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[独白]生きて生きて生き延びて、いつかその目に映った世界を物語に。
これを読み返してておもったこと。
(ちなみにタイトルはハガレンのアルのセリフ「生きて生きて生き延びて、いつか元の姿に」のオマージュです。)
***
ああ、だから、生きてほしい。
生き続けて償い続けるというほうを取ってほしい。
……って思った。
とんでもない間違いを犯した。
でも、私たちも、あなたがそんなふうにせざるをえないくらい苦しい社会の構成要因の一つである。
だから、次こそ書いてほしい。
きっとあなたにしか書けない。
その人生を通して、見たもの、感じたもの、悔い、怒り、悲しみ、慟哭、それらすべてを、材料に。
私はそれを読んで猛省して
「すべてはよりよきせかいのために」と
私なりのオペレーション梟を続けていく。
見たくない人だっている。絶対に。
そんなの絶対に許せない人もいる。
それも、それは、絶対に当然だから、それはそれでいい。
でも、私は、生きてもらって、書いてもらって、それを読みたい。
そう思う立場にある。
彼こそが桜なんだよ。
現実に桜がいたとき、私たちはその人にどんなまなざしを向けるの?
彼こそがプロスペラなんだよ。
現実にプロスペラがいたとき、私たちはその人にどんな言葉をかけるの?
私は、とても「あなたを許します」とは言えないなって思った。
許すことははできない。というか、許す許さないの次元から離れたところに身を置きたい。「あなたから見えた世界のありようを教えてほしい」「あなたの感じてきた心に寄り添いたい」と思う。「あなたがそうせざるをえないほど追い詰められてしまっていた、その背景を知りたい。まわりまわってあなたにそうさせてしまった、この世界をつくりあげている一つの存在として、うけとめなければならないものがそこにあると思うから」と。
(……ちょっと肩を持ちすぎてるとは思う。今も、ちょっといっぱいいっぱいすぎて、あまり状況を追えてないし。でも、精神的弁護人もいなきゃならないと思うの。私はそういう立場。)
「俺たちはだれも望んでなくても……。この戦争は俺たちのせいなんだ。わかるか? だから、この世界を守る。生きている限り永遠に、世界と無関係でいることなんて、できない。」
このときのエドワードの気持ちが、決意が、今になってやっとよくわかるようになった。ほんとうに、ほんとうに、こう思う。ここが俺たちの世界だ、ですね。うん……。
***
でも、水星の魔女の最終話を見るに、「償い」という考え方すらも、そういうところからもう我々は解き放たれてもよいのではないか……みたいなところも感じました。まさにもう「もう呪縛は解いて」ということを、ほんとうに、ほんとうに、伝えてきてくれた、すばらしい作品だったです、水星の魔女……あああ語りたい……。
***
彼もきっと読んでほしかっただけなんだよ。彼の渾身の、魂をこめた、これはもう最高傑作だ……!って思った、彼の作り出した世界を。作品を。たぶんね、大賞なんて必要なかったの。たったひとり、たったひとりでいいから、その原稿用紙に書かれたすべてを読み切って、「すごくよかったよ」「ここのセリフがすごく好き」とか、言ってほしかっただけなんだよ……。
あああ、悲しすぎる。泣いてしまう。なんでこんなことがおこっちゃったんだろう。ただ読んでほしかっただけなのに。それだけだったのに。そういう悲しいすれ違いが、たったそれだけのことで解消できていたはずのすれちがいが、きっとこの世界にあまりにあふれすぎている。
2019年7月18日に起こった出来事の、行く末についてのおはなしでした。
イラスト:カントリーさま
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