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シマノ鈴鹿5ステージ2022 夏より熱いメイド編

インタビュワー
「5ステに現れた謎のチーム FAST√MADEの代表こと宮田さん、お疲れ様でした。2日間を終えて今の気持ちはいかかですか?」

宮田
「ありがとうございます。そうですね、まずはチームとしては6名全員無事に完走でき、ジュニア総合を獲得できたことを嬉しく思います。」

インタビュワー
「おめでとうございます。後輩たちの今後に期待が持てる結果でしたね。宮田さんご自身の走りを振り返ると今どういった心境ですか?」

宮田
「実力相応のパフォーマンスは発揮できました。今は春先から少しずつ貯めてきた気持ちが一旦ほぼ空になったような、けれど清々しくはない気分です。」

インタビュワー
「それはなにかしらの心残りがあるということでしょうか?」

宮田
「心残りも無くはないです。ただ、それよりもトップではまだ勝負できないなという悔しさが1番大きいですね。」


俺たちの夏は一瞬で過ぎ去った まるで夢のように

それだけ熱中して走り抜けたということだろう。

使用機材

6年前の5ステもこのフレーム

フレーム→Wilier cento1SR 2016
コンポ→68アルテDi2 
ホイール→WH-9000 C75
タイヤ→panaracer アジリストTU 25c


今回、久しぶりにチューブラーリムを使うにあたってやまだくんがpanaracerアジリストのチューブラーモデルを手配してくれた。実はあまりいい印象のメーカーではなかったものの使ってみれば評価は一転。気持ちいいグリップ感と転がりが両立されていてコスパもいい。クリンチャーモデルも試してみようかな。

TTバイクの物撮り忘れた

フレーム→Cervelo P5 2013
コンポ→68アルテDi2 
ホイール→F WH-9000 C75、R CRODER RWD
タイヤ→panaracer  raceEVO4 TU 25cとアジリストTU 25c

贅沢にも今回はTTバイクを投入。友達が余らせていたP5に借り物のホイールとクランクを装備してサドル以外借り物。このP5は全日本TT複数回優勝、世界選手権TT20位を記録した選手が使用していたので性能は疑う余地がない。後輪のタイヤがraceEVO4の理由は、借りたディスクホイールに新品が貼ってあったため。本来納得いくタイヤに貼り変えるべきだけれど、お金もないし色んなタイヤを試してみるべきだよね(本番でやるなよ)。
ヘルメットも、当初はノーマルで臨む予定だったが、個人TT予選を1位通過した荻野君がオフィスに遊びに来てくれた時にカスクのエアロヘルメットをご厚意で貸してくださった。彼は後の決勝でコースレコード樹立での優勝を果たす。のでこのヘルメットも間違いない。加えてシューズカバーも装着した。全日本TTで金子選手が使っていたので試しに買ってみたパールイズミのスピードプリントシューズカバー。着脱しやすくて不快感が無いのでかなり調子いい。効果は実感出来るとこではないけど…。そうやって強いひとにすぐ影響される〜とかやまだくんは言うけれど、強い選手のマネから入るのは大事だとおもう。特にTTなんて。


第1ステージ ロードレース 29km

5.8km×5周のロードレース。2日間を共にする顔合わせ会のようなもの。朝イチから強豪たちが挨拶代わりと言わんばかりに攻めていく。

そんな中自分は有力な逃げに乗れずメイン集団で虎視眈々とスプリントに備える。本来、ステージレースにおいて同集団は同一タイムが加算されるため1位がかかっていない集団内でもがくのはリスクの方が高い。だが、集団にはNerebani川崎さんが居る。この方はおそらくしっかり集団の頭を獲るだろうと思い、だったら勝負できるじゃんと気合を入れる。下りで普段のチームメイトである井戸田が背中で語りかけて来たので乗せてもらい集団前方へ位置を上げ最終コーナー。

ホームストレートに入るとまず目の前におもてなし係たか村。番手についてかわすと目の前には川崎さんとハッシーハードコア。一瞬悩んだけどハッシーHCの後ろについてスプリント。かわすが川崎さんには全く届かず集団2位の全体9位。逃げとは1分以上時間差がついていた。

位置取りの感覚は悪くない。明日のロードレースでは最前線に行かなければと気を引きしめる。


朝イチのレースを終え、オフィスに戻るとサイガと大林がローラーセットしてくれて迅速にコジマとやまだくんがジェルや炭酸を持ってきてくれる。連戦を意識した素晴らしきサポート体制。毎ステージ終わる事にこれは非常に助かった。

