問題振り返り⑪.コース別R「国内文学」(3)

 引き続き、国内編の振り返りです。

 No.151「浅木原忍(あさぎはら・しのぶ)による「全作品ガイド」も出版されている、『恋文』や『戻り川心/中』などの代表作がある作家は誰でしょう?」
 A.連城三紀彦
 連城三紀彦は推理作家としても恋愛小説作家としても偉大な足跡を残した作家です。男女の恋愛を軸に話を進めながら、そこに大胆にミステリ的な仕掛けを放り込んできます。
 最後にミステリ的な仕掛けがくると分かってはいても読者を驚かせる巧みな文章力が魅力です。近年、講談社文庫と創元推理文庫から短編傑作選が出ているので、まずはそこから手に取ってみることをお勧めします。

 No.153「1980年に初登場して以降、2000年までの作品がまとめられた全集は2001年版の「このミステリー/がすごい!」と「本格ミステリベスト10」で第1位を獲得した、泡坂妻夫が生んだ奇術探偵は誰でしょう?」
 A.曾我佳城
 あらためて記録を見返していたら、これは凄く良いスラッシュですね。クイズの問題文で「○○年に初登場/○○で初登場」という言葉が出てくると、企業の製品やフィクション作品の登場人物を聞かれることが多いです。なのでこの問題文が読まれたところまでで登場人物を聞いていることまでは推測がつくので、そこから2000年に全集がまとめられて「このミス」にランクインしているというヒントで正解にたどり着くことができます。
 泡坂妻夫はクイズでもいろいろな切り口で出題される作家です。奇術師としても活動し、家業を継ぎ紋章上絵師としての仕事もしていました。推理作家としては、チェスタートンのブラウン神父の系譜を継ぐホワイダニットが光る「亜愛一郎シリーズ」や、本の構造そのものにトリックを仕込んだ『しあわせの書』など、話題性のある傑作を発表してきました。

 連城三紀彦と泡坂妻夫の問題がたまたま近くに並びましたが、この2人はともに「幻影城新人賞」の出身ですね。同賞からは栗本薫や田中芳樹もデビューしています。

 No.157「近藤史恵の小説で、『サクリファイス』/『エデン』『サヴァイブ』といえば、どんなスポーツをテーマとしたものでしょう?」
 A.自転車ロードレース
 このシリーズは必読です。この3作に続いて『キアズマ』『スティグマータ』の2作が発表されています。近藤史恵は登場人物の暗い感情の動きを描写するのが上手だと感じます。自転車ロードレースはチーム成績と個人成績の両方が同時に競われ、チームのエースを勝たせるためには自分の成績を諦めてでもチームに奉仕する役割を求められる選手が存在します。そうした選手たちが織り成す人間模様や事件を描くこのシリーズは、近藤史恵の作品群の中でもとびきりの傑作ぞろいだと思います。

国内編の振り返りはまだまだ続きそうですね。

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