言った。
「お前、戻ってくるとはな……。」
メロンは、真剣な眼差しでバナーナを見つめ、「約束したから、ちゃんと守ります」と答えた。メロンの誠実な態度に感動したバナーナは、長らく支配者の座に君臨してきた心を少しずつ溶かされていった。
「よし、約束だ。お前もスイカも、自由にしてやる。私も、もう少し心を入れ替えよう。」
そう言うと、バナーナはメロンとスイカの友情に敬意を払い、果物市場に平和をもたらすことを誓った。
こうしてメロンとスイカは、仲間たちと一緒に平和な市場で楽しく暮らすようになり、果物市場の伝説的な冒険は、いつまでも語り継がれることとなった。
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