第2ステージ ITT 2.2km

はやそう

前述の通り借り物TTバイクで出走。予め荻野くんにショートコースTTの極意を教えて貰っていたので実践するのみ。登りをガチで踏んでスピードを殺さぬまま下りに突入して、ガチで下って最後の膂力をホームストレートにまたぶつける。そういうイメージで招集へ向かう。

TTの発走順は総合順位の逆順なので、自分はケツから9番目。周りは猛者ばかり。真後ろは「あれ、宮田くん誰を倒すんだっけ?さっきのステージでも俺の視界にいなかったよ(笑)」とニコニコの川崎さん。そんな雰囲気の会話だろうとしっかり川崎さんを倒しますって言っておく。会う度このやり取りやってるとそのうち「大見得切った割にはいつまでも弱いやつ」って認定されて顔合わせるのが恥ずかしくなるから練習しなきゃって気を引き締められる。会話するだけでこちらのモチベが上がるなんてコスパのいいお人だ。

前走者のハッシーHCが発進し5秒、宮田発進。カバーのせいでクリートキャッチ地味にミスる。8割で踏んでシケインに突入。そこで事件発生

DHバーポジションで曲がるの怖ぇぇぇぇ

そう、TTバイクでは直線かローラーしかしてこなかったためDHポジションで曲がったことなんてなかった。なんとかなると思ってたけどめちゃ怖い。そして後ろから轟音が聞こえて川崎さんにぶち抜かれる。それでもビビってパニックになり下りに入る前に一瞬脚が止まる。それを下り坂で見ていたサイガたちの「なにやってんだあいつ……」みたいな目線を感じながらDHを握って下りを踏む。いける、いけるぞォとカーブをこなすが最終コーナーは怖すぎてベースバーを握ってしまう。ホームストレートまでのもがきはDHに持ち替えて完。

良くて30位以内かな…と思いつつダウンしながらリザルトを確認すると意外にも12位。それもmkw大東さんに次いでの順位だった。まさしく機材バフだが、まさか3分弱のタイムトライアルでもここまで変わるとは思っていなかった。自信なかっただけに少しだけ嬉しくてたまたま通りかかった井手さんに「バーちゃんと握れてたら大東さんに勝てましたよ〜(笑)」とか言っちゃった。4秒もの差が空いているというのに。
※その後しっかり本人にチクられてました

第3ステージ TTT 23km

5ステの山場とされるチームTT。総合争いはほとんどここで決まる。我々は天翔とヒロムのいずれかをジュニア総合1位に立たせるために西尾擁するブレッツァカミハギと齊場擁するTCCにここで優位に立たなければならない。作戦は、中野がペースを作り俺と牽引する。あとのメンバーに積極的な牽引は求めていなかった。序盤から中野がいいペースで引いていく、まだ下がらないのか?と思いつつ股擦れと戦う俺。自分だけがTTバイクなので先頭で上げすぎないように淡々と踏んでいく。中野は前半で出し切る気か?と思わせるくらい長く引く。周りに他チームがいる時のライン取りも爆裂上手い。練習してないのに俺より安定感あって草。天才かよ。

前方にブレッザを捉え続け、3周目のシケイン前で西尾のドロップを確認。一安心しつつもタレないように集中していく。終盤にかけてブレッツァとの距離を詰めていかなきゃいけないが、ラスト1周天翔がキツいらしくペースを落とす。中野以外のメンバーみんなキツそう。先頭でDH握って普通に踏んでいたが天翔が抑えろとうるさいのでベースバーに切り替える。先頭で。周りの遅い2チームに合わせなきゃ行けない状況にだんだんイライラしつつも最後の下り手前、中野に下りのライン取りをおまかせして、天翔とヒロムにちぎれるなよと念押し。ホームストレートで下りで前に出て更に加速するが天翔が後ろで7割!7割!って言うのでまたも抑えさせられる。すこしリズムが狂って最後の直線最後まで引けず3人を発射しフィニッシュ。結果はブレッツァに後手を取る形になった。しかし西尾はDNFのため個人総合のタイム差は覆し天翔がジュニア1位に。

中野が居なかったらかなり悲惨なことになっていた。あいつは天才です。

ぼうしんのとこに勝ちたかったな〜

チームTTが終わったあと、ユーゴの様子が明らかに沈んでいた。彼はマジメなので誰よりも先にツキイチになり貢献できなかったことを気にしているんだろう。その辺色々な人が心配していた。そういう悔しさは明日ぶつけてくれ、と思いつつも励ませるような言葉がかけられない。なんなら、彼がオフィスでこぼした「チームで走るの向いてねえ……」って嘆きに対して「個人でも変わらん、単に実力不足だ。」と最悪のフォロー。俺自身も実力不足に打ちのめされていたので向き不向きで語られたくなかったからそう言ってしまった。全然怒ったりしてないよ、ごめん。


一日目が終わった。第1で逃げに乗れず、第3では中野に助けられっぱなしで明日こそ見せ場を作らねばと気持ちを切り替える。
大戸屋でありえんくらい飯食って、歩さんに言われた通り金グリとプロテインを摂取し、入浴とストレッチとマッサージを入念に施して疲労回復につとめた。

翌朝、6時半くらいに現着し朝イチのコジマのレースの応援。まずブレッツァのオフィスに預かっていただいたローラー台などを引き取る。加藤さんありがとうございました。

コジマは積極的に牽引して昨日は届かなかった表彰台へ。後のことを考えると2位って結構おいしくて、1位になるためもっと練習頑張れると思う。エントリー決まってからずっと夜勤明けソロとか男子に混ざるようなハードな練習続けてきて、大会直前に色々大変なことがあってブレーキがかかりかけたけどコジパパがそれでも歩みを止めちゃいけないって背中押してくれたから結果を出しきった。コジママにプリン持って報告しにいかなきゃね。
来年はクラシック出られるようにもっとハードに引きずります。

表彰式見たかったけど第4ステージの準備。足は軽い。雨もやんできた。次は俺の番

第4ステージ クリテ 11km

東ショートコース5周のクリテ。距離も短く登りと下りだけなので例年ハイスピードな勝負になる。総合争いからは脱落しているので基本は集団スプリントに備える立ち回り。ホームストレートからシケインで位置が下がるので、下りで位置をあげるの繰り返し。最終周回のホームストレートでバルバの井上さんと寺崎さんが先行していたのでまずいと思って着いていく、シケイン前で怒涛の勢いでしんのくん上がってきたので死を察したがここで遅れたら参加できないと思い食らいつく。川崎さんの真後ろ、しーまさんと横並びになって下りに突入。彼は第4狙うと言っていたのでエースに設定されていると読んだ。案の定前の大東さんの元に向かっていたのでその近辺をキープ。最終コーナーを通過し、誰に寄生すべきか考える。目の前にはハッシーHCと和田さん。和田さんを選択し着くが踏みやめた様子。右後ろから宮田!右!って言われたから右に出てスプリント。7位でフィニッシュ。いつのまにか左の方に行ってた川崎さんが優勝。またもや勝負にならなかった。ちなみに右!って言ってきたのはたか村で、右にいるから来るなという意味だったらしい、すま

ぼうしんつよくね?

ゴール前に強いひとたくさん前にいるとどの人に着こうか悩むよね。まだまだ勘が冴えません


第5ステージ ロードレース 40km

泣いても笑っても最終決戦。長丁場で、リーダー以外が逃げを試みるのでそこに乗りたい。序盤からアタック祭り、虱潰しにするNerebani。HSST河田さんをマークしつつ控えるが、自分も参戦すべく中野とたか村と逃げにブリッジをかける。悉く潰される。回らないしそもそも自分も強烈に引くことができない。下りで吸収された時の豊田さんの表情や、寺崎さんの「逃げ乗るのに引かないやつマージでやっちゃダメ。」って声にメンタルが破壊される。無力感のなか集団で足を休める。ユーゴに宮田さんこんなとこでなにしてんすか!?って言われるが、情けね〜と思いながらこのまま逃げ決まらない読みで最終周回に備える。

最終に中野と天翔が前方にいるのを確認し、合流。第1も第4も自分一人での位置取りだったので他人に位置取りを任せることに少し不安があったが、あの世界のNakanoなので委ねる。俺なら絶対できないツッコミで最終コーナーをインで切り込んでいく。最高の位置取りだと思ったが、中野との間にいた天翔がホームストレートで怒涛の失速。進路を塞がれ足を止めてしまい、アシストどころか中野を追う形に。下りで位置を代わらなかったことをしぬほど後悔した。11位。優勝はぼうしん。ぼうしんつええ。後で喋ったけど超良いやつだった。Twitterとインスタ繋がった。ぼうしんは一日目の夜にTwitterでこんなツイートをしていた。

そして最終ステージ優勝。有言実行しててかっこいいなと。今後もどこかのレースで戦うことになる気がしているので楽しみだ。

しかし、無力感だとかまだまだ壁があるとか最近こういう言葉ばっか並べててそろそろ聞き飽きた頃だよな。だから強くなる努力し続けなきゃいけないんだよ、もっとメンタルすり減らしてやらなきゃいけないんだよな。

#ぼうしんつええ

総括

第1ステージ 9位
第2ステージ 12位
第3ステージ 8位
第4ステージ 7位
第5ステージ 11位

結局、6年前の第5ステージ6位を上回るリザルトは残せなかった。TTのタイムを見る限り当時より出場者全体のレベルが上がっているが、そんなことは関係ない。
ただ、チームとしての現実的目標であったジュニア総合1位を獲得することができたのは素晴らしい。レベルはどうあれ、このジャージを表彰台に立たせることができたのだ。

そして、自分が1番反省しなければいけない点としてチーム戦をしていたかどうかにある。

一見すると他の強豪チームの強い選手に各ステージのリザルトで上回っているように見えるが、彼らはチームのためにレース中アタックしたりと仕事をこなした上でゴールしている。一方で自分は、各ステージ自分の最終着順だけを意識して走っていたので別の競技をやっている。これがもし個人戦の5連戦だったら全く違うレースとリザルトになっていただろう。だからこそ、リザルトの数字から受ける印象より自己評価は下がらざるを得ない。川崎さんに「勝てるチームで走らなきゃダメだよ」って言われたけど確かに色んな意味でそう。

ただ、今回はその勝てるチームを構成する種を撒くためのFAST√MADE。みんな、この経験でどう変われるか期待してるよ。おれもがんばるので

そしてKroneから派遣されたサポートメンバーのやまだ、サイガ、大林、コジマ。あと中野が連れてきたウラチャン。我々選手のために2日間朝から夕方まで気の抜けないサポートをありがとうございました。荷物の運搬相当ダルかったと思うし常にライダーファーストが感じられて最高でした。
打ち上げの乾杯の時にも言ったんですけど、選手が頑張るからサポートがついてきてくれて、それに対して全力でパフォーマンスを発揮し、最後に感謝することがどんなリザルトより大事だと思ってます。メンバーたちにもそこが最低限伝わってれば嬉しいです。またよろしくお願いします。

ライフセーバーおる
大会前から過労のメカニック
見たことある鳥

エピローグ

気づけばレースは終わり、撤収準備。最後の最後までサポート部隊が率先してやってくれました。元気なさげに荷物をまとめて自転車片手にさぁ帰るかと歩き出すと特に連絡もしてないが正面からあの男が現れる。

Kengo Shimaguchi

そう、しーまさんである。神がかったタイミングなので運命を感じざるを得ない。2日間を終えての所感を語り合う。春から数々のレースで競い合ってきたしーまさん。「俺たちはまだまだトップで戦うには実力不足でしたね、でも手応えはあったからもっと上を目指しましょう」とお互い概ね同じ気持ちだった。この時感情が混雑してマジで泣きそうだった。

今後もきっといい師弟ライバル関係でいられると確信して別れ、今度こそ帰路につこうとしたその時。すぐ目の前にあの人物が現れる。

Yoshihisa Kawasaki

総合優勝チームNerebani総統 川崎さんであった。

「どしたの、元気ないね?今回も俺に勝てなかったね、早く前に来てくれなきゃ戦えないよ」といつものやりとり。ゆっくり落ち着いて話すのがなんやかんや初めてだったので少しこちらが何もんなのかを話したり…。6月の平田クリテでいきなり現れて倒したいと発言したその威勢だけがどうやら面白いなと思っていただけたらしい。さっきも書いたけれど呆れられない内に"前"に行かなきゃいけないなとやる気をいただいた。今回のnoteでは演出の都合上まるで悪役のように描かれているかもしれないが、東海エリアのレースを盛り上げたいという想いは同じくしているので全然良い人。


川崎さん
「楽しいねぇ、自転車」

宮田
「ええ。」

この会話で俺のシマノ鈴鹿2022は閉幕した。

クルマに戻って1人になったら堰が切れて悔し涙をこぼしたが、気持ちはポジティブ。就職とか将来とか知らん、今は夢中になれるんだから練習しよう。

シーズン後半戦の生まれ変わる宮田にご注目ください。

FAST√MADEの応援ありがとうございました。引き続きKroneの応援よろしくお願いします。

あと、Krone色々募集中です。個人的には一緒に闘えるオタクにきてほしいです。

コンタクトはこちらまで↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

色々ってなに

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